据え膳食わぬは女の恥
〔解説〕
据え膳は、すぐ食べられるように準備した食膳を人の前に出すことだ。しかし、このことわざの場合は意味がちょっと、いや、ちょっとどころかだいぶ異なる。
この「据え膳食わぬは女の恥」の元になっているのは、よく知られた「据え膳食わぬは男の恥」である。その意味は「女のほうから男に言い寄る」というもので、せっかく女が誘いをかけてきたのに、それを断るのは男として恥であるという例えだ。
これはパロディーではなく、本来の正しい意味であるので、凡筆堂はいやらしいなどと誤解しないでいただきたい。
〔さらに解説〕
ところが、現代ではかなり様相が異なり、恥をかくのは女となった。
「ねえ、あたし、ちょっと飲みすぎたみたい、うふ~ん。近くのホテルで休みたいわ。ベッドであたしを介抱して」
「ええっ、そりゃまずいよ。どこに人の目があるかわからないじゃないか。タクシーを呼んであげるからさ、とにかくおれは帰るよ」
というような場合、女にしてみれば大恥をかかされたことになる。
「女だって、やりたくなるのよ。今夜いいでしょ? 安全日だし。あたしをめちゃめちゃにして」
「うへえっ、直球ど真ん中の剛速球! だけど、おれ、やっぱカミさんが怖いからやめとくわ」
これもやはり、直球を投げた女としては生き地獄級の恥となる。
で、次のケース。
「ねえ、今日のあたし、勝負下着なのよ。フランス製の高級品。あなたに脱がされたいの」
「どひゃー! なんてラッキーなんだ」
ということで双方にとってベストな結果となる。
しかし、純情な男が興奮しすぎて、わずか数分で終了となったりすれば、それはまた別の意味で、女ではなく男が恥をかくこととなる。
くれぐれも、凡筆堂はいやらしいなどと……。
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