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娘たちの選ぶ絵本ベスト5

先日絵本の話をここに書いたら、ますます本棚の絵本たちが愛しく思えてきて、娘たちに、「本棚にある絵本の中で、現時点の特別好きな絵本ベスト5を挙げるとしたらどれ?」と聞いてみました。ふたりは「急に何?」と言いながらも、楽しそうに選んでくれて、その結果がとても興味深かったので、ここに記録します。

長女

『太陽へとぶ矢』ジェラルド・マクダーモット

長女は小さいころからこの絵本がやけに好きで、結構大きい子向けの内容に思えたので、なぜこの絵本が彼女にとって特別なのか当時はとても不思議でした。しかし今、エジプトやマヤなど古代文明が大好きな長女を見て、なるほどそういうことだったのか、と納得しています。長女はこういう、影と光の満ち満ちている世界観にひかれるようです。

『せいめいのれきし』バージニア・リー・バートン

長女が小学校低学年のころ、生物の進化にはまってこの絵本を買い、何度も読みました。私もこの絵本は絵も文章も大好きで、本棚のよく見えるところに置いてあります。これは絶対、文句なしに素晴らしい絵本。最後のページを読むときにはいつも、胸がいっぱいになって声が震えそうなほどでした。

『地球』加古 里子

この絵本に関しては、幼いころそれほど興味を抱いていなかったから意外でした。ある程度大きくなってから、自分で読んで好きになったのだと思います。足元の小さなところから、知識とともにどんどん話のスケールが壮大になっていく感じが、確かにとても長女好み。ぐんぐん興味を引っ張っていく絵のパワーに圧倒されます。

『スーホの白い馬』大塚 勇三 再話 / 赤羽 末吉 画

この絵本も、幼いころというよりは、教科書で習ってから好きになった物語。長女はこのお話を繰り返し読むために、この絵本を自分の部屋に置いているのだと、言われて初めて知りました。勝手に部屋に入ったら怒るので、絵本の写真は撮れませんでした。

次女

『まさかりどんがさあたいへん』かこ さとし

調理器具や大工道具、裁縫道具など、あらゆる「道具」の大好きな次女がいかにも好きそうな絵本。五七調のかこさとし節は読んでいてすごく心地よいのですが、ただ、息継ぎのタイミングが難しくて、最後のほうはいつも息切れします。ちなみに、かこさとし作品の中で一番私が好きなのは『どろぼうがっこう』。絵も文も面白おかしくて、朗読するのが最高に楽しいです。

『だれでも知っているあの有名な ももたろう』五味太郎

有名なももたろうが、五味太郎らしいちょっと斜に構えた視点でユーモアたっぷりに描かれていて、くすっと笑えて面白く、全然説教くさくないのに、はっとさせられる一文が多くて、さすが。次女は五味太郎作品をほかにもたくさん挙げていて、『ゆびくん』、『わにさんどきっ はいしゃさんどきっ』、『いっぽんばしわたる』が、同じくらい好きだそうです。

『おたすけこびと』文:なかがわ ちひろ 絵:コヨセ・ジュンジ

これは本当に、覚えるほどよく読みました。道具が好きな次女は、ものづくりそのものもやっぱり好きなので、この絵本で織りなされる楽しいものづくりの風景も、次女にとってたまらないものなのだと思います。

『ゴリラが1ぴき』アツコ モロズミ (著) 松野 正子 (翻訳)

ゴリラが好きな次女、好きすぎて文章を書き写し、暗記するほどはまっていました。絵がきれいで、すべてのページにひっそりと描かれているゴリラの姿が、なんともユーモラスで笑ってしまいます。

ふたりの意見が一致した一冊

 『ぼんやり山のぼんたろう』清水 崑

この絵本、読むたび子どもたちが大笑いしていて、今回ベスト5をふたりに選んでもらったときにも、「これ、面白いよね」「うん、これめっちゃ面白い」と言い合っていました。絵本で大笑いって、なかなかないので、すごいと思います。

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光と影のコントラストと物語の壮大さを愛する長女と、小さな世界で繰り広げられるユーモアを愛する次女。絵本5冊を選んでもらったら、長女と次女の性格の違いが思いのほかよく分かり、心理テストをしたような気分になりました。

これはベスト5に入るだろうと思っていた絵本が選ばれなかったり、実際に幼少時代に繰り返し読んだ絵本のことは思い出しもしなかったりして、それもまた興味深く感じました。ふたりとも好きでよく読んだ『11ぴきのねこ』シリーズや『キャベツくん』シリーズも、名前は挙がっていたものの、惜しくもベスト5には入りませんでした。

私の特別好きな絵本は、子どもたちの選んだものとは、またかなり違っています。私が個人的な好みで結構ごり押し気味に何度も読んだ絵本のほとんどは、子どもの心にそれほど残っていなかったようでした。子育てって、どうやらそんなことの繰り返しで、子どもは勝手に自分の好きなものをちゃんと見つけていくようです。

絵本のことを考えたりこうして記したりする時間はとても幸せなので、またこんなふうに、自分の好きな絵本のことや、子どもの小さいころによく読んだ絵本のことなんかも書きたいです。noteのおかげで、半冬眠状態だった本棚に再び命が宿った気分です。