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WORK / LIFE MEETING 3月編議事録

昨年2023年11月から毎月1回開催中の「WORK・LlIFE MEETING」 。働くことと暮らすことを考えるこのトークイベントでは、BONUS TRACKの内外で活動される方に5分のピッチ形式でお話を伺っています。

本記事ではご近所の「(tefu) lounge 下北沢」にて開催した3月編の一部を抜粋した議事録をお届けします。

WORK・LIFE MEETING 3月
2024.03.21 木 19:30開始

登壇者:寒河江麻恵、奈良岳、堀江 俊介、御牧慶次、依田奈津実

面白いにおいのする人たちのところへ馳せ参ず 1人目:寒河江麻恵さん

今回のお題(発表にあたり共通のテーマ:何を軸に働き暮らしているか)いただいた時に、私はどういう基準値で生きてるんだっけ?と思うと、 やっぱり「好き」とか「面白そう」みたいなところの感覚を大事にしています。

元々ファッション業界に関わりたいと、10代から販売を始める中で「プレス」という職業があるということを知ります。 その頃高校生ながらも地元でイベント企画に関わり、「何かを起こし、何かを伝える」みたいなことが身近だったこともあって、私の性質を活かせそうだと、プレスになることを目標に山形から東京へ、店舗販売から始めてインポートのファッションブランドを扱う輸入卸代理店の広報担当に就きました。

そうするとちょっとずつ、ファッション以外にも 「地域」「食」から、ライフスタイル全般に関心が膨らんでいき2012年に独立しています。初期はファッションブランド中心のプレス業務が多かったところを、より多岐にわたって仕事をしていきたいなと「PR SHIP」という屋号を2016年に立て、今現在に至ります。

PRといっても色々な概念があると思うんですけど、コミュニケーションに関わる一連のことはお受けしてます。PR、コミュニケーションに関わる専門家として皆さんと一緒に考え伴奏してサポートしていくというような形です。

仕事は、どんな言葉で、どんなイメージで伝えたいのか、そして伝わるのかというところまで、PRの視点で思考することから始めています。WEBやテレビなどのメディアを介して情報を伝えてもらうのも、SNSでブランドのビジョンをユーザーに伝えていくのも1つの形ですが、可視化できるWEBやビジュアル、リーフレットなどの製作物などまで、その視点を持って制作のアドバイスを行います。アウトプットとしてどう伝えるのかって考えながら、そのデザインまでも考えていく。点ではなく、伝える伝わる部分に全般的に関わることでコミュニケーションが円滑に進むと思っています。

私の代表的なお仕事として「食」と「地域」というところで言うと「世田谷パン祭り」があります。

世田谷公園をメイン会場に、2日間の開催で5万人ほどの方がご来場いただくようなイベントになりました。これは10年ほど、ほぼチームの手弁当でやっていて、もはやライフワークに近いプロジェクトです。

なんでしょう、仕事も暮らしも、私は結構垣根がなく、暮らしの中から仕事が発生していったことがすごく多くて。自分が「好き、やりたい!」っていうことを仕事にしていくみたいな、元々のマインドが今も変わらずあるなって感じています。

先ほどいくつかご紹介したお仕事は、 基本的に私が起こしている仕事ではなくて、誰かの企画したものに「一緒にやろうよ!」って誘っていただいているお仕事です。そういったきっかけは、「好き」とか「面白そう」っていう感覚に貪欲に動いていったから話をいただいてるので、こういうのってやっぱり大事だなって思います。

面白い匂いのする人たちのところへ馳せ参ず、ということを私はよくやってまして。基本、誘われたら断らないスタンスみたいな。そこに面白いことがあるはずと、いつもワクワクを持って向かっています。

好きに注力する、面白そうだったら行ってみる、ちょっと今まではめんどくさいって思ってたけど行ってみることから、新しい世界が開けたりとか、道筋が見えてきたりっていうのってすごくあったので、それをお伝えできたらいいなという風には思っていました。 
皆さんの面白い、ワクワクすることがあったらいつでも誘っていただけたらと思います。

セレンディピティのある暮らし 2人目:奈良岳さん

学生時代に建築を学び、まちづくり会社の企画からシェアハウスの運営、イベント企画運営、ビリヤニを通したイベントへの出店と、複合的な活動をする奈良さん。

最近は日本橋エリアでまちづくりの一環としてのマーケットイベントを企画してるんですが、これまでまちを面白くするであろう要素の大半に関わってきたことで、それらを統合した動きができているなと感じています。

例えば、会場となる場の町内会の人たちとコミュニケーションをとって、協働する座組みを作ることで、区から承認が降り、初めて公園が使えるようになる。そして区議会の方に入ってもらうことで、保健所の許可を得て火が使えるようになる。細かいですけどいろんなハードルをクリアし土台を整える。そこからいろんな飲食店をお誘いするための準備をしながら、かつ自分も「流しのビリヤニ」として出店してしまう。

プロデュースする立場として、現場の施工や装飾周りも含めて、開催・出店までのプロセスを一気通貫で見て、アウトプットするということができるようになって来ました。デベロッパーとして建築・商業施設に関わって、そして不動産屋として動くこともあれば、プライベートでは空間設計と施工、ビリヤニ活動では継続的な出店・コンテンツや店舗作りを通して広報活動も行う。こういうやり方で、人や店の集まる場所の活用と発信がしていけたらいいかなと思っています。

もちろんプライベートでは一人のお客さんでもあって、寒河江さんと同じく飲み歩きが好きです。住んで、飲み屋に行き、お客さんの立場でいろんな街に行くと同時に、受けている仕事の立場で、どのように人を楽しませることができるかみたいなことを考えます。

最初に入社したまちづくり会社のボスが言っていた、「1件の店から街が始まる」という言葉が、印象深くて。

飲み屋などの「人が集まる場」というのは、なんだか偶然で幸福な出会いみたいなものが 往々にして起こりうるなと思っていて、それを「セレンディピティ」って言ったりするようなんですけど、それを感じて暮らしていきたいって思いがある気がします。

そしてその1件の店があれば、その街に行くし、 街をもっと知りたいなって思う感覚になる。「店」っていうミクロを意識しながら、「街」というマクロを考える。良い店の集合体が良い街になっていくと思っているので、これまで培った上流から下流までの視点で行き来するようなことをやっていけたらいいなって。

普段の暮らしのこととしては、美味しいものやお酒を楽しむこと、そしてビリヤニ出店することによって、お客さんめっちゃ並んでくれるんですけど、それを裁くこととかで結構脳汁が出る。結構おもしろく、やりがいかなっていう風に思っています。以上です。

自分のためから誰かのために 3人目:御牧慶次さん

今の私は誰かのために色々やりたいことがたくさんあります。 
昔の私は、大手のメーカーに勤めておりまして、もうとにかく出世することばっかり考えていて。最年少、課長代理、課長、部長まで一気に行き、 役員に推薦されるくらい、自分でもなんですがプロのサラリーマンでした。
ただこの価値観って、なんとなく成長する日本の教育によって刷り込まれた価値観だなと思いはじめました。なんか、それちょっと良くないな、とかレールの上に乗っかるのが嫌になって、おもいきってやめました。 

今の私は、とにかく始めるっていうのをテーマにしているのですが、 人生を振り返ると、3つの変化点が私の価値観を変えたと思ってます。 1つは出会い、1つは出来事と、あと環境です。

出会いと出来事っていうのは、一気に訪れます。箭内道彦さんっていうクリエイティブディレクターの方と2年ぐらいみっちり仕事をしている中、東日本大震災が起きました。当時広告に携わっていた自分では何もできない、無力さを感じました。その時に、箭内さんと一緒に、「LIVE福島」っていう、福島を元気にしようっていうフェスを一緒にやって。

2年目は北海道から沖縄まで全国回って、移動中とかも箭内さんと話していると、 今までは自分のために色々仕事してきたところから、なんだか人のための方が踏ん張れるというか、頑張れる。そんなことを思うようになり、震災で被災した人たちとかとも結構コミュニケーションを取る機会もあって、もう少し誰かのためにできることないかなと思いました。 

その後アメリカに赴任になり、生活環境がガラッと変わりました。上司も部下もアメリカ人という環境に追い込まれ、結構大変だったんですけど、やっぱカリフォルニアだったんで、とりあえず朝起きたら空がとにかく青い。これでもう悩みは全部解決みたいな感じで。

その後、家族が半年後に来たんですよね。初めての海外旅行はいきなりアメリカ駐在。そして息子たちはいきなりローカルスクールにこう放り込まれた。そうなってくると、家族に妙な一体感が出てきた。 それまでの私はずっと仕事で家にはほぼいなかった中、急に家族を感じるようになっちゃって。

じゃあこれだったら思いっきりアメリカを満喫しようっていうことを考え、普段行くこともない旅行に行ったりとか、色々とアクティブになりました。 家族が一体になったっていうのと、家族のため、自分のためから誰かのためにというマインドに変化しました。

自分の町を自分たちの力でこう発信できるようにサポートしてあげることが、本来の地域の創生なんじゃないかと会社を起こしましたが、そんな簡単に仕事なんてくるもんじゃなくて。もう鼻血も出ない状態ぐらい結構踏ん張っていたら、ここに来ていろんなご縁もありまして、映画のお仕事をいただくようになりました。他にはMIRRORLIAR FILMSのプロジェクトっていうところにお声掛けをいただいて、今はここに参画してます。誰でも映画を撮れる時代を作るということで、まさにこう、クリエイターを地方に作っていくみたいなプロジェクトです。

とりあえずやり続けていると意外に成り立ってくもんだなっていうのが、思ってることです。

基本的には仕事ばっかりしているので、tefuにも多分365日のうち多分 95%ぐらいいるのですが、できるだけ走る時間とか、家族で過ごす時間を作っています。
実は家族は大阪にいて、私1人東京にいるので、あまり会う機会がないんですけど、 年末年始は必ずディズニーランドに行くんです。

最後に、知り合いがバームクーヘンを作る機械をくれました。1人で1回やってみましたが、
これ1人でやっていてもつまらないなと思いまして、機会があったらちょっと皆さん、これ一緒にやりませんか。ずっと丹念に回していく。この地道な感じが、みんなでやると結構盛り上がって、最後仕上がりも面白いんじゃないかなと思うんで、もし機会がありましたら、私これ担いでいきますんで、ぜひ一緒にやりたいなと思って。どうもありがとうございました。


常に美味しいコーヒーを作るには 4人目:堀江 俊介さん

今勤めてる会社は株式会社SWIMといいます。ストアマネージャーという形でこのtefuに併設する「grass」に就任しました。1号店は経堂にある「Raw Sugar Roast」というスペシャルティコーヒーの専門店になります。

Raw Sugar Roastの説明をしますと、2019年、東京で立ち上がり、最初は焙煎の卸業からスタートして、2021年春に羽田の空港近くで焙煎所が誕生しました。オーナー2人が2000年代初頭から今に至るまで、さまざまなコーヒーカルチャーを受け継いだことの体現と、コーヒーそれぞれの良さを表現するために立ち上げています。

ここ「grass」は今年の1月15日にオープンしました。大きな公園など芝生のある場では、それぞれの時間帯にみんなが色々楽しく過ごしている場、フェアな場所というイメージからきています。

下北沢というエリアはいろんなカルチャーを持つ人が集まってくる街なので、 人と人の繋がりを大切にして、 たくさんの繋がりが生まれる場所になっていけばと、オーナーと一緒にこの名前をつけました。

僕はコーヒー を始める前は、元々ずっとアパレルの業界にいて、服飾の専門学校に行ってました。将来はもうパリコレのデザイナーになって、誰もが知ってるようなブランドを立ち上げたいとずっと洋服を作っていました。けれどデザインしていくうちに、自分がやりたいのは、華やかな世界の洋服じゃなくて、もっとリアルクローズのものを作っていきたいっていうことに気づいて。

その葛藤のなかで、アパレル企業でOEMやオリジナルでブランドの制作、 店舗の管理などをしていました。その事務所では下にコーヒーの焙煎所があって。ある時初めてスペシャルティコーヒーを飲ませてもらったんです。

うわ、なんだこれ!めちゃくちゃ美味しいじゃん!みたいな。今までコーヒーが苦手でさえあったんですけど、それを飲んでからコーヒーの魅力に気づいて。洋服を通して触れた色んなことを、今度はコーヒーを通して考えたり、もっと違うものも表現していきたいと、5年前にコーヒーの業界に飛び込みました。

多くの人が1杯のコーヒーとともに、朝を迎えると思うんですけど、 コーヒーは結構自分の心情とか状態が味に影響してくるんです。コーヒーと向き合っていると、僕は常に自分自身の心が豊かじゃなければ美味しいものって作れないなって思います。

味作りがすごく最大の表現方法なので、仕事と暮らしっていうのをあまり切り分けるのではなく、 暮らしの中で、常に心のモチベーションを作りつつ、それを仕事に反映させて、常においしいコーヒーを作るっていうのを意識して働いてます。

で、これが愛犬のロケットです。可愛い。ロケットは僕に目一杯表現してくれます。 僕もその気持ちに最大限の愛情で毎回返しているんですけど、いろんな悩みとか、やっぱ辛いことって働いてたりプライベートでもたくさん起こりますが、一緒に住んでる彼女とロケットがいれば、1匹と1人に会うことで常にリフレッシュして、 仕事もプライベートもバランスよく働けてるなって思います。僕にとってすごくかけがえのない存在です。

洋服は変わらず自分の中での静かな表現方法です。働くときも、遊ぶときも、散歩に行くときも、 常に自分のスタイルは変えたくなくて。好きなものを着ることは自分にとって常にこう100%で何かに向き合えることだなって思ってるので、 働くことと暮らすことを良い意味で分けずに、常に自分を表現するために好きなものを着て、好きなものを食べて、好きなコーヒーに毎日触れることで、自分の表現を最大限出せてるなって思っています。

まとめると、表現中心に暮らす、働く、 ずっと大切にしていきたい表現っていうのを中心に僕は暮らしたり働いたりしています。今はコーヒーというフィルターを通して表現してるんですけど、今後は今まで自分が経験してきたものを紡いで、それが最終的に形になったりすれば いいなって。

洋服をまた作っていきたいなっていうのもありますし、 まだまだ駆け出しなんですけど、これから先どんどん有名になっていくと思うので、皆さん注目していてください。

シェアすることが生む循環 5人目:依田奈津実さん

まずこの会場の(tefu)について。(tefu)は北欧製のものを中心とした家具のサブスクリプションサービスと、シェアオフィス・民泊・スタジオを運営しています。単にもののシェアだけじゃなくて、その家具の持つ魅力や良さを感じる生活空間や概念も大切にしていて。それをここ(tefu)loungeと、あと(tefu)自由が丘を一緒に堀江さんのチームRaw Sugar Roastと組んで運営しています。
ここ下北沢はカフェと、あと奥にシネマ「K2」があって、上のフロアにコワーキング・シェアオフィスという3つの要素から構成されています。

私は(tefu)に参画したくてUDSに入ったんですけど、なぜ入りたかったかというと、持っているコンセプトに「シェア」という概念があったことです。 1つのものをみんなで分かち合って使うことで、ものの価値を継いでいくみたいなところに共感しています。  

普段でも「これどこの?」とか「どこでそれ見たの?」とか聞かれることが多い気がしていて。それは私自身が素敵だなって思う方々だったり、自分がいいなって思ったものやことを常に色んな人にシェアしながら暮らしているからかもしれないなと。仕事も普段から好きなことをシェアしているような感覚の延長線上にあるように思います。

シェアすることがしたいと思ったきっかけは、教育を学ぶ目的で訪れたフィンランドにあります。

みんなが自分の世界を持ってて、お互いの重なるところを楽しむ環境が心地よかったんですよ。フィンランドではそんな環境が教育の中にも落とし込まれていました。
訪れたうちの1つの小学校では、健常者も障害者を持つ人も同じ空間にいて、絶対にみんなで食事する広場が真ん中にあって。

障害を持っているとか持っていないということに、全くボーダーラインがなかった。それがスタンダードであるべきだなと思った瞬間でした。日本でももう少し、ちょっと違うみたいなところをもうちょっと認める世の中だったらいいなっていうのがずっとあって。

1人1人が 歩いてるだけでいきいきしてた北欧みたいな街ってどうやったらできるんだろうっていうところを考えると、シェアすることが自分のテーマだと思いました。

いいなって思うものを自ら発信して、誰かに伝わる・広がる成功体験を重ねて行けたら、みんながハッピーになる循環が生まれると思うんです。シェアしてみることで、シェアした先、その先も繋がっていけばいいなっていうのを感じた時がきっかけかもしれません。

その考えの中で私は、美味しいなって思ったものを美味しいって伝えて、伝えたその人も美味しいって言ってくれたら嬉しい。そして日常を囲むものを大切にして、直感には素直でいること、素晴らしいなって思うものを継いでいくお手伝いをしながら生きていけたらと思っています。

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