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黄金期を彩る NCT NATION

7年越しの夢が叶ったNCT全体コンサート【NCT NATION:To The World in Japan】個人的に楽しかったKpopの現場トップ3入りを果たしました。アーティストと音楽で意思疎通ができるライブは段違いの楽しさがあると思います。3グループがそれぞれ異なる道のりだったからこそ、違う魅力を放っていました。今回、初日公演の1度のみ伺ったので情報量は少ないですが、折角なので簡易レポートを残します。オーラスの配信で記憶補完できたので記念に。

NCT STADIUM LIVE ’NCT NATION : To The World-in JAPAN’より

SM懐古エンターテインメントは忘れた頃にコンテンツをあげてくれるはずなので、全てが終わるまでがNATIONです。X日目、いきましょう。

拙者の情報
▷NCT127(イリチル):初期の現場 英雄以降緩く追う
▷NCT DREAM(ドリーム):単独では追っていない
▷WayV(威神):初期からメインで追っている

公演場所が発表されたとき真っ先に脳裏に浮かんだのが、2014年のSMTOWN東京公演。このときの開催地が味の素スタジアムでした。確かオープニングアウトでルキズメンバーが出演していましたね。9年越しにNCT単独で戻ってきたことになります。チビ神起のGrowlが懐かしい。



本題へ。以下、VCRの感想は飛ばします。

オープニングアウト

全7回の深夜放送にてオーディション番組という名の最終選考を見せる番組LASTARTにて選ばれた7名 NCT新チームのメンバーが登場。(事前告知無しでジョンミンが不在)初舞台がスタジアムとは、凄い度胸がつきそうです。若々しいマンネたちはNCTデビュー時には9歳。ある意味、無限拡張らしいラストを飾る形となりました。RIIZEはドリームと年齢が近く韓国籍のメンバーが多いので兵役のことを考慮すると、日本国籍且つ現役の学生組が大半を占める彼らがNCT入りしたのには納得かも。個人的には、練習生期間3ヶ月 規格外のパワー系ボーカリスト デヨンの活躍に期待しています。


序章

NCT STADIUM LIVE ’NCT NATION : To The World-in JAPAN’より

INTRO:Neo Got My Back
いよいよ幕開け。落ち着いた音色に美形の高貴仁王立ち芸。敢えて冷静に美を突きつけられると謎の高揚感があります。メンバーはスカウト組が多いため"よくこれだけの多種多様な美を集めたな"と感じ入る。なんだか腕組みしてるキャスティングチームのドヤ顔が見えてくるプロローグでした。


第一章

The 7th Sense

音楽という“同じ夢”を通じてお互いを感じて理解できる感覚、というNCTの基盤を作ったデビュー曲。原点回帰と共に、待ちに待った長丁場の祭典の始まりを知らせる。コレクションさながらの美形ウォーキングにてメンバーが去った後に残るネオ起点の5人の立ち姿がカッコ良かったです。アイドルらしからぬ落ち着いたフューチャーベースサウンドでまさかの玄人向け楽曲でのデビュー。ルキズを緩く追っていた身としてはここでファンを篩にかけるの⁉︎という驚きと新時代を感じた曲でした。そして7年の時を経てスタジアムで見る第七感は、より一層特別感があります。

Limitless
日本公演でも、あの頃のリミレス衣装を再現しているようでした。音楽番組にて1位が取れそうで取れなかった曲。ネオカル曲の中でも上位に入るくらい自分は好きですね。イントロが最高です。軽やかに来るかと思ったらどっしりとした重低音が刺さる。パート割りの比率も関係してか以前はマクヨンの存在感が強かったのに、今は横並びになったな…と回想しながら見ていました。

Take off
後ろのモニター映像がまるで3Dのようで立体感があり綺麗でした。新生 威神Vによる『WayV史上最も大きい会場で中国語曲を披露』ということでこれまでの軌跡と想い出が走馬灯のように駆け抜けていきます。

威神を語るには欠かせないコンテンツ少年威计划
(必見ステージ映像はこちら

年下組がテンちゃんのパフォーマンスから良い影響を貰っているように見受けられられて、場数を踏む度に自信が出てきてファンも都度増えているように思います。威神は圧倒的な存在感を放っていたメンバーの脱退によって先行きが見えぬ不安もありましたが、こうして受け入れられる所まで来たのは6人がマメに現状報告をし、パフォーマンスで新体制の威神色を確立してくれたことが大きいと思います。更なる飛躍を願うよ。

BOOM
黄色い歓声と共にエース ドリームが登場。猫ちゃんうさぎちゃんさんこと、ナジェミン氏による悩殺”ice cream”を聞くために数小節前から群衆が静寂に包まれる。なんだか掛け声以上の一体感がありますね。面白かった。

ドリームの単独コンサートには行ったことが無くコンテンツも未履修が多いため、過去のライブ映像を見漁り予習をしてきました。卒業制度を卒業したことでさらに強まった絆、その団結力が群舞コレオでの揃いだったり、全員で同じ方向を見ていることが曲中にも伝わってきました。ファンが喜ぶことを把握していてパフォーマンス中に出来てしまう余裕さが、10代から第一線を走り続けるプロアイドル様の凄さと思った次第です。

Black on Black
各グループ、1曲ずつお披露目した後に最初の団体曲BOBがきました。このときの衣装が一人一人によく合っていて、スタイリストさんの拘りが見えましたね。(神レポはこちら)ユッケイパートをどうするのかと思っていたら、少し溜めたあとに威神の3人ヘンシャオヤンが登場しました。NCT2018 Empathyでは活動期に既存メンバーがWayVのデビューを匂わせていて、彼らルキズ出身の3人は未加入で。。この再編成はとてもいい演出でしたね。

2018年前後のアートワークは特に勢いがあった。未だにMentaryとか定期的に見返していますよ。


第二章

Interlude:Oasis
VCR明け、ここで急に空気が変わる。次章へ。最も難しい歌い出しを担当するのは物怖じしないタイプのチョンロ。切なさがある声と後ろのエモ映像がぴったり嵌っていました。そんなチョンロとジェヒョンは声の相性がいい。この2人は割と見る組み合わせだし、ピッチがいつも合っています。なんだか音を聞いて雰囲気に合わせて歌うというよりその曲の音程が頭に入っている気がします。もしくは絶対音感。そしてEmpathyのInterludeの語りに続きユタウィン。異世界の案内人感があった憑依型のジェミン。NCTのアルバムには『語り』があってこそ。

WITHOUT YOU

クン哥込みで絶対に聴きたかった。"伝説のバンド部の引退ライブで聴いた、二度と取り戻せないあの頃"を想起させる曲です。初日では感傷に浸っていたのか少し歌い出しが遅れたクンと目が潤んでいたドヨン、安定して歌うジェヒョンというバランスが良かった。もちろんテイルさんがいたらどんなに良かったことか…。当時、中国の音楽祭(音楽風雲榜年度盛展)をWeiboで見ていたので、7年の月日が経つ早さを感じながら、色が変わりゆく美しい空を眺めて聴き入っていました。セルフエモタイム。

Round&Round
このテイストを歌いこなせるのがNCTの凄みだよ。faded in my last songと共に屋外ライブでセトリ入りするとは思わなかっただけにイントロが流れた瞬間から感激。どんな声とも調和するテンの歌声とスパイスになるユニークボイス ヘチャンをサブで置けるNCTボーカルの贅沢さ。

Know Now
MCも挟むことなくひたすら音楽に浸っていたら急に外周でまわりだす。不意打ちでトロッコから現れたマークとロンジュン。マークさんの重鎮のような貫禄には圧倒される。箱が小さい時から見ていたけれども、以前には感じなかったエリート社員的な緊張感を纏った独特な目付きが印象的。「自分がやってきたことは間違いなかった」とでも言うような納得しつつファンを見渡し、頷くその姿は背負ってきたものの大きさを物語っていました。隣にはセーラームーンのマーキュリー化したような青髪美人のロンジュンさんがいて、そこだけ異空間。マーク先生のオーラが強烈で曲のことは覚えていません。

Vroom
メンバーの組み合わせが珍しいです。元はショウタロウも参加していた曲。歌詞は甘いけれど、音色は昼寝~夕方の時間帯に聴きたくなる曲でそんな楽曲にはチョンロの歌声が合う。クン・チソン・チョンロが上手側のサイドステージに来てくれました。みんなかわいいって凄いねという人間観察タイム。これもまた曲の感想ではありませんが。。


Kangaroo

追い討ちをかけるようにサブステに一同集結。急に来るじゃないか。致死量の美の光線により一瞬見えなくなった視界がクリアになってきたところで急いで目線を移す。そこにはヤンヤンがいました。雑念を消すかのようにステージ上だけを見つめて階段を駆け上がり、まさかの目の前で留まる。5月以来の歯列美を拝んだ。治療が苦手で久しぶりに歯科医院に行った際、虫歯が10本ほど発覚したので引き続き通院のモチベにするよう見入りました。

年長組のクンとテイルが選ばれた理由が分かる一枚

カートで連れてこられたクン哥はお手振りで登場。余裕をかます世界の旦那。終始カメラ目線の人もいれば、視界に入る観客にファンサ付きのパフォーマンスをしたり…と人それぞれ。

・チソン→小顔過ぎて目線を捉えられず 
・ヤンヤン&ロンジュン→キキララ2人の世界
・クン哥→ネギ棒を見てこちらに微笑む、仕掛けてきた(?)
・チョンロ→愛嬌満点でも音を全く外さない


Coming Home
「STATION X 4 LOVEs for Winter(2019 SMTOWN Winter)」で発表された曲。珠玉のバラード。ここから4曲続けて夕暮れ時にバラードを入れてくるのが最高でした。


My Everything
三者三様の美声をじっくり聴く曲。テイルさんの声は、芯が強く伸びやかだからこそ、繊細なロンジュンの歌声があわさるとマイルドになる。そこで終わらないのがNCT。心の機微がダイレクトに声に現れるシャオも加わり幻想的な美声がミルフィーユのように重なる。中華兄弟2人での披露となりましたが、十分満足がいくもので彼らは歌声で空間を支配していました。

Good Night
音程が取りにくく音響環境が悪いとかなりピッチが怪しくなる曲ですが、かなり気持ちよさそうに歌い上げていました。ロンジュンは声の調子が非常に良かったように思いますね。だからか本人が時折、歓声をもらいにいくような仕草をしたりする余裕もあった。心地良くてかなり眠かったです。


From Home

一面に光るオレンジライトと暗くなりつつある会場。"お、来たぞ"と起床。バラードのトリにFrom Home。2020年のステイホーム期間に発表されたのでようやく生で聴けた喜びに加えて、夕暮れの情景と共に思い出に刻めた奇跡に感謝したい。屋外でのライブは時間経過も演出の1つになりますね。本当に幻想的な空間でした。”自然”は人のナチュラルな表情と美しさを引き出します。バラードタイムの横揺れペンラの優しい絶景を目に焼き付けました。

余談ですが、この曲を聞くとMAMAでのステージとその日の深夜に公開された動画のことが思い浮かびます。

このサムネのジェテンを撮っていたのはハンソル。NCT入りが確実視されていた彼やショウヘイ、名前は公にはなっていなかったけれどルキズショーの初期にいた子の存在やソンタロ・ルーカスなど、みんな元気にこれからも頑張ってほしいとエールを送りたくなる。メロディーと共に温かな気持ちが湧いてくる曲です。


SHALALA

『最上おしゃれお経ソングにかわいい服の着こなし、超ネオ男(意訳:最先端だね)』が一言で表す感想。誰もが認めるアンドロイド系の美形が大衆を寄せ付けない一癖も二癖もある曲でソロを飾る、ネオをネオたらしめている人らしいパフォーマンスでした。童心が残る素朴さが独特の表現力として表れているのではないでしょうか。アルバムを手に取ったとき、そんなことを思いました。


Perfume
前曲と続けて披露すると、あまりにも対照的に思えた画報組、アンバサダートリオ。

イリチルにいると王道イケメンたちの仕立ての良い純白スーツは貴重になる。この3人がテヨンと同じ固定ユニットに属しているのは面白いなと改めて思いました。会場全体が甘い香りに包まれたね。


Broken Melodies

コレオも相まって少年合唱団感があった。なんかボーイスカウトの大会テーマソングとかに選ばれそう。元祖ドリームらしい音色という印象を抱きました。踊りながら細かい音取りを余裕でやってしまう7人。

ISTJ
美声ジェットコースターに揺られながら、次々と高低差のあるハモリが耳に入ってくる。ケミ人気の高さと掛け合いが上手いドリームは2,3人のユニゾンが目立ちますね。ロンジュンの声は春を運んでくるような柔らかさがあるので転調部分に持ってくると一気に世界観が変わって引き込まれる。疾走感を保ちながら終わっちゃった。もう一回、絶叫アトラクションに乗りたくなるような癖がありました。音源聴き返します。

Best Friend Ever

僕らの世界はそんな完璧でもない 誰かが笑って 誰かは泣いて 空の雲のよう 答えなんてない

異国で生活していると、こういった何気ない日本語の詞の美しさや温度感がダイレクトに伝わる言葉に感動しやすくなります。以前、マークへのインタビュー時に彼が言った『”それぞれが今がそうだ”と考えるときこそが青春』という言葉を思い出しました。大人になっても自分たちらしい青春を更新し続けるのも悪くないよね。ドリームの曲は読後感がある。次はどんなテイストかなと気になってきます。

Kick Back 秘境
イリチルに対する声援が、ファンの自負心混じりの力強さ、ドリームには黄色い歓声ならば、威神は美への感嘆。威神2曲目となる秘境では、前向きなメッセージが込められていてサビが乗りやすいというのもあり自然と盛り上がっていました。初日もサビ部分の掛け声は大きかったけれど、豪雨の2日目は更にファンの声援が凄まじかったようですね。そしてオーラスでは桁違いの声量。"逆境でこそ輝きを放つ" 奇しくもこの曲はNATIONで完成されました。


Love Talk 秘語(初日/オーラス)

欧米ズニの国歌ことLove Talk。JAPANでは馴染みが無いようで反応に困っているようなシズニさんが多々。威珍妮は秘語きたぞ!?のザワザワ…だった。音へのノリ方の正解は分かりませんが、彼らが放つCpop特有の哀愁と耽美贅沢空間を楽しめば良し。

Phantom(Kun remix ver.)

NCT STADIUM LIVE ’NCT NATION : To The World-in JAPAN’より

属性、神。玉座に座るリアル御曹司ヤンヤンにはじまる幻想的な演出の良さはもちろんのこと、クン哥が作る音の壮大且つ優美さがスタジアムの規模感に負けていなくてカッコ良かったです。TMEAでの公開後に再度編曲したのか、冒頭の弦の音・剣のサウンドが際立っていました。LABでの公開が楽しみだよ。

Phantomのアレンジ版は、ダンスブレイク後のクンの歌い出し部分に哀しみの要素が加わり、凄く歌詞にリンクした音色へとバージョンアップしていました。

流言成为时间的荒芜 听不见这孱弱的喧嚣的 let it go──
時間と共に朽ちていく根も葉もない噂、弱さや喧騒なんて放っておいて

クン哥パートの訳



Kick it
イリチルらしい漢。前年は米国進出に力を入れていた中で一気にアジアンテイストに戻り、勢いに拍車をかけた英雄kick it。真骨頂です。ちょうどパンデミックの時期に差し掛かる頃で発表された曲で予定していたツアーはキャンセル。アイドルの光と影を感じたような2年後にようやくオフラインで見ることができたときの感動とはまた異なる盛り上がり方、共に駆け抜けてきた想いまじりのような歓声は、会場のボルテージを更にあげていました。

우리가 어딜 가든 축제 (俺たちがどこに行っても祭り)들어 축배 Like my birthday (祝杯をあげよう 誕生日みたいに)

NCT STADIUM LIVE ’NCT NATION : To The World-in JAPAN’より


Chain
懐かしのChain。下から舐めまわしカメラワーク(オタク?) で日本オリジナル曲にしては面白い曲調だったね、なんて懐かしみ、お台場パレットプラザや豊洲pit・渋谷のタワレコに現れていたのと釣り合わない完成度の”Awaken”は名盤だったなと思い出していました。今回のNATIONでは、懐古することが多かったです。長くも浅く追っている自覚があっただけに、自分の生活にNCTの存在は密接に関わっていたんだなと感慨深く眺めていました。あとこの辺で「そういえば珍しくジャニが服着ている(語弊)」と思って見ていたら、メント時には安定の風呂上がりスタイルに。

2Baddies
初日は「日本で初披露」とだけ言ってたけれど、オーラスでは直前のメントで掛け声練習タイムもあって、ベテランの風格がついてきたイリチルの煽りが最高でした。内面から滲み出る闘争心、悠太パイセンの曲過ぎる。


第三章

New Axis
一呼吸整えてから、固定グル3組の主軸ラッパー登場。3人のステージだと比較して見やすいですね。

▪︎テヨン:自分の色が出ていてコンセプトの方が寄るタイプ
▪︎マーク:言葉を確実に伝えていく強さ、生音で聞いてこそ良さが伝わる正統派ラッパー
▪︎ヤンヤン:曲に合わせて染まり、声色を変える、音楽の完成度を高める存在


The BAT

NCT公式映像より

ここから、息をする暇もないような名曲続き。The BATは衣装が優勝していました。ネオ随一の肉体美を誇るジェノの美しさよ。世界中から彫刻家を招待したい。ミケランジェロが現世を生きる人間だったら、何が何でも最前チケットの獲得に奔走したであろう。また、即興力のあるヘンドリー×ジャニの相性の良さに会社は気付いたようです。ボーカルとラップの繋ぎになるメンバーが選抜されていないこともあり、妖艶ジョンウの甘美な声がいつも以上にいい味をだしていました。テイルさんのテイルズバタフライの成果も見たかったな。

Faded in My Last Song
これを聴かないことには帰れません。セトリ落ちしていなくて心の底から嬉しかったです。寂しさ満載のバラードがあってこそSM。『多様な美声の贅沢使い』を堪能させていただきました。冬の夜・雨の日のお供です。我が脳内映像を完璧に再現してくださっているファンメイドの映像見つけました。いい時代。

オリジナルには、不在だったテイルさんとルーカスまでいた訳です。短調代表ロンジュンの切ない声に、テンの柔らかさが加わり、更には大御所司会者マイク持ちをして音のアレンジまでこなすヘチャンの掛け合い。高音パートを難なくこなす悠太さんにチソンの低音ボイスで締めるラスト。音の層が厚いですね。


OK!
曲途中にトロッコで再びサイドステージにメンバーがやってきます。全くOKじゃない。不協和音のような不思議なハーモニーと掛け合いが続く曲。ひたすらラップを完璧にこなすヤンヤンをはじめ、ライブならではのアレンジ加える人と、荒れている方もいたりと、曲の解釈も様々でカメラでフォーカスされていない時の各々の動きを見られるのはライブの醍醐味だなと思いました。

PADO
ヘチャンの声帯への称賛歌。「何故こうも声にドンピシャな曲を作れるのか」と。いつも裏メロ職人に徹しているヘチャンが主役になります。近くにいる観客をガン見する唯一のメンバーなので、魂を持っていかれる。接客業全般、中でも試食販売とか上手そう。思いがけず商品を買うことになります。

SHINee・マイケルジャクソンに憧れたへチとミュージカル育ちのシャオというこのコンビは、舞台での魅せ方が上手い人を見てきていることが関係してか、歌でオーディエンスを盛り上げることが特に上手い。ステージ掌握力があるんですよね。アイドルに憧れたTHE アイドル的な振る舞いだけでなくて、歌とダンスの基礎力が高くてこそ成せる技を持っている。特異の高揚感に包まれます。

Alley Pop
ステージでも等身大の温厚な人柄がそのまま伝わるドリ王子もこの曲では終始ブチ切れて(シャウトして)いました。そしてこの曲は大阪の兄貴が主役、ごくせんは最終回へ。オーラスは気怠けボイスで現れたナナちゃんが終盤にかけて逞しい腕をのぞかせ会場を揺らしていましたね。

うさぎと猫もビビる腕、カンガルー体型だった

可憐なウィンウィンも吠えていたし、"ちぃちゃん"は、行動の一つ一つが前日から考えていたのかな?と思うベストタイミング。沸かせ方の違いを見ているのは楽しかったです。極め付けはカメラを捉えて微笑む必殺仕事人、ヤンヤン。同じ曲をこなしても全く異なる表現管理ですね。随分と温まってきた会場。次は待ちに待ったあの曲です。



Misfit

祝祭。転載にて失礼。

ラップナンバーはSMの新境地。2020年のリリース当初から「これをライブでやらないでどうする」と言い続けて早3年が経ち巨大クラブ化したスタジアムでの披露は、感無量。もう国歌でしたね。建国していました。屋外の開放感も相まって荒れ狂う群衆。これ、南米ズニなら服を投げ込んでいたやつ。画面越しでも熱量が伝わるペンラ演出にカメラワーク・スイッチャーの素早い切り替え、きちんとお仕事しているドローン。全ての職人技が詰まっていました。そして生粋のお祭り男𝑱𝒐𝒉𝒏𝒏𝒚 𝒔𝒖𝒉の存在の偉大さよ。サイファーに痺れました。

Baggy Jeans
ジーンズ。何でも曲に出来るんだなという初見での感想。貫禄が付いた第七感の5人だからこそ、こなせた難易度MAXの曲。NCT Uの要は間違いなくドヨンだと再認識しました。この曲に限った話ではないですが、NCT楽曲は歌の主旋律のガイド音が無いことが多いですね。メロディーは歌声だけで成立させます。インストだけ聞くとなんの曲か分からないレベルなだけに、4枚目となるフルアルバムGolden Ageでも「真似させる気・カラオケで歌わせる気ゼロ」で突き放してきたところに、まだ最先端をいくその座は譲らない決意、意図を汲み取りました。



Baby Don't Stop/call D
メントで喋り倒したあとは間髪入れず、NCT起源の独壇場。2人でひとつ、初代プリキュア。今や大所帯となったプリキュアも最初は2人でした。デビュー当初は少し弱さが見え隠れしていたテヨンと、ステージのために生まれてきたと堂々としていたテン。そんな2人の目付き、振る舞いが今や[対等になった]と感じるステージでした。性格は犬と猫みたいで異なるのに、奇想天外な発想力・表現するアーティスト色は近い。

Universe
MVでは野球をやっていたのに直前のVTRではバスケットボールが転がってきました。そして、誰もがこの曲で脱ぐ人がいることは想定外だったであろう…。

視力悪すぎ拙者「なにあれ、目?」 連れ「乳首だよ」

謎会話にはじまり、周りの歓声と双眼鏡で確認をし、ようやく上裸ジャケットのシャオジュンを捉えました。そのうち腹に文字書いて仕込んできそう。いつもメンバーたちへの感謝の言葉と人一倍張り切って盛り上げようとする行動そのものが愛。シャオが映る度に笑いが交じった歓声が飛んでいたので、思わぬ形で盛り上がりました。彼はサービス精神が旺盛なので最終日でもちょい見せしていましたね。現場でファンを増やすタイプ。

BOSS
初期の頃、U制度はやや批判的に見られていたところがあったと記憶していますが、それを覆したのがBOSSだと思います。王の帰還。ウィンウィン様の御出座し。ライブでは一面が赤く染まり、会場は最高潮に突入。


RESONANCE
たった1人立ち尽くすマーク幹部。最後の力を振り絞って歪ませるお顔。"声援"が沸き立ち共鳴した。大トリとなる5分間の団体曲。メンバーが減っても多い。そして、これだけいても【全員の粒が立っていて全部おいしい】とはこのこと。RESONANCEに集約されてセトリ落ちした曲があったのは残念ではありましたが、美形フルコースのやりたい放題感はいつ見てもカオスで満足度は高い。ラストの人文字を映すのは無かったです。

NCT公式Instagramストーリーより

終盤には怒涛の花火が打ちあがりました。花火大会に行ったことが無いので、近距離で見るのが初めてで感動しました(個人的過ぎる感想)やはりJAPANは花火大会王国だ、と思ったのが音ハメが完璧だったところ。あとは、最後モニターで全体を映すよう瞬時に引きの画に切り替わった際、メンバーと手前で掲げられた鈍器ペンラがぼかされていて、その画が凄く綺麗でした。


終章

Beautiful
NCT2021団体曲。”第七感とどちらをデビュー曲にするか”と言われていたようで。元SMの作曲家ユヨンジン氏が同曲のバックボーカルで熱唱していたためティーザー公開段階では、オジ歌い過ぎだろうよ…とツッコミどころがありましたが時を経て感動的な仕上がりに。編曲してコーラスの声を消したのかライブでは合唱時の歌声が若返っていました。

MV撮影当時、中国某所の屋上で1人踊っていたテンちゃんがジャニをはじめとしたメンバーと楽しそうに外周していたり、目を輝かせて見渡すブロンドヘアのウィンウィンが微笑んでいて…。たった数か月・数年前には予想していなかった光景がそこにはありました。個人活動を経て再集結し、互いを見つめて歌い上げるその姿はとても美しかったです。

また、BeautifulのMV撮影地は、RIIZEのアルバムTeaser写真の撮影場所でもあります。偶然か意図的にかは分かりませんが、門出を祝いたいね。


Golden Age

NCT2023団体曲。セレモニー。色んな暗示があるMVでした。青年期の悲哀、喜びを感じた。終わりのはじまりです。冒頭はクラシカルに始まり、急な転調とラップが炸裂。ピアノソナタ第8番「悲愴」の作曲家ベートーヴェンもびっくりだろう。サンプリングにしても、ダンスナンバーに振り切らないところがロイヤルなメンバーの特徴を引き立たせているし、音を追究する音楽の事務所らしい仕上がりだと思います。現実に引き戻されるような寂しさがありつつも大切な思い出を包み込むような感じもあって、最後に相応しい締めでした。


大切な瞬間は色褪せない

かなり完成度が高いセトリだったように思います。良かっただけにステージ構成だけは惜しかった。1つ言うなら夕暮れ時のYESTODAYは聞きたかったかな。でもMisfitの功績は大きいですね。ライブで乗れる曲があるか否かは天地の差。スタジアムはドームみたいな跳ね返りがなく音が抜けるので伸びやかな美声が外に散っていて、長居のスタンドで聴く分には音響が良かったです。

NCT STADIUM LIVE ’NCT NATION : To The World-in JAPAN’より

悠太のメント。魂。実直な話が多かったですね。日本語ならではの抽象的な表現が、言わなくても分かる間柄を示していたように感じます。いつも率先してその時・その場所に適した言葉を臆することなく届けてくれる姿勢に感動です。ホームの大阪では、タメ口関西弁のフランクさと会場内の温かい空気を体感できました。

去年の公演映像を見返しましたが、メンバーからの煽りは無いし今回の公演と比較してしまうと、どうしても淡々とこなしている感があって、観客の反応ありきでライブの完成度は大きく変わってくるんだなと感じました。全体コンは声出し解禁になってからの開催で正解。


個性を最も光らせるのがNCT U

NCT Uは楽曲にあったメンツを選定してユニットを結成しているので、各々が得意分野を伸び伸び出来ている感じがしました。自分の良さを声で表現させることで曲に深みが出る。Uはその究極形です。裏に捌けず、そのままステージに残るメンバーがいたことで"数人変わっただけで、全く違うハーモニーが生まれる”ことを見られたのは他では中々味わえない、Uならではの新体験でした。正直、メンバー3人の脱退が立て続けに発表されたときは、全体コンの開催やU楽曲披露の場は設けられないのかなと落胆していた。ただ実際には想像を超える形となったし、色んな場面で日常を支えて彩ってくれた音に、この目で見た映像が加わったことが嬉しかったです。


広がる全盛期 NCT時代

路上キャスティング・名門校に通う中国舞踏の達人・子役出身者・難関国立芸術大学生・中国のエリート・リアル御曹司など。時期は違えど皆、練習生経験を経てデビューしていますが、それまでの様々なバックボーンを持つメンバーが集結した多様な個性こそがNCT。そして"音でお互いを知覚する・夢の世界を渡り歩く"といった独自の世界観で魅せる。その積み上げてきたものの集大成がNCT NATIONでは惜しみなく発揮されていました。グループ構成や音にしても複雑化されていて緻密な音楽芸術は時代の波に吞み込まれないし、いつだって目新しい。彼らの歌声から成立する音色は、専売特許的な強みがあります。特にNCT U楽曲でそんな感想を持ちました。

どうしても献身的な浪費をする故にその行動に正しさや意義を見出したくなるのがオタク心理なのかもしれないけれど、そういったことを考える余裕が無くなるくらいの多幸感だけが今も残っています。『このメンバーでは、最初で最後となる公演かもしれない』という気持ちを持って見ていたからこそ、あの現場にいた人すべてがNATION開催中、夢心地で時を過ごしているんだと思います。まさにNCTの世界観に没入しているような気分です。

実力があってこその音楽、誠実な姿勢と一流パフォーマンスで魅せてくれたことは最大のファンサービスでした。至上の音楽空間・貴重なNCT史に刻まれたであろう現場に居合わせることが出来た奇跡に「感謝」以上の言葉は見つかりません。

幸せだった。ありがとう。




2024.02追記
映画館での上映だけに留まらず、円盤化まで…。まだNATIONは終わっていないようです。商魂逞しいな。

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