【SCP感想】死の恐怖
生きている限りいずれ死ぬことは確定している。報告書やTailの中には不死性を持つ、或いは与えるモノもあれば、死自体が特性であるモノも存在する。今回はSCPオブジェクトの中でもトップクラスの知名度を持つSCP‐682 不死身の爬虫類を中心に据え、3つの世界での死の恐怖を感じよう。
※注意(逃げ道)
筆者はSCP財団の記事を全て網羅しているわけでも完全に理解しているわけでもない。そのため、不足や間違いがあるかもしれないことを留意してほしい。
〇SCP-682とは?
人間を憎み、不死性や知性、あらゆる状況に対応するために変化する能力などを持った巨大な爬虫類に見えるオブジェクトである。この危険性から保護の理念を持つ財団すら無力化することを目的にしている。
〇SCP-2935の世界
SCP-2935とはある洞窟から行くことができる別世界である。その世界では例外なく全ての生命は死に機械や人工知能も機能を停止している。当然、SCP-682も死亡していた。
SCP-682の死骸はSCP-2935内を探索をしていた機動部隊が発見した。最強ともいえる敵対存在の無力化を目にした時に感じたのは安心などでは無く、例外なく訪れる死への恐怖だった。
財団はSCP-2935を発見した時点で自分たちの世界も影響下であることを知っているだろう。
生き物が死ぬことは当然の帰結である。しかし、実際に生きている限り死ぬことができないため、死を認識することは不可能だ。死の瞬間も自分はまだ死なない、終わらないと思い続けるのだろうと思う。
SCP-2935は不死身の存在になろうが、データ上に人格を移そうが例外なく終わることを突きつける。永遠が存在しないことへの恐怖である。
〇死の終焉の世界
SCP-3984によってあらゆる生物の死が消失した世界である。ここでの生命は老化し、傷がただちに再生することなく意識を保ち続けるため、人類は死を欲している。
SCP-682の不死性はこれによって確定され、財団は無力化の考案を中止し、簡略化されたプロトコルにより酸で満たされた箱の中で永遠に孤独に生き続けることになる。SCP-682はおそらく初めて人間と同じように己の死を願ったのだった。
こういった永遠の恐怖は『5億年ボタン』や『ドラえもんのどくさいスイッチ』、宗教的な地獄などで表現されている。
突然訪れる死とは対照的に自分の意識が永遠に残り続けることが確約される。これは死よりも理解しやすい恐怖であるが、そのうち都合の良い事が起きて助かるのではと希望を持ってしまう可能性があるのが難点である。
※この世界ではSCP-2935は実質無効化されているため期待できない。
これの真の恐怖とは逃れられない絶望であると思う。死ぬのであれば不死を願い、不死であるのならば死を願う。どちらを選んでも最終的は絶望が待っているという恐怖が憑き纏い続ける。生と死への価値観を改めない限り、この恐怖から逃れることはできない。
〇S. D. ロックの提言(SCP-001)の世界
この世界では太陽が異常性を持ち、日の光(月光も含む)に晒された生命は生きたまま液状化する。この個体同士は混ざり合い、影響を受けてないものを光に曝け出そうとする。
提言でSCP-682は登場しないが、関連Tailにより確認される。
心理学者として見守り続けた職員と太陽の影響を受けたSCP-682の物語である。提言の説明では生物としての異常存在が暴露した場合、異常性を消失するとあり、SCP-682も例に洩れなかったということだろう。抵抗むなしく、最後は職員の目の前で肉塊と成り果ててしまう。
残った意識は非常に穏やかなようで、人類への憎悪を無くし、職員と日向ぼっこをすることを願っている。この点はSCP-001の同類を増やして混ざろうとする影響であるとした場合、安寧を得られたと感じるか、能力を無くし、感情すら捻じ曲げられたと感じるかは人それぞれだろう。
SCP-001に影響を受けても意識が消失することは無いが(不死になるのかは不明)、例外なく肉体を無くして他者との融合を望むため、人間性の死と考えられるだろう。
SCP-001の影響を受けた人間には愛情や喜びで満たされているように見える。恐怖が人間の欲深さや孤独によって生まれるのなら、この世界は人類が到達すべき場所なのだろうか。
生き残った人類は怒りや恐怖を無くすことに怯え続けることになる。
〇番外:おすすめTail
破壊不能系SCPの魅力を感じよう!!
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