見出し画像

俺の読書感想文 #4 【聖の青春 大崎善生】

俺の読書感想文第4回はノンフィクションだ!


純粋さの塊のような生き方とありあまる将棋への情熱ーー
重い腎臓病を抱えながら将棋界に入門、名人を目指し最高峰のリーグ「A級」での奮闘のさなか、29年の生涯を終えた天才棋士村山聖。名人への夢に手をかけ、果たせず倒れた”怪童”の歩んだ道を、師匠森信雄七段との師弟愛、羽生善治名人らライバルたちとの友情、そして一番近くから彼を支えた家族を通して描く、哀哭のノンフィクション。
第13回新潮学芸賞受賞。(表紙裏のあらすじより)


マジで何度も泣いた。
こんなに一つの本で何度もポロポロ涙を流す作品は初めてかもしれないぞ!
涙腺が弱くなっちまったんかな。
作者については以下Wikipediaより引用。


大崎善生のデビュー作であり、第13回新潮学芸賞、第12回将棋ペンクラブ大賞を受賞した。また、講談社文庫版が、2012年に、第二回広島本大賞を受賞。
大崎の友人が育てていたノンフィクション・ライターが病気で急逝し、その物語の書き手にフィットする人が見つからず、その友人が漏らした「大崎さんが書いてくれるとええんやけどなあ」の一言が転機となり[1]、当時日本将棋連盟出版部に勤めていた大崎が執筆を引き受けた。


なるほど、著者の大崎善生は村山聖やその師匠の森信雄とも親交があり、だからこそ登場する人々の描写がリアル(ノンフィクションだからリアルってのもおかしいけど)なのだろう。

もうホントに、読んでて何度も何度も泣いた。

多分、本当に村山聖という人間は真っ直ぐだったんだろな。
真っ直ぐすぎて、他人とぶつかることや、ちょっと変な奴と思われることも多かったんだろうけど、いろんなエピソードが、マジで胸に刺さったよ。

幼い頃から病院生活で、同じような年頃の子供達の死を目の当たりにしてきて、誰も傷つけたくないと一人暮らしを始めた部屋に出るダニとかも殺さないような性格で、勝てないとクビになる厳しい将棋界で、他人を蹴落としてのしあがることに悩む姿や、その自分自身に対する矛盾を緩和するように18歳で日本フォスター・プラン協会ってボランティア団体への寄付活動を始めるとかって所や、年齢制限で奨励会の退会を余儀なくされた友人との最後の飲み会での互いに泣きながらの殴り合いの大喧嘩とか、もう各エピソード読みながらポロポロ泣いちゃったよ。
つか、今思い出しても目頭が熱くなる。

膀胱癌で心身ボロボロになっても将棋の事を第一に考えていて、再発防止の話し合いの際に、

「抗癌剤にしろ、放射線にしろ、根本的でなく延命的な治療は自分には必要ない」

「頭と将棋に悪影響を及ぼす可能性があることもやめてほしい」

って言い切るくらいだぞ。28歳で。もうレベルが違うよ。
無目的に生きてる自分が恥ずかしくなるよ。

俺たちみたいな普通の健康な奴らは長生きするために生きてるみたいな部分があるじゃん?
でも、それって考え方によっちゃ馬鹿みたいだよね。
みんな最後は死ぬんだ。どれだけ長く生きるかより、何を成したかが大切なのかもしれないよね。
金集めに奔走して健康のためとかって薬ばっか飲んで、勝ち組とか負け組とか横目で周りを窺って、社会の歯車としてすり減って最後は死にたくないって延命治療受けて生きてんだか死んでんだかわかんない状態で何年も寝たり気になって、誰にも看取られず死ぬの。それで本当に幸せなんですか?ってさ!

そういう意味では、自分の人生が他人より短いということを知っていて、生涯で成し遂げたい夢があって、時に他人を蔑ろにしたって、その夢に向かって全力で駆け抜けた村山聖という人間は幸せだったのかもしれないと思うんだ。

少女漫画と小説を愛するお茶目なところや、爪や髪だって生きてるんだって伸ばしてしまう性格とか、皆に可愛がられたり、時に煙たがれたり、それは人間的な魅力がめちゃくちゃある人だったって証だろうけど、それは村山が生来持っていた性格ではなくて幼い頃からの病気、死と隣り合わせの生活の功罪なのかもしれない。
だから、簡単にカッコいいとか憧れるとかって言えないんだけどさ。

……まー、これは俺の感想を好き勝手書く場所だからいいか。

ただの凡人の俺がどーのこーのって言えることはないんだけど、村山聖という人間の強度をノンフィクションの作品越しではあるけれど触れて、やっぱ、彼の生き様をカッコいいって思ってしまったし、惹かれてしまったし、憧れてしまったよ。

一月に読んだ作品なんだけど、もうこれ2024年のベストなんじゃないか?
ってくらい心に残った作品でした。

のうのうと暮らしてる奴ら、読んでみろ!
自分の人生が恥ずかしくなるぞ!
そして、明日から目標を持って生きていこうって思えるぞ!

……でも、結局日々の暮らしに埋もれていくんだ俺たち凡人は。
何馬鹿言ってんだよ、それが幸せなんだよって、死と隣り合わせで病気と闘ってる人には言われちゃうかもな。
情けない。

色々考えてしまう。良い作品だった。
以上!


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?