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ここで根を張り、私らしく。vol.3

B : 今はコロナ禍もあり、お子さんもいらっしゃるのでレッスンは少し抑えている感じですか?

M:基本、息子が中心の生活なので、前みたいにバリバリ仕事をすることはなく抑え気味です。産後にレッスンを再開するにあたり、この子を義母に預けられる曜日、時間にしようと思ってたんですね。でも由美さんと話したら、レッスンの時に子供がいてもいいんじゃない?と言われて、あ、そうなんだと思って。初めての方の時は預けますが、リピーターの方のレッスンでは子供がいることも。皆さん、面倒を見てくれてとてもありがたいです。

B : 子供がいてもいいよって方も、きっと多いですよね。今はお子さんと共に、良いペースでお仕事できている感じでしょうか。

M:そうですね。例えば子供が生まれてから、静岡伊勢丹さんから声をかけて頂いてイベント出展させてもらったんですが、子供がいるという事に対して、すごく前向きに考えて下さるんです。預けられるときに無理のないように立っていただければ、っていう感じで、すごくやりやすいようにしてくれました。

B : それは今までの静岡での活動を見てくれて、声をかけてもらった感じだったんですか?

M:最初は百合香ちゃん(インタビュー第3回参照)が出展していて、会いに行ったんですね。そうしたら担当のマネージャーさんがぜひお話したいといってくれて。東京や他地方からのフローリストさんもですが、地元の静岡に住んで活動している方といろんな展開をしていきたいという事で、それでお話を頂きました。お花の標本の販売と、売り場に私が立てる日は生花の販売もしました。

伊勢丹のほかにも、ギャラリーでの企画展に参加されたり、お子さんがいて活動は抑えめといいつつ、しっかりと静岡に根を張り、実績をかさねてみえます。フローリストとしての実力はもちろんですが、「お花の標本」という彼女独自の作品を生み出し、ご自分の世界観をしっかりと築いているからなのかなと感じます。

そんな彼女のお宅はご主人とDIYでリフォームもした古民家。以前のお住まいも素敵でしたが、Instagramの写真などに写る素敵なしつらえにセンスを感じます。毎日の暮らしのことも伺ってみました。


2019年お花の標本WS作品


B : 由美さんとのコラボイベント時の家からお引越しされてますよね。DIYで床を貼ったりしていたのを投稿で拝見しましたが、今の家は持ち家なんですか?

M:いえ、賃貸物件です。前の家は取り壊されることになって、立ち退かなくてはならなくなって。次に住むなら農業のお手伝いも始めたしなるべく近くにと思って、同じエリアで探したら賃貸物件として見つけました。もとに戻してくれるなら好きにしていいよ、っていう物件で。なので原状復帰も考えると、あまり大きくは変えられないんです。息子が動くようになってきたので段差とか危ないし、古い家はちょっと不便ですが、古布のキルトをかけてみたり、取り外せるようなものでなんとか工夫して居心地よくなるようにしています。

B : 息子君、一歳になったんですよね!可愛い時期ですね、でも目が離せなくなってきましたよね。保育園に入れることは考えていないですか?

M:今のところは考えていないです。でも周りがじいじばあば世代というんですか、上の世代の方が多くて。可愛がってはくれるんですが、ご近所に子育てをしている同世代がいないので、ママ友もいないし笑、息子も同世代のお友達と遊ばせたいとも思うので、迷うところですね。zoomとかで昔からの友達と話したりはしてますが、やっぱり近くに、同世代の友人も欲しいかなとも思いますし。レッスンに来てくださる方には一通り子育てを経験した少し先輩の方が多くて、いろいろ教えて頂いたりして助かっています。

B : なるほど、今はお出かけも気軽にしづらいし、お友達を作るのも一苦労ですよね。。それでも周りの方に息子さんも可愛がってもらいながら、お仕事も子育ても、農業も楽しんでいるのが伝わります。大阪や、パリに留学してフローリストとして頑張っていたころとのギャップみたいなものも結構あるんじゃないかと思うんですが、もっと活動したいとか、焦りみたいなものは感じたりしないですか?

M:来た当初は、同時期にパリに留学していた子たちと自分を比べたりして、静岡に来たから、、とかもやもやした気持ちもありました。全然、知り合い居ないし、大阪にいたほうが良かったとか思ったりもしましたけど、今はこの暮しというか、ペースが自分に合っているんじゃないかと思っています。焦りとかは一切なくなりましたし、すごく楽しいです。
結婚前は実家に住んでいましたから、「暮らし」ということにあまり気を留めていなかったんですね。お給料もらったら全部、服に使ったり。今は暮らしが一番大事、家族と過ごすこの家での時間がすごく大事になってきて。だから、お花もぱっと華やかにというよりは、もっと暮らしに溶け込めるようなものが提案できたらいいなって思っています。

育てた花を使うということも、暮らしに寄り添うものを提案したいという彼女の思いにつながることでした。そしてライフイベントで生活が激変する大変さは、私もですが、これを読んでくださっている方にも経験したという方が多いのではないかと思います。特に転居は一から生活を作らなくてはならず、色々なストレスも感じます。だから真由美さんのこれまでの歩みの中での葛藤はすごく共感できますし、それを乗り越えて今を楽しむ姿勢に、とても元気づけられます。

そんな真由美さんの越し方、花仕事を始めたきっかけやパリ留学のこと、もう少し知りたくなって、改めて振り返ってお話をしていただきました。

※インタビューは2021年8月

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