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いつ。とりとめのない日記。

ときどき、ずいぶんと昔の、何十年も前に誰かが言っていた言葉を思い出すことがある。

その時は、それほど気にも留めていなかった言葉。もしかしたら、心のどこかに引っかかっていたのかもしれないけれど、取り立てて思い出すようなこともなかった言葉が、ふと浮き上がって、輪郭を帯びて、その意味を丁寧に教えてくれるような感覚になることがある。

大学に通っているとき、認知症を専門に研究されている先生の授業を受けていた。ごく雑談的なお話の中でのことだったと思う。
それでもたくさんの認知症の患者さんを見てこられた先生の、真にそのことを捉えた言葉だったのだろう。

認知症は、どんどんいろいろな物事、体験、身の周りのことからあらゆることまで忘れていってしまうというお話。

嫌なこと全部忘れられて、良いのかもしれない。でも、よかったこと、楽しかったこと、うれしかったこと、そういうことも全部忘れちゃうんだ。それってやっぱりかなしいし、寂しいと思うね。って。

そんな感じの話だったと思う。

生きてゆくのはつらい。苦しいこともたくさんある。
でも生きているから時に、楽しいことも、うれしいことも、よかったと思うこともあるのだ。

そうして私たちは生きていける。

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