来年の今日は何曜日なのかという話です。

みなさんは「イオンお客様感謝デー」をご存じでしょうか。基本的には毎月の20日と30日にイオン系列のお店で開催されるイベントで、各種イオンマークの付いたカードのクレジットまたは電子マネーWAONの支払いで5%OFFになります。お得！ 私が愛用しているマックスバリュ東海では、10日もスーパーマックスデーで5%OFFになります。お得！

平日に仕事をしているとなかなか買い物に行く時間がないので、毎月の10日か20日か30日が土日祝であることを常々祈っています。ここで突然ですが問題です。

「10日、20日、30日のいずれかは必ず土日である」は真であるか？ ただし1日が月曜から日曜まですべての曜日になり得ることは既にわかっているものとする。

多くの人は知らんがなで終わるかもしれませんが私の生活がかかっているのでしばらくお付き合いください。土日は毎月8回以上あるので3回チャンスがあれば1回くらいは土日に当たるような気がしなくもありません。

カレンダーを見ればすぐに答えはわかります。2021年を振り返ってみると、1月から7月までは10日、20日、30日のいずれかが土日です。意外といけるやん！ しかし残念ながら8月は10日、20日、30日のいずれも土日ではありません。反例が見つかりましたので「10日、20日、30日のいずれかは必ず土日である」は偽であることが示されました。

カレンダーが手元になければ試してみるしかありません。1日が月曜だった場合、火曜だった場合、水曜だった場合、木曜だった場合、金曜だった場合、土曜だった場合、日曜だった場合の7通りを愚直に試してみれば、1日が水曜だった場合と日曜だった場合に、10日、20日、30日のいずれも土日ではなくなることがわかります。文字で説明するとあっさりしていますが、実際に試すとなかなか骨が折れます。反例が見つかりましたので「10日、20日、30日のいずれかは必ず土日である」は偽であることが示されました。

数学的に考えてみれば、1週間が7日で成り立っているので、10日は（7×1+3）日、20日は（7×2+6）日、30日は（7×4+2）日と表すことができます。この場合、+3や+6や+2は0から6の範囲で曜日の違いを表していると言えます。すべてバラバラなので、10日、20日、30日が同じ曜日になることはありません。+3でも+6でも+2でもない（7×n+0）日、（7×n+1）日、（7×n+4）日、（7×n+5）日は10日でも20日でも30日でもないことになります。このうち、（7×n+0）日と（7×n+1）日、（7×n+4）日と（7×n+5）日は連続しており、これらが土日だった場合に、（7×n+2）日、（7×n+3）日、（7×n+6）日は土日ではないので、（7×1+3）日、（7×2+6）日、（7×4+2）日のいずれも土日ではなくなることがわかります。反例が見つかりましたので「10日、20日、30日のいずれかは必ず土日である」は偽であることが示されました。

直感的に考えてみれば、1週間が7日で成り立っているので、まずは脳内の丸テーブルに7つ椅子を並べてみます。10日、20日、30日について細かく考えなくても7つの椅子に3人が腰掛けるだけではどう頑張って座っても2連続の空席が少なくともひとつはできてしまいます。その空席が土日である場合に、10日、20日、30日のいずれも土日ではなくなることがわかります。反例が見つかりましたので「10日、20日、30日のいずれかは必ず土日である」は偽であることが示されました。

脳内で考える場合に手っ取り早いのは最後の方法だと思われます。問いの本質を見抜いていきなりこの発想に至れる人に私は憧れを感じます。さらに手っ取り早い方法があればこっそり教えてください。

さて、この7で括る考え方を意識してカレンダーを眺めていると、いろいろと見えてくることがあります。例えば1年で曜日がどの程度ずれるのか考えたことがありますか？ たぶん考えたことがないだけで、考えてみれば簡単です。365日は（7×52+1）日なのでひとつだけ後ろにずれることになります。今日が日曜日なら来年の今日は月曜日です。4年に1度の閏年の2月を挟むとふたつ後ろにずれることになります。これでもうみなさんは来年再来年あたりの今日が何曜日かを即答することができるようになりました。

ついでに、1年で曜日と日にちの対応が同じ月はあるのでしょうか。7つの椅子に12人が腰掛ければどうしても5人が同じ椅子に腰掛けることになります。細かい計算はすっ飛ばすとして、閏年でなければ１月と10月、２月と３月と11月、４月と７月、9月と12月は1日が同じ曜日であるはずです。2021年9月は10日、20日、30日のいずれも土日ではなかったので、12月も10日、20日、30日のいずれも土日ではないことになります。さらば5%OFF……！閏年の場合は ……と考え始めると止まらないのでこのあたりにしておきます。

世の中には「何年の何月何日は何曜日でしょう」という問いに瞬時に回答可能なカレンダー・サヴァンと呼ばれる特性を持った人たちがいるそうです。一体どんな計算を処理して導き出しているのでしょうか。イオンお客様感謝デーとスーパーマックスデーについて考えていたら、彼ら彼女らに少しだけ想いを馳せることになりました。

余談
土日に5%OFFがない月はどうすればいいのかと言えば、

今のところ毎月便利なクーポンが配信されているので特に困ることはなかったりします。すごいぞマックスバリュ東海。