今週の全米No.1アルバム事情 #44 - 2020/9/12付
いよいよ自民党総裁選の告示が行われ、野党新党代表選のプロセスもスタート。もはやアベシの後任について既定路線感があってドッチラケなのですが、来年9月の政局展開に向けて、石破氏も岸田氏も泉氏も枝野氏も地盤固めの活動としてしっかりとした政策論議をして欲しいと思います。
さてBillboard 200の今週末の1位、いよいよテイラーの長期政権が本物の様相を呈してきました。今週もポイントを8%減らして90,000ポイントという薄いポイントながら、未だに51,000枚の実売という力強いアルバム実売購入に支えられて、テイラーの『folklore』が6週目の1位をマーク。この間、実売の数字は、ここ4週間、67,000枚、46,000枚、52,000枚、51,000枚とコンスタントな枚数を維持してて、これって発売初週の後、一気に実売が落ちてしまう普通のパターンからすると、驚異的な状況です。
そして今週の1位で、テイラーは女性アーティストのアルバムチャート首位トータル週数を46として、歴代1位のホイットニーに並ぶというマイルストーンを達成。ホイットニーが4枚のアルバム(1986年『Whitney Houston』11週、1987年『Whitney』11週、1992年『Bodyguard』サントラ20週、2009年『I Look To You』1週)での達成なのに対して、テイラーは7枚のアルバムでこの記録を達成ということで、コンスタントに実績を積み上げたのがすごいところです。来週はヒップホップ・R&B系の強力なリリースが控えているのでさすがに首位交代かなーとは思いますが、今回の6週1位は改めてテイラーのアーティストパワーの強さを見せつけた感じですね。
そして今週いい意味でびっくりしたのが、メタリカがサンフランシスコ交響楽団と1999年にコラボって大ヒットしたアルバム『S&M』の第2弾としてリリースした『S&M 2』が何と56,000ポイント(実売はテイラーを上回る53,000枚!)で4位初登場したこと。
『S&M』リリース当時はメタリカと交響楽団のコラボという新鮮なコンセプトでかなりの感銘を受けたものですが、それのほとんど二番煎じの企画でありながら(収録曲も「Nothing Else Matters」「One」「Enter Sandman」など定番オンパレード)ここまでポイントと実売を伸ばすというのは、おそらく当時のリアルタイムファンだったジェネレーションYのアラフォーの連中がこぞってこのリリースに群がった、ということなんでしょうねえ。このアルバムに収録のライブは、サンフランシスコのチェイス・センターの杮落とし公演でもあったのですが、90年代に熱く音楽聴いてたファンは未だに根底でシーンを支えていることを実感したチャートアクションでした。そしてこのトップ10で、メタリカは80年代から2020年代までの5デケイドに連続して少なくとも1枚トップ10にチャートインしたことになり、これはジェイムス・テイラーとオジー・オズボーンに並ぶ記録になりました。
そしてこっちもびっくりしたんですが、5位に初登場してきたのは、何と3年ぶりのトップ10をマークした、ケイティー・ペリーの『Smile』(50,000ポイント、実売35,000枚)。シングルヒットベースでいくと、2017年の「Chained To The Rhythm」(最高位4位)以降トップ10レベルのヒットに恵まれてこなかったケイティ、今回のアルバムに先立ってもう1年以上前にゼッドと共作した「Never Really Over」(2019年15位)、マック・ミラーの遺作『Circles』のプロデュースで素晴らしい仕事を見せたジョン・ベリオンとの共作『Daisies』(2020年40位)といった地味めではあるけどしっかりとしたエレクトロ・ポップのヒットを散りばめて、満を持して今回のアルバムをリリース。
彼女の場合、その時その時のトップ・サウンド・メイカーたちとうまーく連携しながら、基本的にポップ楽曲としてのクオリティはしっかり維持してるのが底力なんだと思います。このアルバムのトップ10もそういうことの現れなんではないかと。今や脂の乗った35歳。ますますポップスターとして頑張って欲しいもんです。
そして今週最後のトップ10初登場は、フロリダ出身のヒップホップ・プロデューサー、タズ・テイラーがリル・テッカやトリッピー・レッドといった今が旬の若手ラッパー達を集めたユニット、インターネット・マネー名義でのアルバム『B4 The Storm』が31,000ポイント(実売1,000枚以下)で10位に初登場。
このアルバム、上記以外にもア・ブギー・ウィット・ダ・フディーをフィーチャーした「Somebody」とか、スウェイ・リーとフューチャーをリリースした「Thrusting」とか、ジュースWRLDとトリッピー・レッドをフィーチャーした「Blastoff」など、今の一線のラッパー達の饗宴が楽しめる作品ですね。音作りも、トラップ意匠満点ですが結構キャッチーなんで、これが支持されるのは理解できる感じ。「Somebody」のPVでのリル・テッカがなかなか微笑ましいですw
ということで今週のおさらい。ほんとにいつになったらテイラーの▲マーク、付くんでしょうね(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。
1 (1) (6) folklore - Taylor Swift
2 (2) (9) Shoot For The Stars, Aim For The Moon - Pop Smoke
3 (3) (8) Legends Never Die - Juice WRLD
*4 (-) (1) S&M2 - Metallica & San Francisco Symphony
*5 (-) (1) Smile - Katy Perry
6 (4) (258) Hamilton: An American Musical - Original Broadway Cast ▲6
7 (6) (27) My Turn - Lil Baby ▲
8 (7) (22) Pray 4 Love - Rod Wave
9 (9) (20) Blame It On Baby - DaBaby
*10 (-) (1) B4 The Storm - Internet Money
さて来週の1位予想。来週はいよいよテイラー1位が危ういかな、と思うのは対象リリース期間の9/4-10にドロップされるのが、R&Bのビッグ・ショーン(アリアナとジェネ・アイコの元カレw)とヒップホップの6ix9ineの新譜。前者はここ2作初登場1位をゲットしてるし、商売人で有名な(ヒップホップヘッズのうちの息子は評価してませんがw)6ix9ineも初登場1位シングルなんかの勢いもあるので侮れない勢い。そういえば先週Hot 100初登場でアジアン・アーティストとしては史上初の快挙を果たしたBTS、今週も1位らしいですが、今年後半リリースが予定されてる彼らのアルバムもまあ初登場1位は堅いところでしょうね。ではまた来週。
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