見出し画像

ドラム式洗濯機って高いなぁ…と思う人は「本屋へ行こう」

ユーチューブでドラム式洗濯機のおすすめランキングという動画があった。
よくネット記事でもこういうものを見かける。さっそくだが、このような動画や記事に足りないのは知識と経験であると私は常々思っている。

例えば、ドラム式洗濯機と縦型洗濯機の違いをご存知だろうか?
「なんとなくドラム式洗濯機っておしゃれな人が使ってるイメージ…」
「縦型は時代遅れ…?」
「昔はドラム式洗濯機って海外のおしゃれな家にあるイメージ…」


まぁこんなものだろうと思う。


イメージの通り、ドラム式洗濯機の起源は欧州である。

欧州の水は基本的に硬水でミネラル類が多い。対して、日本の場合は軟水でミネラル類が少ない。飲料水でもやわらかい口当たりのものは日本の水であることを思い出してほしい。

さて、洗濯において硬水よりも軟水の方が汚れが落ちやすいというのは余り知られていないかもしれない。

だからこそ日本では縦型洗濯機で水流さえ作れば汚れが落ちる。
一方、硬水では洗剤などの界面活性剤の効果が下がる。くわしいことは省くが要するに硬水だと汚れが落ちにくく、昔は岩などにたたきつけたり、足で踏んだりして洗っていた。
洗浄力の弱さをカバーするため温水(95度というデータもある)を使用し、さらに洗濯物を上へ巻き上げ、叩きつけることで汚れを落とすドラム式洗濯機が欧州では使われるようになった。
参考↓


もうここまででおわかりだと思うが、日本ではドラム式洗濯機を使う意味はない。

使う必要のない無駄で過剰な機能がついているのだからそりゃ高額に決まっている。


売り文句として「節水になる」「縦型は服同士がこすれてしまう。ドラム式の方が服が傷まない。」などと言うが、それはたくさんの洗濯物を入れらないという欠点をポジティブに表現しただけのことだ。
縦型洗濯機は大量の水を使うことでき、そうすることで汚れがよく落ち、しかも衣類の洗剤残りも少ない(これは油水分配の仕組みを知っていれば明らか)。従ってにおい残りなども少ない。

逆に言えば
少ない水でたくさん洗えず、無駄に温水にする機能もついたりして、高いもの、を欲しくなる道理が私には理解できない。

いや、もしかしたらなんとなくカッコいいという見栄をはれるかもしれない。それならまだ共感できる。
しかし、私が述べたようなことを知っていればそれは無駄なかっこよさであったわけだ。

おすすめとかランキングを作る人たちはこういった前提の知識がない。その多くがネットで比較した製品情報を陳列するだけであるからだ。

加えて、例えばユーチューブ等でも現役の家電店の社員の方がおすすめのドラム式洗濯機を説明してくれたりする。
彼らの言葉に嘘はないのだろうが、説明を聞く人がそもそも間違っていると私は思う。

例えばそういった社員の方はたくさんのドラム式洗濯機を使い比べたことがあるのだろうか。

というか紹介する商品を買ったことがあるのだろうか。

一つ30万はするものを普通のサラリーマンがポンポン買えるものではない。
要するに彼らは家電を「売るプロ」であって「選ぶプロ」ではない。

陳列されたものを売る仕事をしているだけである。

よく言われるがホームランの打ち方はメジャーリーガーに聞くべきであって、スポーツ量販店の店員やバット職人に聞いてもしょうがないのだ。

さて前提を共有できたところで、次の話題に進むが、ドラム式洗濯機がほしい人はどういう人だろうか?

日本に住んでいるのなら、ドラム式洗濯機の必要性はゼロである(と私は思う)。だが百歩譲って、洗濯機の購入を検討しているなら縦型で機能に不満がないものも候補に入れて考えるべきじゃないだろうか。

そう。ドラム式洗濯機が欲しくてたまらない人は一番最初で、つまり「縦型かドラム式かという2択」の時点で間違えている。
そもそもこの2択すら、抜け落ちている。もしかしたら、思い浮かんですらいないのかもしれない。

ただ、こういったことも無理もない。
このような「最初の二択」というのは情報操作によって往々にして隠されているからだ。情報操作は社会や企業によるものであったり、意図的・非意図的であったり様々である。

新生活することになったら、同棲を始めたら、ドラム式洗濯機を買おうと決めている方たちも少なくないだろう。なぜなら、ドラマやユーチューブなどの「箱の中」ではオシャレな人たちの生活に当たり前みたいにドラム式洗濯機があるからだ。

きっとこんなことを聞きたくないだろうが、そんなドラマやユーチューブのプロモーション欄やスポンサーを見てほしい。
ドラム式洗濯機を売りたい企業の名前が書いてあるはずだ。



そう、わたしたちは企業が売りたい商品を欲しくなるように刷り込みや洗脳をされているのだ。

このようなものを普段から見ている人は自分が洗脳されていることに気づかずに、「ドラム式洗濯機が欲しい!」「買い替えるならドラム式洗濯機!」と思うようになってしまう。だからこそ「最初の二択」が抜け落ちてしまうし、そのことに気づきにくい。


勘違いしてほしくないのだが、別にそうなることが悪い訳ではない。わたしはただ、あなたが欲しいと思ったものは、欲しいと思わされただけかもしれないという可能性を述べているだけだ。


例えば
・宝くじのCMに出ているカッコいい・かわいい俳優さんたちは実際に宝くじを買っているのだろうか?
・橋本環奈が広告棟を務める2万円の時計を、中川大志とデートに行くときに身に付けているだろうか?


その商品にいいイメージをいだくようにしている企業戦略の例だ。
こういったものが入口となって、あなたの意志とは無関係に欲求が作られてしまう可能性がある。


さて、可能性と言った。




では、そんな可能性がない場所があったら知りたくないだろうか。



答えとして明言はしないが、少し私の経験した話を聞いていただきたい。



私は最近までこのようないわゆる洗脳とは程遠い世界にいると思っていた。


テレビ番組はCMが多いためほとんど見ない。気になったものは録画して、気になるところだけ見る。


私は何か体系だてて勉強する時に書籍を購入する。
娯楽も基本的には本や映画で、余計な、というか興味のないものの情報を意識的にシャットアウトしてきた。
前述したような洗脳が怖いのを知っていたからだ。

書籍の購入にはしばしばAmazonを利用する。
そこでいくつか調べもののために本を購入してどっさり届いたのを見て驚いた。

ほとんど、同じようなことが書かれていたのだ。


同じようなというのは言い過ぎと思うだろうが、オレンジジュースと書いてあったことが違う本にはバナナジュースと書いてある程度の違いだったのだ。

要するに沢山の本を読んでも書いてある本質的なことは一つしか学べなかったのだ。

当時の私はこれで核心を学んだ気持ちになり、もうこれ以上この分野で学べることはないと判断した。

しかし、ふと立ち寄った本屋でそれは起こった。


まったく違う視点の本がたくさん置いてあったのだ!



この分野の本は読みつくして他にはないと思っていたのに、まだこんなに読みたい本があったなんて…。
驚くとともに私は反省した。

「世間とは逆行するように生きてきたつもりだったが、私も企業の思った通り動くように洗脳されていたんだ」と。


Amazonで検索しても出てこないからと言って、この世にないとは言い切れない。広告やサジェストで誘導され、誰かが買わせたいものだけ買わされていたのだ。
(・・・・・もちろん、極論であるが、当時の私にはそれほどの衝撃だったのだ。)

ここまでとても偉そうに語ってきたがこのように私も失敗をしてきた。
こういった経験を踏まえて今の私が気を付けていることがある。

それは、「本屋に行く」ことである。もちろん本を買う時には本屋に行くのがよいのは読書好きな方ならよく知っているだろう。


しかしタイトルにもつけたが、これは例えだ。
何も本を買う時に限った話ではない。

企業のサジェスト、ネットやSNSなどの広告。
こういったノイズから隔絶された「本屋のようなところ」で自分の欲求を満たしてくれるものを選択するのだ。


何も字面ほど堅苦しくて難しいことじゃない。普段通らない道をふらふら散歩して、気になったお店を覗いてみるようなものだ。


こういうことを繰り返していると私のように

みんなが同じ曲がり角で曲がっていることに気づけるし、

みんな同じお店に入って行くのを不思議に思えるようになる。



「みんなドラム式洗濯機通りを歩くよなぁ…。こっちの道のが空いてるのに…。」みたいにね。

この記事が参加している募集

多様性を考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?