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手紙のその後

内緒のはずの父母への手紙のその後です。
卒業認定も無事に済みまして、気持ちにゆとりが出来たのか、娘は最終期限までに手紙を書き終え私に託しました。

その他の提出物と共に学校へ届けると、きっちり封がしてあるのを見て先生も一安心。

娘は無造作に渡してきたので、それは不味いでしょうと私が封印したのですが、なんと書いてあるのかは卒業式の楽しみに取っておこうと見ておりません。
ひとまずお役目を終えて私も一安心。

あとはいよいよ卒業式です。
先生もみんなで卒業しよう、いつでも教室においで。みんな、待ってるからって伝えてね、とおっしゃって下さいました。

今不登校の子供はクラスに娘の他にも2,3人いるようです。それぞれ別室だったり五月雨登校しているようですが、クラスメイトの子供たちはみんな自然に受け入れているようなのです。

「だからいつでも、気楽に登校してきてね!みんな待ってるから」

そういうと先生は私の背後に「ねっ?!」と声をかけました。

「はいっ!」
にこにことすかさず返事をしてくれたのは、先生に用事があったのかいつのまにか職員室前に来ていた娘の同級生たちでした。
小学校から同じ子もいて、みんな笑顔が優しくて眩しくて、
私もにっこり笑って
ありがとうございますって
言おうとしたのですが、、、
私の意に反して、言葉より先に目から汗がこぼれ落ちたのはきっと更年期のせいですよね。

急に目から滝の様に放水するおばさん。
娘の同級生たちも戸惑われたことでしょう。
そんなおばさんにも優しい子供たち。
「いつでも、待ってます」

。・゜・(ノД`)・゜・。

しばらく目から汗が吹き出して止まらなくなり、私は帰り道で時間を潰すべく車をあちこちへ走らせました。

このまま帰って娘にこの顔を見せるわけにはいきません。

娘はとうとう中学不登校を経て、高校生になることになりました。
色んな道があることを知ったし、なんとかなるとも思えています。
不登校になったからこそのご縁とか、親子の時間とか、自分に向き合うこととか、これで良かったんだと、この時間は必要だったんだと思っています。

しかし私はこの局面にきてもなお、自分が延々と同じことを考えているのだと知りました。

なんで娘は学校に行けないんだろう

なんで娘はあっち側じゃないんだろう

なんで娘は…

◇◇◇

極めて稀な娘の登校日にはクラスメイトはみなさん歓迎してくれるようです。


◇◇さんは、わぁ~って、きた~!って寄って来てくれる。
▢◇さんもいつも声をかけてくれる。
〇〇くんはいつも「▽▽さんおはよう!」って挨拶してくれる。
〇▢さんも寄って来てお話してくれる。
△〇さんも違うクラスだけど、会うと手を振ってくれる。

みんな物凄くやさしい。
そんなにやさしくされるような人間じゃない。
でもいつか自分もそんな風に誰かにやさしくできる人になりたい。

娘がそう思えているのが嬉しくてありがたくて
まだ卒業式じゃないのに涙が出そうです。


「卒業式の日にさぁ。みんな誰が誰かわからないから娘が教えてね。
母は、みんなのところに『ありがとう』って言って回るから!」

嫌がるのかと思いきや、娘は
お母さんそうしてくれるの?さすが大人!

とむしろ推奨してくれるようです。
自分ではできないのでありがたい、ですと。

そこは修練を積み鍛え上げられたおばさんに任せなさい。

いよいよ中学校生活も本当に残りわずかです。
卒業式はたぶん、い、行くよね??


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