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臍が湯を沸かす

〔解説〕

 近年は「お茶を沸かす」という言い方が減りつつあることから、日本格言審査委員会が見直しをおこない、最終的に「臍が湯を沸かす」となった。

 元の「臍が茶を沸かす」は、「あまりにもおかしかったりばかばかしかったりで、笑わずにはいられない」ような状況を揶揄したものだ。
 「臍で茶を沸かす」や、省略して「臍茶」などとも言う(※パロディーではなく事実)。
 このうちの「臍茶」については、同委員会の一部委員から「別に長くはないのになぜ省略するのか」とか、「梅茶や昆布茶同様に『臍のお茶』みたいだ」などという声があがり、審議する方向で検討中である。

 本題の「臍が湯を沸かす」は、単に茶が湯に変更されただけで基本的な意味は変わっていない。意味の解説は割愛する。

〔さらに解説〕

 言葉に強い関心と愛情を抱く人たちの間で長い間論争が繰り広げられている「湯を沸かす」か「水を沸かす」かという問題がある。
 日本国語大辞典(第二版)では「沸くようにする。水などを熱して煮え立たせる。また、水を適温にまで温める」とある。これでは少々曖昧で、まるであたたまった水やさめた湯のようにすっきりしない。

 これではきりがないので、同委員会が急場しのぎの独断と偏見で「湯を沸かす」に決定した。
 大雑把な根拠として、前記大型辞典以外の小型国語辞典の大半に「湯を沸かす、風呂を沸かす」という使い方例が出ていること、「湯沸かし器」などのように、「湯を沸かす」がすでに広く通用していることがある。

 なお、元の「臍が茶を沸かす」には以下の類語がある(※パロディーではなく事実)。
 「臍が宿替えする」は、あまりにもおかしくて臍がどこかへ行ってしまいそうという意味。湯を沸かすより衝撃的と言える。
 ほかに、「臍が縒(よ)れる」、「踵(かかと)が茶を沸かす」など。

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