豆腐の悲運
豆腐には、食品なのに「腐」という字が使われている。食品に「腐」とは、もっとも忌み嫌われる関係ではないか。なんという皮肉な、そしてお門違いな組み合わせなのだ。
どこの誰が、どんな意図でこんな命名をしたのだろう。
「豆が腐った」のか「腐った豆」なのか。誰が名付けたのか知らないが、変な名前だと常々思っていた。
ところが、あるとき偶然、「腐」には腐るという意味のほかに「固体でも液体でもないようなもの」という意味があることを知った。なるほど、そういうことかと、一応は納得できた。
しかし、たいていの場合、一般の人の多くはそんなことは知らないだろう。それに、そもそもこんな疑問をいだくことさえないに違いない。
そのうえ「豆腐で頭を打って死ね(豆腐の角に頭をぶつけて死ねともいう)」だの、「豆腐で歯を痛める」だの、「豆腐にかすがい」だのと、これでもかとばかりにこきおろされている。
ああ、やっぱり豆腐は悲運だ。
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