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リアルウイポ、リアルダビスタ

12/13に阪神競馬場で行われた阪神ジュベナイルフィリーズは、1番人気で白毛のソダシが人気に応えて優勝し、史上初の白毛馬によるGⅠ制覇の快挙を達成しました。いやぁ驚いたというのが第一印象です。1番人気とはいえ2歳馬ですし、夏競馬上がりですし、吉田隼人ですし、みなさん不安があったのではないでしょうか。それが現れたのが1番人気で3.6倍というオッズですが、結果的にはおいしいオッズとなりました。

レースを見ると、比較的良いスタートを切って、5番手の好位に付け、そのまま馬群の中でジッと我慢します。直線入口ではまだ馬群に囲まれたままですが、前が空くとスッと抜け出し、前を行くヨカヨカを捉え、外のメイケイエールを交わして先頭に立ち、内から強襲したサトノレイナスを一度を交わされるもゴール前の数完歩で差し返すという内容でした。

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これが

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これですからね。強い馬の強い競馬を見た感じがします。

吉田隼人は思った以上に弾けなかったとコメントしていましたが、それでも脚質的に上がり最速を出すタイプではありませんし、前を捉えるのには十分な脚でした。また、勝負根性も素晴らしかったです。ヨカヨカを交わす前まではヨカヨカを相手に、交わした後は外へヨレてメイケイエールとユーバーレーベンを相手に抜かせない根性を見せました。まるでテイエムオペラオーのようでしたねぇ。

意外だったのはパトロールを見るとサトノレイナスとは結構距離があったので、そこ相手に抜かせないようにしたって感じではなかったことでしょうか。たぶん、外の2頭相手に負けじとグイッと伸びたら内も交わしたって印象を受けます。まぁ母があのブチ切れブチコですから、暴れん坊の素質はあるのでしょう。

いずれにしろ、強い馬が強い競馬を見せたのは間違いなく、来年の春のクラシックが楽しみです。血統的に2400はどうかなぁという気もしますが、この脚質と勝負根性、春の牝馬路線なら十分二冠もあり得ると思います。ただ、やはり鞍上は枷になると思います。勝利騎手インタビューでも、枠入りを嫌った時に鞍上の自分もオドオドしてしまったと述べていましたし、中央四場の重賞、しかもGⅠの舞台での経験が足りないので、そこをどう改善していくかが重要でしょう。来年早々にローカルばかりに居るのであれば、本番は黄色信号と言っても過言ではないかもしれません。


それから話題の白毛という血統ですが、白毛は母方の祖母シラユキヒメから始まります。突然変異で誕生したこの白毛馬は中央では未勝利に終わりましたが、同馬の2頭目の産駒ホワイトベッセルがJRA史上初の白毛馬の勝利という快挙を達成し、3頭目のユキチャンが地方の関東オークスを制覇して中央地方通じて初の重賞制覇を達成します。

そして、6頭目のマシュマロから誕生したハヤヤッコが白毛馬として世界で初めて平地の国際重賞に優勝し、9頭目のブチコの初めての子供であるソダシが白毛馬として、世界初の芝の国際重賞、世界初の国際重賞3勝、世界初の国際GⅠ勝利という快挙を達成しました。

それらの馬の馬主が全て金子真人ってんだから、この人はなんだ?と思うしかないですね。個人馬主としてGⅠ36勝八大競走完全制覇、中央の全24RのGⅠのうち19Rを制覇、ダービー馬4頭牡馬三冠馬牝馬三冠馬を引き当てて、さらに今回白毛のGⅠ制覇という記録を達成したのですよ?しかも自家生産で。まさにリアルウイポ、リアルダビスタですよね。

残る2歳牡馬2Rと大阪杯、マイルCS、高松宮記念ですが、現在でもヴェロックス、ボッケリーニ、ポタジェなどが控えていますし、大阪杯やマイルCSは何とかなりそうな気もします。問題は高松宮記念でしょうか。所有馬の多くは中長距離馬ですし、ソダシが2000m以上で惨敗して1600m以下を使っていくような事がないと少々苦しいところです。

あと2歳戦に関しては運任せの部分が大きいですし、GⅠ勝てるほどの馬なら2歳GⅠ使うか(特に朝日杯)って問題もありますから、武さんとどっちが早くGⅠ完全制覇できるか競争ですね。

また、なかなか海外に参戦できるような馬が居ないのが欠点でしょう。もともとあまり海外志向ではないような印象を受けますが、マカヒキとかワグネリアンなんかは豪州あたりで走らせて見れば面白いのになぁと思います。ダービー馬であっても鬼のように走らせるなら、それもありだと思いません?

まぁ金子オーナーは今年75歳ですし、あと何年馬主やるか分かりませんが、個人馬主でGⅠ完全制覇できたら日本競馬史に残る大馬主になるでしょう。今の時点でも十分、歴史に残りますがね。


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