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Everyone blooms in their own time


「#いま私にできること」というタグをみつけた。きっと多くの人が、考えていることの一つだと思う。

お坊さんたちも、今まさにそれを考えていて、Face to Faceで仏法を伝えることができなくなっている今、YouTubeやZOOMを使って、仏法に触れる機会を作り始めている。

どんな活動があるのかは、「インターネット寺院 彼岸寺」でまとめ記事を作ってみたので、そちらを見ていただけたらと思う。
https://higan.net/now/2020/04/bozeonline/

私も「#いま私にできること」はなんだろうか?と考えて、上で取り上げた活動に参加もした。「オンライン数珠つなぎ読経」というお坊さんがリレー形式でお勤めを繋いでいくというものと、YouTuber僧侶の武田正文さんの「仏心チャンネル」でのライブ配信や対談(鼎談)番組に出演した。ちょうどこちらに書いたことが、武田さんたちとのライブ配信で話したことで感じたことだったので、それを元に、対談でも話をさせてもらった。

彼岸寺で紹介した以外にも、いろんなお坊さんが、動画配信の海に飛び込んでいる。朝のお勤めを配信しているお坊さんもいれば、法話の動画をアップしている人もいる。そんな流れの中にあって、私もその中に飛び込むべきなのか、ということをここしばらく考えているのだけど、どうにも気が進まない。もともとYouTubeを見るという習慣がないこともあってか、今ひとつその流れに乗り切れない自分がいる。

お坊さん以外でも、多くの人が「いま私にできること」を考えて、行動に移している。いろんな地域の飲食店が、テイクアウトやデリバリーでの飲食販売を始めていることなどが、その顕著な例だろう。私の地元でも、そんな活動が始まっている。

「ピンチはチャンス」

という言葉もあるように、危機的な状況でも、なんとかそれを打開すべく動くことで、チャンスが生まれてくるかもしれない。商売を続けるために、みんな必死だ。

じゃあ「いま私にできること」って、なんなのだろうか。コロナウイルスによって大きく変わった世界にあって、私はなにをすべきなのだろうか。新しい活動をし始めている周囲の人達を見ながらそんなことを考えていると、どうも遠くばかりを見ようとしてしまう。新しいことを始めないといけない気持ちになる。そうでなければ、どんどんと自分は置いていかれるのではないか。そんな不安すら、感じられてしまう。

もしかしたら、そんな不安を感じている人というのは、私だけではないのかもしれない。誰もが不安で、怖くて、このままではどうなるかわからないから、必死で藻掻いて、なんとかこの厳しい今を乗り越えようと「いま私にできること」を模索して、そして何かを生み出したり形を作った他者の姿を見て、また不安になって、苦しくなって、身動きが取れなくなって。そんな人も、少なくないのではないだろうか。

私ももしかしたら、今、そちら側にいる人間の一人かもしれない。みんなが一斉に飛び込む海を目の前にして、おどおどと、崖の上で迷っている、勇気の出ないペンギン。今の私は、そんなような姿をしているのかもしれない。

そんな焦燥感と迷いを抱えている中、昨日たまたまある一曲に出会った。とあるバンドの新曲のようだったが、どこの国のバンドかも知らないし、どんなメンバーなのかも知らない、名前さえも聞いたことないバンドだった。ところが、その曲が、なぜだか引っかかったのだ。なんの音なのかわからない不思議な楽器?の音が聞こえたり、力強く打たれるドラムや、中盤から後半かけて盛り上がるエモーショナルなバンドサウンドと、たしかに引っかかる要素というものはいくつかあったのだけど、それ以上のものを感じて、その一曲を調べるとThe Front Bottomsというアメリカのインディーバンドの「Everyone Blooms」という曲だった。

何度か聞いていると、なんだか少し気持ちが高まる感じや、多幸感が感じられる曲だったので、普段は滅多にしないことだが、歌詞も調べてみた。

この曲はサビから始まり、何度か繰り返されるフレーズがあるのだけど、そこで歌われているのが、次のような歌詞だった。

Everyone blooms in their own time / Some far ahead, some far behind / So wherever you are, don't worry, you're gonna be fine, fine, fine

翻訳すると「誰もが咲き誇る、それぞれのタイミングで。先に咲くものもいれば、遅れて咲くものもいる。だからどこにいても心配しないで。きっと大丈夫、大丈夫、大丈夫」といった感じだろうか。

この曲は4月17日にリリースされたばかりで、このサビの歌詞や、他にも「スペースを開けて、ドアをブロックして」という歌詞もあることから考えると、きっとこの曲は、このコロナウイルスで、いろんな不安の中にある人達に向けて作られた、応援歌なのではないだろうか。

そんなことを思うと、思わず胸が熱くなった。名前も知らないバンドの、たった一曲で勇気づけられた思いがしたのだ。

きっと今、私と同じように「いま私にできること」を考え、悩み、不安になっている人もいることだろう。そんな人には、ぜひこの曲を聞いて欲しい。

「なにかをしなくては!」と思わずにおれない今。でも、咲くべき時は、今でなくてもよいのだ。あなたのタイミングで、そして私のタイミングで。花咲く時を待つ。それも一つの、「いま私にできること」なのではないだろうか。



#いま私にできること

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