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【ゲームレビュー】12年越しの待望の新作『ドラゴンズドグマ 2』


約50時間のプレイを経て全てのエンディングを迎えたのでレビューします。

『ドラゴンズドグマ 2』について

PS3で発売された「ドラゴンズドグマ」から12年越しとなるナンバリング最新作。シリーズとしては「初代」「ダークアリズン」「ドラゴンズドグマオンライン(MMO)」と3作品のみですが、累計販売本数が1,000万本を越え世界中でファンの多い作品です。

ドラゴンと覚者(主人公)の運命を描いた物語

システム面

マルチプレイ風だけどシングルプレイ「ポーンシステム」

ドラゴンズドグマの最大の特徴といえば「ポーン」です。
「ポーン」とは主人公の従者となる存在で、冒険のお供をしてくれます。

ポーンの性格によって行動パターンも変化する。

このゲームでは最大4人で冒険が出来るので、「主人公+メインポーン」とオンラインで雇う「ゲストポーン」が2名という形です。ゲストポーンはステータスやジョブで選んでもいいし、フレンドのポーンを雇うこともできます。

一般的なオンラインマルチだと、フレンド同士で遊んだとしてもどうしても効率重視になったり、どちらかがペースを合わせて進めることになりがちですが、このポーンは人間が操作している訳ではないのでその点に関してはより自分の冒険に没入する事ができます。

ポーンのAIの出来は決して完璧ではなく、道を間違えることもあれば、足を滑らせて落下死する事もあります。旅の途中で目に入った「梯子」には必ず触れたがるし、プレイヤーが高所から落下した時にポーンが受け止めてくれる時もあれば目の前で落下する所を傍観してるだけなんて事もあります。

ただ、この完璧ではないどこかポンコツな感じが人間と一緒に遊んでいるような錯覚を感じさせてくれました。

「不便=ドラゴンズドグマらしさ」?

本作はメタスコア『85点』に対してユーザースコア『6.3』と購入者からは厳しい声が多く出ています。その理由のひとつとして「不便過ぎるシステム」が挙げられます。

私がプレイして特に気になった部分は「ファストトラベル」「スタミナ消費」「ロックオンなし」「台詞の自動送りなし」「取り返しの付かない要素の多さ」。

まず「ファストトラベル」はあるにはあるんですが、事実上は無いに等しいです。ファストトラベル用の消費アイテムが1万Gと高額な為、なかなか使う事が出来ません。お金が無い序盤はもちろんですが、終盤になると装備の金額も膨れ上がる為に私がファストトラベルを使い始めたのは通常エンディングを迎えた後になりました。

またお金稼ぎの手段もパッチで次々と対策された為、ここに関してはシングルゲーでここまでシビアに対策する必要があるのかという疑問はありました。

またファストトラベルは「戻りの礎」が設置された場所にしか飛べないんですが、これが全ての町にある訳はなくマップに2箇所しか用意されてません(通常ED後に少し追加されますが)。足りない分は所持品として持ち歩ける「戻りの礎」を探すことになるんですが、私の場合は真エンディングクリアの時点でも2個しか見当たりませんでした。

開発側からの「使わないで歩いて探索してくれ」というメッセージなんでしょうが、正直に言えば押し付けられているように感じました。

前作では無制限にファストトラベルが出来るアイテムが存在していたので、やりこみ要素としてそれは残しておくべきだったんじゃないかと思います。

次に「スタミナの仕様」についても気になりました。

オープンワールドのゲームでは「馬」や「バイク」「車」といった乗り物が中盤で入手出来るものが殆どですが、このゲームにはありません。

ゲーム中のほとんどの時間を「徒歩」で過ごすことになりますが、敵と遭遇していない時でもダッシュするとスタミナがグングン減ります。

同社の「モンスターハンター」も昔の作品では同じ仕様でしたが、「モンスターハンターワールド」を皮切りに接敵時以外ではスタミナは消費されなくなりました。他社のオープンワールド作品でも近年の作品ではそれがスタンダードだと思います。

なにもない移動中にスタミナが減ることがどう面白さに繋がっているのかは最後までわかりませんでした。「その方がリアリティがある」「苦労した方が達成感が増す」と言えば聞こえはいいですが、「プレイ時間の水増し」になっていたのが感想です。

同日に発売した「Rise of the Ronin」では「ファストトラベルは無制限」、「目的地までのオート移動」、「長押しインタラクトの秒数変更」といかに快適にプレイして貰えるかをユーザー目線で考えた作品だったのでその点では非常に対照的な作品だと思います。

このゲームの設計思想として「不便を楽しむこと」がコンセプトにあるように感じました。

不便が楽しさに繋がっているわかりやすい例として「初代バイオハザード」ではラジコンのような操作感を強要されます。セーブをするにもインクリボンを消費します。思うように動かせなかったり、制約されることがホラーゲームとしての体験の質を上げています。ですが、ドラゴンズドグマ2では「不便」が「楽しさ」に繋がっていないモノが多い印象でした。

グラフィック面

巨大モンスターの迫力は随一!

いろいろとシステム周りでは不満点を書き出しましたが、なんといってもグラフィックやキャラクターのデザインが良かったです。

登場するモンスターはオーソドックスでファンタジー作品の鉄板ともいえるデザインでした。変にアレンジもされて無いので「こういうのでいいんだよ」って感じです。

2体のゴーレムと戦闘中にグリフォン乱入して来た場面。

巨大モンスターとの戦いといえば「ワンダと巨像」や「ゴッド・オブ・ウォー」が代表的ですが、どちらもイベント戦であったりボス戦の扱いでした。

ですが、ドラゴンズドグマ2に登場する巨大モンスターはマップを歩いてると普通に遭遇します。イベント戦やボス戦のような「あらかじめ用意された戦闘」ではなく、本当にいきなり鉢合わせるので準備する間もなく戦わざる得ない感じが冒険してる感じを味わえて楽しかったです。造形も良い。

ギリシア神話に登場する怪物、巨像好きにはたまらない。

キャンプの料理=実写映像の親和性

キャンプをした際に入手した肉を料理する事が出来るんですが、その時に流れる映像がまさかの「実写」でした。

肉の種類に応じて映像のパターンも用意されている。おいしそう。

少し前であれば「いきなり実写になるんかい」ってツッコミが出たでしょうが、ゲームのグラフィック水準が上がった現代であれば全く問題ないと感じました。

料理のグラフィックといえばFF15の「リヴァイアサンおにぎり問題」(おにぎりのポリゴン数が召喚獣リヴァイアサンとほぼ同じ)が有名ですが、美味しい料理を魅せる為に多大な開発コストを割くなら実写でもいいと思います。

感想まとめ

総括

一言で表すなら「グラフィックが綺麗になった平成のゲーム」。
システム面では悪い所を色々と書きましたが、ゲーム体験としては寝食を忘れて没頭するくらいにプレイ出来たので決しておもしろくない作品ではないです。たまにはこういう時代に逆行した作品があってもいいかな、とも思います。

ネットで炎上している「竜憑き」についてはプレイ中は発生しなかったのでレビューでは記載しませんでした。簡単に説明するとポーンが発狂して町のNPCを全滅させてしまう病気、気になる方は調べてみてください。

こんな人におすすめ

  • 「ドラゴンズドグマ」シリーズやハイファンタジーの世界が好き

  • ゲームに没入してロールプレイを楽しめる

  • サクサク攻略より、じっくりのんびり遊ぶプレイスタイル。

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