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反省本

 今話題の宮崎駿監督の映画も、この小説も『君たちはどう生きるか』を彷彿とさせるタイトル。映画は観ていないので、どこまでそこに寄せているのか良いのか悪いのか賛否両論あって、なんとも言えない。
 この本はまず主人公「僕」の叔父さんに付けられたあだ名が「コペル」という事から、あの本が下地にある事がわかる。染色家の叔父さんの用事で、登校拒否の友人ユージンの家に久しぶりに行く事になったある休日の1日。ユージンの一人暮らしの家にその日は偶然か必然かいろいろな人が集う事になる。その家の屋根裏にある戦前、戦中の本達、庭の草花、ユージンがなぜ学校に行くことを辞めたかという理由、そして庭でみんなで囲む焚き火。群れるという事、同調圧力、普通とは何か?その1日にいろいろな事が詰め込まれている。
 でも、そこは梨木果歩さん。少年少女を瑞々しく、青臭く、それぞれの個性が丁寧に描かれていて、重い所もあるのだけど、読み進めずにはいられない。この物語の続きはそれぞれが考える事。反戦をこういう風に描く事も出来るんだなと。学生はもちろんだけど、大人こそ読んで反省して欲しいそんな一冊。

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