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満期のお知らせ

大学4年生の長男から「就職の内定もらった」というLINEがきました。
「子育ての満期のお知らせです」という言葉が脳内を駆け巡りました。

どういう会社なのか、とか年収はどのぐらいなのか、とかどんな仕事なのか、とかどこが勤務地なのかとか
夫はすぐに調べていましたが、今のご時世「ここで一生働く」と決めて就職する人は少ないように見えて、ご多分に漏れずうちの長男からも
そんな雰囲気は全く感じられず、私は「嫌だったり生活できないとかだったらすぐ辞めるんだろうな」と思ってしまって、たいして深く就職先を知ろうともせず
「あーーーーもう本当に終わりだ!子育て!」の気持ちの方が強かったです。

以前、長男が帰省したときに「ほんとにムカつく!」と思い、でもこんな風にしてしまったのは主に私のせいで・・・と悩みました。その時は
「もう成人だからいいんじゃね?」という結論に達して
大分肩の荷をおろしましたが、それでもやっぱり長男の身分は大学生であり
仕送りしてもらって生活しているからには、完全に「手を離れた」感はありませんでした。長男が何かトラブルを起こしたときは親に電話がかかってくるだろうし。

ここから先は本当に親の手を離れて、仕事を辞めても自分で次のことを考えながら生きていくんだなあと思うと、一つの枷が外れた気持ちでなんとも軽やかになりました。
そうは言っても永遠に親子なんだから、なにかあれば面倒みちゃうんだって!という人が周りに多すぎますけど
私に関してはまずそれはないと思います。
もし、彼が人様に大迷惑をかけるようなことをしでかしたら自分で責任をとってもらうし、でも日本という国が、どんなにおっさんになってもその人が罪を犯したらその親を断罪しがちな国ですから、まずこの国からは逃げる。だって嫌だもの。もう巣立った息子の責任を一生とらなきゃいけないなんて。

あっとすっこし!あっとすっこし!の大合唱が頭に流れ、浮かれて友達に嬉しいLINEを送ろうとしたけどやめました。長男が小さいときから「ああ、なんか最近落ち着いているな」と思った瞬間に学校から電話がかかってくる、みたいなことが繰り返されてきたので、長男に限って言えば私が「ひと段落だわ」とほっとすること=「悪」でした。
ほっとしてはダメだ、いい方向に行ってると思ったらだめだ、落ち着いてると認識したらダメだ、とずっと思い続けていて
この気持ちから解放される日がくるのか、それも長男の就職と共に
なくしてよいのかまだ不安は残りますが。

子供は3人いて、それぞれの子供とドラマがありますが
長男は反抗期が長かったこと、私も夫も子供の育て方が全くわからなかったこと、姑との確執、私の実家との関係性など
経験したことがないことばかりで、本当に本当に悩みながら進んできましたので、やはり長男が巣立つ、ということに何か特別な思いがあります。

彼にはかわいそうなことをしてしまった、という気持ちを払拭できずに
過ごしてきました。
あの時のあのセリフやあの時の長男の顔やあの時の長男の泣き顔やあの時の長男が私をつかむ力の強さ。どれも忘れることはできず、全てのことに対して「ごめんね」と言ってこんがらがった糸をほぐしに戻りたい。
でもそんなことはできないから、もう、私も「ごめんね」という気持ちから卒業してこれからの長男の未来に幸あれと願うことにします。




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