「よくわからない」ものを売っている、という恐怖

改めて本屋の異常性を感じてしまったので書いておく。

本屋には「自分にはよくわからないもの」がたくさん置いてあるわけだ。書店員でも。
日々入荷する大量の本、それらすべての良し悪しだったり正誤だったり、とにかくなんなりを判断することは不可能である。

しかしこれは「仕方ない」ことではなくて、むしろヤバイことなんだと思う。少なくとも「自分にはよくわからないもの」に値段をつけて売っているということに、怖さだったり違和感だったりを覚える、僕は。

食料品売場に置き換えて考えてみる。

例えば
賞味期限切れの商品
成分表示が詐称されてる商品
健康に害を及ぼす成分が入っている商品

が店頭に並べられていて、でもそれに店員が気づいていない。売ってしまった。となると大問題なわけだけど。

情報のアップデートがされてない本(賞味期限切れ)
嘘やデマだらけの本(成分表示詐称)
ヘイトだらけの本(健康に害)

は当たり前のように書店店頭に置いてあって売れているわけだ。

ほかにもトンデモ健康本なんかも該当する。生死に直結するという点ではより悪質かもしれない。

とりあえず。
少なくとも僕はこのことに対して怖さや違和感がある。だから「入荷したものを分け隔てなくすべて並べるのが仕事だ」という姿勢で本屋をやるほうが、僕には精神的にキツい。もう一度言うけど。

それをすべての書店員に強制することはできない。現実的にも。思想的、倫理的にも。もちろん僕もすべての本に対して100%の自信を持てるわけなどない。ようは、「最後まで読んで中身を理解してから」店頭に並べる本のみにすることは難しい。

だけどせめて、これは大丈夫(らしい)と思える本だけを並べることはしたい。それならその本が悪質な本だったことが判明したときに、きちんとごめんなさいを言うことができる。自分の眼が曇っていた、と言うことができる。自分の責任に帰することができる。精神的に楽なのはこちらだ、僕にとっては。

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