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2023/4/30 4月の日本政治経済まとめ

⭕ 四月の後半、岸田首相襲撃事件が起こり(4/15)、気になる消費者物価指数(4/21)、多くの市場参加者が注目をしている、植田日銀総裁就任後初めての日銀金融政策決定会合(4/27-28)が行われました。

⭕ 掲載資料が多く、はじめに「まとめ」を読んでもらった方が分かり易いと思います。結論的には、金利、株価、為替がどう変化するかです。


① 岸田首相襲撃事件 4/15

✅ 4月15日午前、日本にまた衝撃が走りました。

 岸田総理大臣が和歌山市の漁港を選挙の応援で訪れていたところ、演説の直前に爆発物が投げ込まれました。岸田総理大臣は現場から避難してけがはなく、警察官1人が軽いけがをしました。警察は、兵庫県に住む24歳の容疑者を威力業務妨害の疑いでその場で逮捕しました。NHKWeb 2023/4/16

⭕ 動機は?
 木村隆二容疑者(24)は、2022年7月10日投開票の参院選で被選挙権(30歳以上)や供託金の用意を定める公職選挙法の要件によって立候補できないのは憲法違反だとして、国に損害賠償などを求めて同年6月に神戸地裁に提訴していた。代理人弁護士をつけない本人訴訟で、準備書面には安倍晋三元首相の国葬を巡り、岸田内閣を批判した記載もあった。神戸地裁は同年11月、請求を棄却。木村容疑者は判決を不服として控訴し、大阪高裁での判決言い渡しが23年5月に予定されている。日本経済新聞2023/2/21

⭕ 民主主義の象徴である選挙活動中の暴力
 
ストイックな青年であったのだと思います。暴力での解決云々は勿論の事、民主主義国家の宰相を襲撃する事はいかなる理由があろうと重罪です。とにかく岸田首相が無事で良かったです。




② 消費者物価指数 3月 4/21

✅ 総合 +3.2% 生鮮食品除く +3.1% 生鮮エネルギー除く +3.8%

出典元 総務省 統計局

⭕ 2月同様に、原油価格の下落傾向と、1月より実施されてる「電力・ガスの小売り業者への補助金効果」(電気・ガス価格激変緩和対策事業)で総合指数では下落圧力がかかりました。

⭕ しかし、生鮮食品及びエネルギーを除く指数(日本ではコアコアと呼ばれる)は前年同月比は3.8%上昇、先月比は0.5%上昇。

 つまり、インフレ率に影響が多い生鮮食品やエネルギー価格を除いた指数が上昇しているという事は、全体としてはまだインフレ傾向にあるという事です。コロナ後の飲食業界、宿泊、、レジャー、娯楽などの伸びが著しく、サービス業の賃金アップにつながる良い流れとなれば、と思います。

 ディズニーランド経営のオリエンタルランドは売上高は
2021年度の2,757億円 → 2022年度は4,831億 +75.2%増
↓ 下記に決算詳細有り

⭕ 4/10、植田日銀総裁の就任会見で、
「物価や賃金が上がらないということを前提にした物価や賃金の設定行動あるいは企業行動が広まってしまっていた事が大きかった。」
とあるように、日本は長らくデフレ基調にあっため、値上げに対してかなり敏感な生活を送ってきました。その間、海外との格差は大きく広がってしまったわけです。

 デフレは経済の病気と言われるだけあります。


出典元  TRADING ECONOMICS.COM
出典元 総務省 統計局
出典元 オリエンタルランド 2023年3月期決算

③ 日銀金融政策決定会合 4/27-28


✅ ひとことで言えば「現状維持」

✅ 内容を簡単にまとめ
⭕ 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)
● 短期金利 日本銀行当座預金▲0.1%金利の適用
● 長期金利 10年国債金利、0.5%が上限となるように指値オペ

⭕ 資産買入れ方針、長期国債以外の資産の買入れについて
● ETF(年間約12兆円)、J-REIT(年間約 1,800億円)
● CP等は、約2兆円の残高を維持、コロナ前の3兆円が目標

 ※CP コマーシャルペーパー 企業が発行する短期の無担保有価証券

⭕ 粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現す ることを目指していく。

⭕ 長年実施されてきた金融政策運営について、1年 から1年半程度の時間をかけて、多角的にレビューを行う



当面の金融政策運営について(以下原文まま)

1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定 した。

(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(全員一致)

①次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。 短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利 を適用する。 長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要 な金額の長期国債の買入れを行う。

②長短金利操作の運用 長期金利の変動幅を「±0.5%程度」とし、10 年物国債金利について 0.5% の利回りでの指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業 日、実施する。上記の金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を 促すため、大規模な国債買入れを継続するとともに、各年限において、機動 的に、買入れ額の増額や指値オペを実施する。

(2)資産買入れ方針(全員一致) 長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。

①ETFおよびJ-REITについて、それぞれ年間約12兆円、年間約 1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れ を行う。

②CP等は、約2兆円の残高を維持する。社債等は、感染症拡大前と同程度の ペースで買入れを行い、買入れ残高を感染症拡大前の水準(約3兆円)へと 徐々に戻していく。ただし、社債等の買入れ残高の調整は、社債の発行環境 に十分配慮して進めることとする。


2.日本銀行は、内外の経済や金融市場を巡る不確実性がきわめて高い中、経済・物 価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくこと 2 で、賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現す ることを目指していく。 「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点 まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースにつ いては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2% を超えるまで、拡大方針を継続する。引き続き企業等の資金繰りと金融市場の安定 維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。


3.わが国経済がデフレに陥った 1990 年代後半以降、25 年間という長きにわたって、 「物価の安定」の実現が課題となってきた。その間、様々な金融緩和策が実施され てきた。こうした金融緩和策は、わが国の経済・物価・金融の幅広い分野と、相互 に関連し、影響を及ぼしてきた。このことを踏まえ、金融政策運営について、1年 から1年半程度の時間をかけて、多角的にレビューを行うこととした。 以 上

出典元 当面の金融政策運営について




④ 今月の日銀関連まとめ

1.日銀短観 4/3


(1) 業況判断
 製造業の景況感は低下気味、非製造業(サービス業)はコロナ明けの影響が大きいと感じられ上昇基調。

(2) 価格判断
 価格はまだ上昇する、せざるを得ない、と思えます。直近の消費者物価指数は+3.3%、生産者物価指数は+7.2%。数値だけを見れば、ピークアウトしたと捉える企業担当者は多く、ディスインフレに向かっている。

(3) 売上高判断
 
売上高成長率は前年より大幅に鈍化予測、全規模合計で前年比+1.1%。インフレが一周した事も大きい。

(4) 雇用人員判断
 
全体的に人手不足、特にサービス業、飲食、宿泊など新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ業種が、今春のコロナ明けと共に人手不足となっています。


2.日銀総裁・副総裁就任記者会見 4/10

✅ 植田新総裁の基本指針となるような回答

⭕ 物価の安定と金融システムの安定の実現に向けて尽力する。

⭕ 欧米の銀行破綻が日本経済に大きな影響を与える事は今の所無い。

⭕ 現行のYCCを継続するのが適当であると考えている。

⭕ 2%の物価目標を 10 年で達成できなかった要因は、物価や賃金が上がらないということを前提にした物価や賃金の設定行動あるいは企業行動が広まってしまっていた事が大きかった。

⭕ 金利操作、ETFの購入については、たまたま副作用が目立っているからというだけで、それの導入がまずか ったという結論にはならないのかなと思います。

出典元 日本銀行 総裁・副総裁就任記者会見

3.企業物価指数 3月 4/12

✅ 結果 +7.2%(前年比)
輸入物価(特に木材、原油など)の安定と電力・ガス補助金効果
もあり上昇圧力が抑えられた形になりました。

出典元 日本銀行調査統計局

⑤ 今月の政府関連まとめ

1.実質GDP成長率 2022-10-12期 4/25

✅ 実質GDP成長率 +0.1%(前期比)
名目GDP成長率が+4.7%である事を考えれば、「売上はそこそこ伸びているけど給料は少ししか上がってない」

✅ GDPギャップ ▲2.0%
需要不足(約11兆円)、景気対策が不足している

出典元 内閣府 月例経済報告主要経済指標(令和5年4月25日)

2.労働力調査 3月 4/28

✅ 完全失業率 2.8%(先月比+0.2%) 
 
完全失業者数は193万人と前年同月比で13万人の増加と、21か月ぶりの増加となりました。
 
離職理由の調査によると、次の仕事を探すなど自己都合で職を離れる「自発的な離職」が前年に比べ12万人増加。外資系IT企業の人員整理や、4月から新しい職場に転職の為の離職、の影響でしょうか。

出典元 総務省統計局 3月 労働力調査 


⑥ まとめ


⭕ 4/27-28、日本金融政策決定会合での現状維持の発表と、5/3開催米国FOMCでの+0.25%利上げ観測から、一気に136円台へ円安ドル高に。

⭕ サプライズは無く、安心感から日経平均も大幅上昇(前日比+1.4%)

⭕ 個人的意見ですが、日本と米国の金融政策の状況から考えれば、現在が今年の円安ピークに思えます。

 直近の「米国株投資のパフォーマンス」と「ドル円為替」を考えれば、今は米国株売り利確のタイミングかも?! と悩むところです。

⭕また、円安に伴い、インバウンドはさらに増加し、巨額な経済効果が得られます。外国人の方は日本に来てどんどんお金を落として下さい、おもてなし致しますw






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