回転寿司炎上動画から考える「相手の立場に立つ」こと
「職場のおばさんが使えない」
イツメンでフラッと旅行した帰り。二人だけになった車内で友人がずっと話したかったように切り出した。彼はまだ若いながらもある一つの部署の責任者になっている。話を聞いてみると、一緒に働く数人は全員10歳以上年上であるのに、「使えない」しヤル気もないのだという。
「オレが異動してくる一年前からいるのに、わかりませんとかやったことないのでやりたくありませんって言ってくるんだぜ?」
「そんなこともできないって一年間何をしてたんだよ…」
前任者が急に辞めてしまい、そのポストに抜擢された彼。前任者や彼の苦労も推し量れるというものだ。
自分と他人とは相いれない。理解しあえない存在同士である。
なぜなら、相手の考えていることのすべてを、自分は理解できないし、逆もまた同じだからだ。
だからこそ、相手を慮る社会的生物である我々は親や学校の先生からこういった言葉で教育される。
相手の立場に立って考えなさい
こういった言葉が使われるのは、自分がされて嫌なことを相手にはしないようにわかりやすく教育するためだ
つまり、人間が社会を維持し、他人に迷惑をかけないようにするために設けたルールである。
ジャンプで連載中のマンガ、呪術廻戦の伏黒恵のセリフにこんなのがある。
「他人と関わる上での最低限のルール、分かるか?」
「私はあなたを殺しません、だからあなたも私を殺さないで下さいだ。」
自分がされて嫌なことは相手にしないということの極致がこれでしょうね。ここまで極まると暗黙のルールでしょう。
この相手の立場に立って考えるということが、最近少しズレている。
ニュースのコメンテーターが平気で何かを侮辱するのを見ると、そんなことを考えてしまう。
そうやれるのは自分は侮辱されない立場にいるからだ。
何というか、性善説とか博愛とかそういうものが足りない気がする。
話題になっている回転寿司のチェーン店で撮った動画が炎上した学生への非難もそうである。
彼らがなぜそのような行動をしてしまったかについて共感する声は少ない。
なんでそんなことしたんだという憤りの声は「もし自分だったらするはずがない」という楽観的な希望的観測によるものである。
それは愛の足りない「相手の立場に立つ」が行われていると思う。
愛を持って、真剣に思い出してみてほしい。
特に男子諸君。
立ち入り禁止と書いてあるところに少し足を踏み入れてみた経験はないだろうか。
大人にやってはいけないと言われたことをやったことは?
ピンポンダッシュをしたことは?
買い食いをしたことは?
赤信号をみんなで渡ったことは?
私は
「罪を犯したことのない者がまず石を投げなさい」とか「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」とか教祖様のようなことを言いたい訳ではない。
ただ思い出してほしいだけだ。
自分も同じ年齢だった時、どういう性格で、仲間たちとどういう"おふざけ"をしていたか。
承認欲求と思春期の特有のモヤモヤ。
きっとこれやったらバズるだろうな、盛り上がるだろうな、という気持ち。
それらを抱いて、自分もその同じ環境でその場にいて、もしスマホのカメラを向けられたら……。
わたしだったら同じことをしていたかもしれないと想像することだ。
わたしはこれが「相手の立場に立つ」ということだと思う。
同じ年齢の、当時の自分の声を無視するのは簡単だ。社会人になった自分が回転寿司に行って、動画を撮ろうと思わないのは普通である。
炎上した彼らも、彼らの同年代の人達も、成人して、働き始めてもなお、同じような動画を撮るとは思えない。
世間を知らない稚拙さ、無邪気さ、好奇心。
未成年の時に持っていたこれらが今回の騒動を起こしたのだとわたしは考えている。
さて、今回のオチ。
なぜこんなことを考えたのか。友人からの愚痴がきっかけであった。
わたしは彼の愚痴に同じ構造を感じたのだ。
部下のおばさんが使えないとぐちる若い責任者。
寿司屋でペロペロした学生を非難する大人。
大人は動画をバズらせたい学生の気持ちにより添えない。それと同じように若い責任者にはおばさんのもうヤル気が出ず、ほっといてという気持ちはわかりたくもない。
もしかしたら、そのおばさんも昔はヤル気が溢れ、わたしの友人のように、年上にも指導して、野心や熱意のある苦労の多い職員だったのかもしれない。
これは今はヤル気に満ちている自分も何十年という時間の経過によって環境の変化、老いによって、そうなる可能性を秘めているということだ。
「オレはあんな風になるわけない」というのはやはり希望的観測である。
何十年先のことなど誰にも予測できないのだから。
謙虚に、愛を持って、相手の立場に立つことを続けていきたいものだ。
こんな感じで物事をいろいろな角度から見ることが好きな変人です。
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