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山之口貘賞受賞の詩人による待望の第三詩集。次の世代に伝えたい祈り。

「世の中がどんなに変わっても
変わらない大切なもの
次の世代に伝えたい祈り」

『詩集 汎汎』新垣汎子


翼を広げた鳥のような形の展望台の屋根
75年たった今も見つかる戦没者遺骨
魂はまだこの辺りを彷徨っているのだろうか
異郷で亡くなった魂には
故郷に戻れる翼が欲しい
亡くなったアメリカ兵の魂は
この海を越え、遥かな祖国に帰れただろうか
日本兵の魂は故郷へ戻れただろうか
復興し開発される那覇市
だが、古い石垣に目を凝らすと
弾丸の痕に気が付くことがある
繁華街の裏道に回ると
戦前のものらしい門中墓がある
持ち主のわからない古い亀甲墓
(「シュガーローフ」)

山之口貘賞受賞の詩人による待望の第三詩集。

新垣 汎子(あらかき・ひろこ)
  1953年 沖縄県生まれ
       大東文化大学国文学科中退 沖縄国際大学国文学科編入卒業
  1992年 第4回琉球新報児童文学賞児童短編小説賞佳作受賞
  1992年 第26回詩人会議新人賞佳作受賞
  1993年 第27回関西文学賞佳作受賞
  2008年 詩集『青タンソール』
  2011年 第21回伊東静雄賞奨励賞受賞
  2015年 第10回文芸思潮現代詩賞佳作受賞
  2017年 養老改元1300年記念賞受賞
  2018年 第41回山之口貘賞受賞 詩集『汎』
  2023年 第18回おきなわ文学賞詩部門佳作受賞
       日本現代詩人会会員 那覇文芸協会会員

『詩集 汎汎』著者略歴