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オーディオブックも音声広告市場に混ぜてはいただけませんでしょうか

ここで業界のことを書き始めると長い文章になる傾向があります。申し訳ありません、お伝えしたい内容よりも遥かに長くなりがちです。つまりは薄味ということです。あらかじめご承知おきください。

オーディオブックファンクラブというブログを始めたのですが(やっとgoogle様に気づいてもらえました。長かった)、そこで国内外のデジタル書籍コンテンツのニュースをまとめて簡単なコメントをつけて(ほぼ)週に一回投稿しています。本当はですね、私が日々楽しんでいるオーディオブックのログを記して、チャリンチャリンとアフィリエイトでも入ってきたらうれしいなとか夢想していたのですが、そちらの記事は笑えるぐらい読まれておらず、デジタル書籍コンテンツのニュース記事ばかりが閲覧されているという状態です。アウトリンクのかたまりなんですよねえ。貴重な見てくださる皆様、ありがとうございます。ここで御礼申し上げます。

というわけでいくつかのソースをチェックしてたどり、記事を見つけているわけですが、巷に出ているニュースは大きくいくつかのジャンルに分かれています。

デジタル書籍ニュースはざっくり4つに分けられる

1.業界市場レポート
日本でも海外でも、業界のマーケティングレポートが定期的に発表されます。出版業界に関しては大きく分けて雑誌・紙の書籍・電子書籍のそれぞれを合算して上がった、下がったと報告されます。オーディオブックもデジタルコンテンツという意味では電子書籍に入りますが、日本ではまだ独立した市場として取り扱われることは少ないですね。欧米では電子書籍とオーディオブックは分けてレポートされることが多く、業界の中で伸びているのはこのジャンルだ!と扱われています。

2.アプリやサービスの紹介
端的にいいますと、日本であればaudiobook.jpかaudibleか、それともapple booksか google play bookかLisboかでじじかdwngo.jp audiobook かビジガク、あなたはどのサービスを選びますか?とか、あるいはどのサービスがお得とか、それぞれのサービスの特徴とかを紹介する記事です。これは海外も同様でして、最近ではオーストラリアやイギリス、アメリカでSpotifyのオーディオブック参入が話題となりました。ユーザーも、出版業界方面からも記事がたくさん書かれています。欧米だけではなく広がりを見せているのがOverDrive社のLibbyという図書館オーディオブックアプリです。かなり存在感、というか日常的に使われているようでよく出てきます。

3.オーディオブック・音声学習の効用
ライフハック的なアプローチとしてスキマ時間でお勉強、とか「ながら時間」の活用で時間を節約とか、読書が飽きてしまう人も聴くだけだから大丈夫だよ、というものから、アカデミックに紙の読書とどちらが頭に入るか、内容が定着するかという論文的なものもあります。サービス事業提供側からと、ユーザーの声、とアカデミックなアプローチとそれぞれあります。

4.書評・PR
私も個人的にオーディオブックの読書ログをつけていますが、オーディオしばりのブログは日本ではあまりなくて、そもそもしばる必要性がないからと推測されます。SNSに「オーディオブックで読んだ」などの投稿はチラチラありますが。あとは出版社がリリースを出したりしているのは散見されます。海外では結構活発です。オーディオブックを出している著者のグループだったり、ナレーターのグループだったりオーディオブックのPRを研究する会、や読んだオーディオブックをすすめ合うグループなどがSNSに山ほどあります。数でいえば書評、感想文が一番多いでしょうね。

と、いうわけでいくつかのソースを定点で見て、いくつかのキーワードでの新しい検索結果を見て、日曜にねぼけまなこで更新することが多いです。一番注視しているオーディオブックに関してしばらく見てきて思うのは欧米と日本の違いです。audibleのシェアがトップであるのは日本も米国も一緒なのですが、上記の4つのカテゴリそれぞれで、オーディオブックが普及しているステージが違うなあと感じます。市場でいえば、欧米ではすでに業界の数字の伸びを牽引している注目ジャンルです。日本では、CMも流れSNS広告もかなり見るようになりユーザーが増えているのは間違いないでしょうが「欧米で盛り上がっているから日本にも遠からず来るはず」とブレイクするのを待っているぐらいの状態、といえばいいんでしょうか。もちろんユーザーもコンテンツも着実に増えているんですがトレンドにはなっていない感じがします。トレンドといえばむしろ芸能人や有名人が運営しているポッドキャストの方がふさわしいといえるでしょう。テレビ・ラジオ局が運営するものもありますし、企業のオウンドメディアもありますし、YouTubeのように個人で運営するものもあります。勢いを感じますね。また、ポッドキャストは使っていないけどradicoは使っているという方も多いかと思います。もはやインフラとしての存在感すらあるアプリですね。audibleもaudiobook.jpもは定額にオーディオブックとポッドキャストが入っているということで、本とポッドキャストはセットで扱われる存在になっています。

サブスクマーケット単体で儲かるのか問題

音声コンテンツとは兄弟関係にある(?)動画コンテンツの方はどうかといえばaudibleを運営するアマゾンの代名詞といってもいいぐらいの存在となっているprime videoがありますね。最初はamazon prime会員になると(本などの)送料が無料になるというところから始まりましたが、今はprime videoに入会すると送料もタダだよ、という感じで受け取られているのではないでしょうか。映画一本観たら元がとれる、みたいな感覚もありますし、懐かしいドラマのアーカイブもあるしオリジナルもある、と本当に「強い」サービスだなあと感じます。amazonが制作しているオリジナルコンテンツも強力なものがありますが、数でいえばまだ少数で、映画やテレビで公開され、「一旦元が取れたもの」「primeの売上も含めて予算を組まれているもの」が多いと思います。primeなどのサブスク動画サービスだけで収支が成立している作品はほとんどないのではないかと推測されます。だからこそ逆に、タダで観れる(実際はタダではないけど)感覚がありユーザーはうれしいわけですね。制作会社・配給会社としても売上の仕上げとして旧作がもうひと稼ぎしてくれるのはありがたい、という感じでしょうか。

もう一つのアマゾンのサブスクリプションサービスkindle unlimited。こちらもprime videoと近いものがあります。電子書籍が単行本に近い価格でアラカルト販売され、売れ行きが細くなっていくとunlimitedで「読み放題なら読んでみようか」と別の形で知ってもらう機会ができるのです。紙でいう文庫化とはまた意味合いが違いますが、同じ商品を違う角度から知ってもらう機会創出という意味では共通点があるといえるでしょう。
こちらも、kindle unlimitedだけで採算が取れるようなマーケットプレイスではないと思います。KDP(Kindle Direct Publishing)はunlimitedが主戦場になっているところもありますが、個人の作家としてならともかく、出版社の事業としてKDP完結で採算を立てるのは難しいでしょうねえ。あくまで個人の感想です。

やはり音声にしても動画にしても定額制サービスの収入チャリンチャリンで単体の採算が取れる、大きく利益が出る感じではないのかなあ、というのが現状なのかな、と。逆にですね、原則無料でサブスク契約している人はごく少数派のYouTubeでは、コンテンツを提供して抜群の広告収益を得ている人がそれなりに存在しているという事実もあります。動画を広告がわりに集客をして本業の収入に繋げている人、インフルエンサーとしてスポンサー収入を得ている人の数を含めると、「これで食ってる人」の数は相当数いそうです。TikTok等のショート動画市場も含めるとさらに規模感の大きさを実感します。広告がしっかり入っているということでもあるわけですね。

一方で、音声コンテンツに関しては10万人フォロワーのYoutuber=勝ち組、みたいな格付けはまだできていないように思います。人気のポッドキャスターがどれぐらいの収入を得ているのか、というか収入って得ているんだったっけ、誰に何代としてもらっているのか、というところもあまり具体的なイメージが世の中的に結ばれていないと思います。端的にいうと、「ヒカキン」がいないということでしょうか。YouTube一本(ではないでしょうが影響力を培ったのはYoutube一本で)でそこいらの一流といわれるタレントをはるかに超える収入を得ている、という存在感がある人がメディアの広告塔になっていたわけです。オーディオブックの人気ナレーターはいらっしゃると思いますがこの人のギャラはすごい、という話までは聞こえてこなくて、俳優・声優の⚪︎⚪︎さん朗読、の方が多いですね。中国のHimalayaは音声のことならなんでもあり、まさに音声版YouTubeといえるような雰囲気がありました。こちらも広告で成り立っていたモデルだと思います。プレミアムな有料コンテンツと二本立てだったかと。最近聞きませんが元気なのでしょうか。やはり YouTubeのように、ラジオのように、広告枠があって広告を出す人がいてという収益の型があってそこに人気番組が登場してCM殺到するみたいなことになるとビジネス的な妙味が双方に出てきますよね。ラジオのモデルと一緒っちゃ一緒なのですがデジタル音声系はまだあんまりお金の匂いがしないように感じられます。スターが先かプラットフォームが先か、みたいな話なんでしょうかねえ。

音声コンテンツ提供者にお金の香りづけを

そんなところに、ブログでも紹介しましたがこんな記事が。

いやもう可能性絶対あるから市場を、ここに広告出したい、という場をぜひ創出してほしい!なんならアプリの機能で音声のライブコマースとか投げ銭とかも含めて選択肢が増えるといいなあと思います。無料で聞ける代わりに広告が挟まれるコンテンツもある。サブスクで聞けるコンテンツもある。アラカルトで購入が必要なコンテンツもある。コンテンツ提供者は内容の属性を鑑みて商品の市場でのライフタイムバリューを考えステージごとに投入するマーケットを判断するような選択肢があったらいいですね。

ポッドキャストのような配信系とオーディオブックのようなパッケージとを雑に、ごっちゃに語ってしまいましたが、要は音声系に金の匂いを。ということに尽きるのですが。結局いつものお願い事で結論します。

いってはいますけど急成長で期待のセグメントとなっている欧米他の音声市場について、売上が伸びている事実についてはいわれている通りなのでしょうが、出版社がこのセグメントで儲かっている、利益の何割は音声が稼いで、みたいな記述はあまりなくて。そういう意味では単純に欧米にならえというのも乱暴な話かと思いますが、売上あっての儲けでもあるので。いや、それも乱暴か。ひとまず本日はこんなところで。

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