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無味無臭な日々からのターニングポイント〜ドラマ『美しい彼』S1-第4話〜

ドラマ『美しい彼』のシーズン1は、全6話しかないので、4話はもう後半になります。
そして内容としても折り返し地点。
公式ビジュアルブックでは「誕生日とココアと嵐の再会」の章。

学生時代の出会いから卒業までを描いた第3話まで、平良がどんどん清居沼にハマっていくのと並行して、見ている私もその2人「ひらきよ」沼にどっぷり足を取られていきます。

第3話までの感想はこちらのマガジンで。


無味無臭な年月

高校を卒業し、「キングが消えた」世界で生き始めた平良。
理解ある友人もでき、サークルにも入って、平穏で、「普通の」学生時代を送っているのに、それは彼にとって「無味無臭な時間」。

「最底辺で、透明人間になりたかった」平良にとっては、本来、そんな世界が自分の生きる場所であったはずなのに、清居との出会い、過ごした日々があったことで、その世界は「平穏で落ち着いた幸せな場所」ではなく「無味無臭な、寂寥とした場所」になったということ。

3話まで、パシリをされようが、罵倒されようが、でも平良の眼には力があったのに、大学生・平良は魂の抜けたような顔つき。
小山のまっすぐで元気で明るく、優しい言動と並ぶとなおいっそう、暗さが引き立ちます。
小山が、「凍える冬に差し出されたホットココア」なら、平良は冷蔵庫に入れっぱなしにされたまま炭酸の抜けたペットボトルのジンジャエールって感じ。
正直、この平良に惹かれる小山の心情が分からない(笑)

シルクロードカフェでの再会

小山の誕生日に平良が誘われて行ったのが、「うつかれ」ファンの間で聖地巡礼ポイントにもなった「シルクロードカフェ」(まさかのマイ実家の近く!行かねば!)

SILKROAD CAFE公式インスタより

次の第5話で明かされるけど、ここでの再会を清居は知っていたわけで、

「心臓が爆発しそうにうるさい。膝の上で握りしめた手が細かく震えている。」

ドラマ「美しい彼」シーズン1第4話より

このモノローグは実は清居を見た平良と、会場に入る前の清居、2人の心なのです。

そういうのが明らかにされる第5話を前に、ここではまだ平良目線だから、とにかくもう、大パニックな心が語られます

「腹の底から暴風雨みたいな感情が湧き上がってくる」

「忘れようと続けてきた努力が一瞬にして崩れ去ってしまった」

ドラマ「美しい彼」シーズン1第4話より

あまりの衝撃に、口は半開きのまま、清居から目を外せないままでいる平良の表情もいいのですが、よく見ると、清居ったら、まっすぐ見つめる平良と視線を交わした後、ほんの瞬間、口角上げてから目線を外して芝居に戻るのですよ。
その清居がいい!!
これ、初見の時は気づかなかったのですが、第5話でこの再会を清居は知ってて、平良の視線を求めていたってことを知ってから、改めて見た時に気づいたこと。
酒井監督の指導なのか、ゆせの演技なのか、、、この一瞬の清居の「煽り」がマジいい!!

Screen Onlineより


這ってでも行きたいと思ったのに再会当日の打ち上げを断ったのは、平良なりに小山を大切に思う気持ちがあるからなのだろうけど、きっとそれは「友人」としての好意なんだろうな。
でも小山にしてみたら、あの場所に平良を連れて行ったことをずっと悔やんだよね、きっと。
再会させなければ、平良は、小山を拒否することはないだろうし、きっと2人穏やかな関係を続けていっただろうから。
まさかの「サプライズ」になってしまった小山。
でも彼がいたからの、「うつ彼」で、酒井監督も平良、清居、そして小山の3人の物語、とのスタンスだったそう。

「私の中では、平良、清居、小山が生きている感覚があるんですが、、」

「私、平良と清居、小山にはいりこんでしまっていて、、」

「美しい彼」公式ビジュアルブックより

どちらも、インタビューアーは「平良と清居」と言ってるのに、監督はどちらも「小山」を加えて答えてて、監督にとっては小山はサブキャラではなく、メインに匹敵する存在だったんだなーと。
だから第3話の最後になって初めて出てくる小山なのに、オープニングの映像でもバッチリ出てくるんでしょう。

キャストとして大きく出てくるのに、話が進んでもなかなか出てこないから、「誰これ?いつ出てくんの?」みたいな感じですから。(原作ではもっと扱い小さいし。)
こーゆーのも原作通りではない、監督さんが作り出す世界線も素敵ですね。

「あいつと俺、どっち?」より気になったバック

清居との再会でストーカーも再開した平良は知り合いもいない打ち上げにもついていきます。
自分と清居の世界がかけ離れていることを改めて感じ、居場所のなさとアラレもない妄想に苦しめられても、清居を追わずにいられない、ストーカーの鑑のような平良。
というか、ストーカーは犯罪ですが、平良は相手に迷惑をかけない、相手に不快な思いをさせない、ただひたすら相手にその身を捧ぐ、、という意味ではストーカーというより、最推し活?って感じですが。

で、打ち上げ後、酔っ払った清居との公園での会話。
稽古の場所として自分の家を提案する平良。
高校の夏休み、遊ぶ場所として清居が平良の家を提案した時の、ドギマギした慌てぶりを思い起こすと、平良も成長したねー!って感じ。よくぞ、言えた!

「この後、どうするの?」に「電車で帰る」って答えて、ガッカリする清居。
イヤー清居さん、どんな答えを期待したの、あなた。
「もう少し、清居と一緒になっていたい、、」とか?
それは無理ゲーでしょう。
で、酔った勢いの「あいつと俺、どっちが好きなんだよ?」からのスネ蹴り!

清居が平良に迫るこのシーン。
私と末っ子の目は、清居のピンクに染まった酔っ払いエロ顔より、2人の背景にグキづけ。なぜなら、ぼんやりしたら夜景の中に見慣れた駅ビルatreが見えるから。
後日、末っ子の学校帰り、その橋の上に立って、そのシーンに思いを馳せたことは言うまでもありません。

BLだけど、ただのラブストーリー

2人の再会前、平良の家で小山が、平良が唯一写真を撮った高校時代の「すごく綺麗な人」を「男?」と聞くシーン。
第3話での「男が好きなの?」と清居が平良に聞くシーンと被ります。

そして、小山にそう聞かれた平良のビックリした顔。

きっと、平良にとって清居は、「男」とか「同性」とかそんなの関係ない、ただ、ただ「清居」だったのだろうな、と思いました。

汚水をただ流されているだけだった平良が、清居と出会い、救い出され、清居という金色の川に身も心も捧げるお話、、
やっぱりこのドラマはBLだけどBLじゃない。
好きになった人をひたすら思い、拗らせて、それでも諦めず思い続けるラブストーリーなのだなぁ、と。

と毎回、BLドラマの感想では言ってる気がします。
でもね、BLっていうジャンル分けのせいで、食わず嫌いしている人がいるなら、もったいないなぁ、と思うので、何度でも言っちゃいます!

清居ターンの第5話へつづく道

高校卒業後、それぞれ「1ミリも交差しない」点と点として流れていた2人の世界が、小山によって、また交差した第4話。

キャンパス内の並木道で、清居との電話に「回れ右」した平良。
それは彼の気持ちのターニングポイントの表れだと思います。
小山の発熱で少し足止めは喰らうけど、この電話で平良のスイッチがまた入ったのだと思うのです。

そして、これまで平良の視点、平良の世界線で流れてきたドラマが、初めて清居の視点で描かれる第5話に続きます
同じシーン、同じ出来事の中での清居の想いが明かされ、私の最推しエピソード。制服姿のゆせにも再会できます。

テレビ神奈川でのシーズン2の再放送も決まったようですし、11/8には「劇場版美しい彼エターナル」のBlu-rayも手元に届きます。

セリフを覚えてしまうくらいリピしてますが、見る度にうっとりしながら現実逃避させてくれるドラマに出会えて、私は幸せだなぁ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
まだまだ続く予定です。
よろしかったらまたお越しください!

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