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筑波大学教授に学ぶ福祉インフラと不確実性への不耐性


スピパラ通信 第15回

今回は『筑波大学教授に学ぶ福祉インフラと不確実性への不耐性』です。

医学博士 筑波大学医学医療系社会精神保健学教授にしてオープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン (ODNJP) 共同代表の斉藤環先生は、ご自身の著書で、日本の医療における組織構造的課題について説明されています。斉藤環先生の著書より学ぶ福祉インフラと精神科地域包括ケアシステム構築の阻害要因についてのお話しになります。


ほんらい医療と保健、福祉は一体であるべきなのだ。専門ごとに細分化され、窓口が別になることでサイロ化(タテ割り)が進むと、その隙間で膨大な取りこぼしが生ずる。
弱者支援が「ニーズの掘り起こし」であるなら、連続性や継続性は最も重要な要素となる。

「オープンダイアローグがひらく精神医療」

斉藤環先生の著書「オープンダイアローグがひらく精神医療」では、医療、保健、福祉の一体化の重要性が強調されています。
この一体化は、専門ごとに分断されたサービスがもたらす問題、つまりサイロ化による連携の欠如とそれに伴う支援の取りこぼしを防ぐために不可欠であります。



斉藤環先生は、こう続けます。

しかし残念ながら、わが国の支援のあり方は、そうした理想からはほど遠い。
支援する側が敷居を高めに設定して、そこを自力で越えられた者のみを/支援してあげる”という、弱者選別型のサービスになっているのではないか。

「オープンダイアローグがひらく精神医療」

日本の医療と福祉の制度においては、この理想とは異なり、サービスが細分化され、高い敷居が設けられている原因を組織構造として説明されています。

生活保護の「水際作戦」(これは実際に存在する)の話などを聞くにつけ、そうした懸念はなかなか消えない。
「助けてほしい」という気持ち自体を貴重な【資源】と考えるなら、援助が求められた時点で、即時に、最大限の支援をするという姿勢は完全に正しい。

「オープンダイアローグがひらく精神医療」


特に、生活保護のような制度では、必要な支援を受けるための障壁が存在し、実際に支援を必要とする人々が適切な援助を受けられない可能性が指摘されています。
斉藤先生は、支援を求める声を「資源」と捉え、その声に応じて即時かつ最大限の支援を提供する姿勢が正しいと主張しています。
これは、単に経済的な援助を超え、精神的な支援や社会的な包摂を含む包括的なアプローチを意味しています。

しかし、現実には、このような包括的な支援体系の実現は困難であり、多くの改善が必要であるとされています。

また、生活能力があり就労も可能であるのに受給する方や所得があっても受給する不正受給者の対策も難しく、各所で判断する側へのバイアスをかける原因の一つになっていると思われます。

日本の組織構造的にも、精神科地域包括ケアシステムの確立には、課題が多く残されていることが伺えます。





僕は、精神科地域包括ケアシステム構築には、組織構造だけでなく、地域住民の方々に精神病の実際を知ってもらうことが、最重要課題ではないかと思っています。

人は誰でも、知らない事には不安になります。これを『不確実性への不耐性』といいます。
この、知らない事への不安は、知ることでしか解消できないのです。
精神科には蓋をしろ!では、患者さんを地域に戻せないことは、解りきっているはずです。

みんなが真実を知ることでしか、精神科地域包括ケアシステムでの真実のインクルーシブを、実現することはできないと思いませんか?

正しくこれが
『オープンダイアローグ』
です。




斉藤環先生の著書です。オープンダイアローグとは何かが良く解ります。
オープンダイアローグは不確実性への耐性を支えるためのチームテクニクスでもあります!


来週からは、『精神病・精神科の本当』を具体例(個人を特定できる情報は含みません)を使って小学生にも理解できる言葉で書いてみたいと思います。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

命があったらまた会おう、腹筋鍛えて待ってろよ! see 〜you〜

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