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惜しい作家

 好きな作家は?と聞かれると困るのだけど、惜しい作家はと聞かれると、米原万里さんの名前がすぐに出る。ロシア語の通訳の傍ら、共産主義時代のチェコで過ごした幼少時代の事や、食べ物の事、読んだ本の事。何を読んでも笑ったり唸ったりと忙しい著書の数々。
 亡くなった時、沢山の本が出版されたのだが、その時取りこぼしていた本に妹のゆりさんが書いたこの本を先日、友人の古書店で見つけて手にした。姉妹の記憶は食欲と直結していて、あの話ってこんな裏があったのかとか、うんうんこの話も良かったなー。とやはり面白い。図書館で本を返す時の司書の対応の話も毎度唸らされる。そして、大胆不敵なイメージの強かった万理さんが妹から見ると臆病な少女だった事にびっくり。でも納得。
 ロシアとウクライナの戦争が始まってから、ロシアやウクライナの絵本に関心が高まっている。今彼女が生きていたらどんな本を紹介してくれただろうか?どんな事を語ってくれただろうか?読みながら考えたのは、もっと彼女の著書を読みたかった。やっぱり、いろいろな意味で惜しい。

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