貧乏学生とチャーハンinゴールデンウィーク

大学時代、最初の2年は自宅通い、残りの2年は下宿をしていた。
下宿生とはいえ、高校生の頃から家を取り回していたので家事も炊事も生きていく分には問題ナシ。気ままな一人暮らしライフを謳歌していた。

また、下宿先は大学まで徒歩15分、実家からは電車とバスを乗り継いで約3時間の所にあったため、帰省するのに困るということも無かった。

下宿し始めて約ひと月が過ぎた頃、ちょうど学祭と創立記念日とゴールデンウィークが一続きになる期間がやってきた。
もともと隠居仙人のような学生生活を送っていたこともあり、学祭とは無縁である。よって学祭に繰り出すという選択肢は消える。勿論準備とかそういうのもナシ。
友人と連れ立ってどこかに行こうかとも思ったが、行楽シーズン&友人は学祭の準備で忙しい。それも消える。
となると最後に残っていたのは親からの「ちょっと一回帰って来い」というLINE。何だかんだ言って心配なのかね、と一度帰省することにした。

そうなると準備に取り掛からねばなるまい。
何せ休みは連続9日間もあるのだ、下手を打てば次下宿先に戻ってきたときに阿鼻叫喚の地獄絵図となる場合がある。

取り敢えず腹拵えでもするか、と急斜面を登り大学生協に向かう。
時刻は午前11時、春うららかな陽気の下、学食には
「明日から学祭等により休講日となりますので、本日は営業致しません」
という無慈悲な張り紙。

ならばと隣の売店に目を向けると、
「本日:短縮営業 学祭期間・ゴールデンウィーク中は営業致しません」

学問の府に慈悲はないのか。
一縷の望みをかけて売店に入ると、店内にはラジオから昭和歌謡が流れ、人がほとんどいないという終末世界感がバリバリに漂っていた。
これはもう期待できないだろうな、と思いつつパンコーナーを覗くと案の定パンが全くなく、その他おにぎり・弁当・サラダ・果てにはアイスやスイーツまで全滅状態であった。「赤い風船」「お嫁サンバ」そして「ペッパー警部」のトリプルパンチが更に哀愁を誘う。

そういえばこのキャンパスは学祭会場でもない上に『暗殺教室』もびっくりの冷遇感である。読んだことないけど。

徒労感に塗れながら山を降りる。自宅に戻って冷蔵庫をチェックするも、ほぼ食材はない。だって帰省する予定だったんだもの。手っ取り早く作れる冷凍食品もない。だってまだ1か月目だもの。
買い出しに出ようにも所持金がない。ATMは近所にない。大学内にATMはあるが、これも休講故に利用停止となっていた。

家の中にあるものといえば、冷凍したご飯、パスタ、僅かばかりの調味料、以前作っていたチャーシューもどき。

すぐ作れて腹持ちの良いレシピがいくつか浮かんだが、その中で手っ取り早いのは、炒飯である。

本当はもう少し漬けていたかったチャーシューを取り出し賽の目状に切ると、フライパンにオリーブオイルを引いて(それしか洒落た油が無かった)、チャーシューを投入する。本当は野菜も欲しかったが致し方あるまい。炒飯は炒めた飯の略である、野菜の要素は名前には出てこない。あった方が贅沢だけども。

いい感じに焼き目がついたところで春の陽気で若干解凍されかかった冷凍ご飯を入れ、チャーシューの漬けダレを回しかける。醤油・みりん・薬味・砂糖・諸々の甘辛い匂いが漂う。貧乏学生のテキトーさでも何とかなるんだな、と思いつつ皿に盛る。

そんなこんなでご飯:チャーシュー=7:3のただの炒めた味付きご飯に近い何かを食す。

この大学学食のチャーハンをウリにしてる割に食えねえってどういうことだろうと考えながら、社会人になったらもっといい感じのチャーハンが食べたいなと思った昼下がりであった。


その4ヶ月後、南国はインドネシアの地でナシゴレン(ご飯を油で何やかんやしたもの。炒飯に近い)を食うことになり、その1週間後に腹痛で死にそうになることになる。


そして社会人2年目の現在。今のところ学生時代に思ったような「いい感じの」チャーハンにはありつけていない。

#チャーハン大賞 #エッセー #貧乏学生 #チャーハン #ナシゴレン #インドネシア語でゴレンは油を使って何やかんやするみたいな意味があるので語の意味的には二つとも同じなのだろうか #画像は多分インドネシア #ザチャーハン

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現在無職。文章を書いたり、何か面白そうなアイデアを出したりして、誰かの人生が豊かになれば良いなと思っている。

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虚数

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