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Happy Silence 言わない訓練

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そろそろみんな口をつぐんでもいい時期が来たと思う。
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「静寂」のいる場所

私は誰かに「さみしい」と伝える。
誰かは私に「その気持ちわかる」と言う。
私はそれで少し孤独から解放される。

はずだ。

でもそんなことはない。
自分の孤独が他人にわかるはずはない。
同時に私も他人の孤独がわからない。

さみしさの押し付け合い。
さみしさの一方通行。

それが大前提だ。

それを大前提にして、私は相手の気持ちがいまどんな気持ちかに意識を集中する。
相手が堕ちていくなら、一時でも

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それがなんだっていうんだ

それがなんだっていうのだ。
それになんの意味があるというのだ。
それをしたからなんだっていうんだ。

と、人はつぶやく。
そして「それ」の無意味なことをあげつらい、「それ」を無力化させる。
そして「それ」がなかったものとして日常へと戻っていく。

それに本当に意味がないのか。
ならばなぜ、それがあなたに浮かんできたのか。
なぜあなたにそれが降りてきたのか。
一瞬でもなぜそれにキラキラとときめいたの

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苦しいと思ったときに支えたい話

人は何かのために何かをする。
人はその何かを得られないとき、苦しむ。

これが苦しみのシンプルな原理だ。

あなたは苦しんでいる。
もし苦しんでいるなら、何かが得られていないからだ。
実にシンプルだ。

カネや恋人など具体的な対象を持つ場合はわかりやすい。
しかし、それが名誉や自信などとなると、自分が何でこのように毎日苦しんでいるのかさえ、わからなくなってしまう。

あなたは苦しんでいるだろう。

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参加したいという病

参加する。
とてもいい言葉だ。ポジティブな響き。
つながっていく、人と人。人と社会。生きている実感。

それを茶化すつもりはない。
ヨガサークルで汗を流す、ボランティアに精を出す。
デモに加わってみる。

悪いことではない。
むしろ推奨されることかもしれない。

ここで病と呼ぶのは、そういう次元の話ではない。
無意識の世界である。

よくキリスト教は嫌いだ。アメリカは悪だと、
知的めいたコメントを

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なぜ人は静寂を恐れるか

私たちは静寂の空間にいることに耐えられない。
静寂の中で何時間もたたずんでいることができない。
静かな空間にいると、焦燥や不安、退屈がわき起こってくる。
そして漫画を読んだり、さして興味のないテレビや音楽を閲覧する。

私たちにとって、静寂は恐怖である。

なぜだろう。

漫画やテレビや音楽は物質世界の産物である。
それ対極に、あの世界、そう、霊的世界がある。
霊的世界というとスピリチュアルに聞こ

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自分はそんなに立派な人間ではない

誰でも自分はかわいい。
私も自分はかわいい。
当たり前な話だ。
みんな自分がかわいい。

自分がかわいいから、自分をお化粧する。
美容の話ではない。
心のお化粧の話だ。

自分はこういう人間だ。
かわいい。
やんちゃ。
ポジティブ。
キレ者。
実は大物だ、などなど。

確かにある一面ではそうなのかもしれない。
たぶん、そうありたいと思っているのだ。

ところで、私は最近、ある発見をした。
他人は自

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心の中で言葉を醸成させることの意味

言葉をまき散らす。
言葉を垂れ流す。

発信している側はそれに酔いしれているから心地いいかもしれない。
ただし一瞬だけ。
しばらくするとまた何か言いたくなって、言葉をさらにまき散らす。

スカスカの言葉が、ネットの中をかけめぐっている。

言葉を寝かすこと。
それは思わぬ効用も自分にもたらしてくれる。

気持ちもアイデアも一緒だ。
ひとつの言葉、着想をいったん寝かせてみる。
具体的には、一度、睡眠

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その情報は本当に発するに値するか

自分の大切な思いを人に伝えたい——。

その気持ちは誰にでもある。
私にだってもちろんある。
なぜ伝えたいか。
それは、自分を確認したいからだ。

私は自分の思いを伝えることを自制している。
私もTwitterなどSNSをまれに利用する。
だが、感情を発露することをふみとどめている。
SNSに発することは、主に誰かの役に立つであろう確信があるときのみになった。

Twitterなんか、娯楽なんだか

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Happy Silence 言わない訓練 #1

そろそろみんな口をつぐんでもいい時期が来たと思う。
私もかなりのおしゃべりだったが、最近はとても寡黙に過ごしている。
数年前に、拙著『29歳からはじめるロックンロール般若心経』ほかいくつかの書籍を上梓した。
その後、ふと思うところがあり、執筆活動をやめた。
いまはギターをぽろろんとつま弾きつつ、地味に暮らしている。

自分はおしゃべりが過ぎたと反省した。
みんなに自分の考えを知って欲しかった。

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