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卒業式当日の話

前日の娘の様子を伺うと、どうも怪しい。
これは怪しい。ピーンと来ちゃいましたね。
いつにもまして光る画面から目を離しません。

何時に起きる?と聞くと、6時。と答えます。
もちろん行くつもりではいるのですが、でもなかなか寝ない。怪しい。
心配しても仕方がないので先に寝てしまいます。
翌日6時になっても起きない娘。
娘は支度に時間がかかるので一回声をかけました。普段は寝起きが非常にいいので勝手に起きるのですが、声をかけても起きてこないときはもう行きたくないのでしょう。
ギリギリの時間にもう一度しっかり起こします。
しかしベッドから起き上がろうとしません。

起きない娘とめったに着ないスーツなどでバッチリきめた親。

え、これどうなる?
最後の悪あがきで私は娘と対峙しますが何を言ってもうんともすんとも言いません。

どうしましょうかねえ。
どこまで背中を押したらいいんだろうか。

行かなくてもいいのだけど、様子を見ていると行ったら行ったで楽しそうにしたり、行ってよかったと言ったりするので、ここは頑張って行った方がいいんじゃないの~?と思ってしまうんです。

何しろ卒業式ですし、せっかく練習日に登校したのに本番出ないってどうしてよ?
「お母さん、頑張らせてくれてありがとう。」
って、あれは何だったの?!

もう私は匙を投げちゃいます。
まあべつに?後悔しても本人の人生だし?
中学の卒業式なんて、別に、ねえ?
別れを惜しむような友情を築いてこなかったわけですから
卒業証書を壇上に上がりおしいただくだけですよ。

私はもう諦めて着ていたものを脱ぎました。
そしていそいそと前日に購入していたご褒美的な品物をキャンセルできるか確認にとりかかりました。

すると夫がちょっと(娘のところに)行ってくる。と腰を上げました。

しばらくすると夫が「起きたよ」と降りてきました!
(お母さん、本当にキャンセルしてるぞって言ったんだと思います)
え?え?
行くんだ?
夫もビックリです。

いやその程度で行くっていうならもっと早い時間にお願いしますよ!

ということで、刺激しない様に平静を装い支度し直します。
もう、遅刻です。
私に至ってはメイクも途中までしかしていない。(ファンデ塗っただけ)
娘は髪の毛を整えるのに余念がありませんが、既に集合時間は過ぎています。

娘だけ先に夫に車で送ってもらうことにしました。

家を無事に出たところで学校から電話がかかってきました💦
「今送っていったところです!」と報告すると先生も一安心。
朝すんなり起きてくれれば問題なかったのですが、こうなっては
我々(保護者)はタクシーで行くしかない!
田舎なのに車を置くところがないんです。

しかしこんな時はタクシーもつかまらない!
歩きにくい靴で30分歩きます。

会場に着くと、既に娘のクラスの授与は始まっており
そーっと保護者席につき、なんとか娘の授与の瞬間には間に合いました!

もう感動もへったくれもなく汗だくです。

教室に移動し、先生は泣いていますが、私はなんとも言えない気持ちでした。

娘はというと、全然楽しそうに友達と話しています。
そして私の顔を見て
「お母さん、まゆげくらい描きなよ」

・・・

予定通り私は見知った子にお礼を言って回り、保護者や先生には今日の顛末を愚痴り、そうしてとうとうめでたく、中学校を卒業いたしました!

娘はほとんど通わなかった中学校。
なぜだか私はたくさん通った中学校。

何がそんなに娘を苦しめたのか。



家に帰ると翌日届くもののために一緒にお片付けをしようということになっていました。
(まあ、キャンセル無理なのはわかっていて送料かかっても返品してやろうかと思ってたけど結果返品しなくて良くなった例のアレ)

娘は片付け出来るタイプなので、サクサク捨てていきます。
教科書とかポイっとすぐ捨てようとするので、ちょっと待て、いつか振り返るときのために取っておけ!というやり取りもあったりしつつ、洋服やその他諸々を片付けていると、
美しい教科書やノートや、まっさらなファイルなどを手にしながら

「中学で何にもしなかったな、学校に行かなかった間もったいなかったな…」
などと呟いています。

「みんなが色々やっていた間自分はスマホに向かっていた。無駄な時間だった」

無駄ばかりではなかったと思うよ。
色々考えたでしょう。

「行かない間の長い時間、いろんなことが出来たのに」

まあね、だれにも後悔はあるよね。
ただ、この先はやろうと思ったことなんでもできるからね。

「高校ではやれなかったことをみんなやりたい!」

ぜひともそうしていただきたい

今朝のことをどう考えているのか、母にはさっぱりわかりません。
行かなかったとしても大した後悔はしなかったかなとも思います。

いつだって選ぶのは自分です。

ここまでも、考えて選んで、頑張ったからこそ高校生になることができるのです。

ほんと頑張ったね。
娘も、私も。

あー、人生ながっ。


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