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#624 アルバム論35|BOOM / UNICORN(1987)

今回からのアルバム論はUNICORN(ユニコーンと表記混在します)のアルバムを紹介していきたいと思います。
1993年の解散前までのオリジナルアルバムを対象に、「BOOM」「PANIC ATTACK」「服部」「ケダモノの嵐」「おどる亀ヤプシ+ハヴァナイスデー」「ヒゲとボイン」「SPRINGMAN」の計7枚、気合入れて紹介します!
押忍!


僕とユニコーンの出会い

僕がユニコーンを初めて聞いたのは1996年、その頃すでにユニコーンは解散して、民生はソロでした(3年前の1993年に解散)。
何故聞くようになったのかは、正直そこまで具体的に覚えてはいないのですが、多分姉の影響とかそんな感じだったと思っています。

で、とりあえずは聞いてみようとベストを買ったんですが、このベストが最高に良くて、そこからハマりましたね。
恐らくそういう人は多かったと思います。

で、この頃何故かUNICORNのアルバムが、3,000円のものが廉価版で2,000円で売っていたんです。
そこでアルバムを全部買って、聞いて、その上で「このベストは本当にベストだったんだな」と知るという、そんなグルーヴでしたね。


「BOOM」リリース時のUNICORN

UNICORNはプロを目指したドラムの川西(愛称:西川くん)により、プロに相応しいメンバーを揃えて1986年3月に広島で結成され、結成から3ヶ月でオーディションに合格してメジャーデビューが決まるという「プロになる為のバンド」だったんですね。

そうしたかなりのエリートバンドであり、ソングライターの民生も、そういう需要があるらしいからBOØWYとチェッカーズを足して2で割った曲」を作っていたという、とにかく商法主義に徹した大人なバンドでした。
この辺がブルーハーツとかジュンスカと同じ層にそこまで愛されなかった理由と言われています笑

そんな感じで1987年にリリースされた1stアルバム「BOOM」は、のちに僕だが大好きになったUNICORNらしくないアルバムです。

それも民生が自然体ではなく、無理やり「売れ線」「会社が求める曲」を作っていたという前述の理由に起因するのですが・・・
それでもいい曲はいいですし、プロとしてしっかり作品を作れる所はやっぱり流石ですね。

とは言え、やはり全曲英語タイトルで、歌詞も基本真面目。
民生も「1リスナーとしてボクがこのレコードを聴いたら次を聴く気にはならないと思いますね」と言い切るくらい、メンバーからの評価も辛辣だったりします。


「BOOM」全曲解説

1. Hystery-Mystery

そんなBOOMの1曲目はライブで最高に盛り上がるHystery-Misteryです。
この数年後に「ボサノバ父さん」「鼻から牛乳」という曲をリリースするバンドと同じとは思えない位、この時期は意識高い系ですね笑

この曲はイントロのシンセから、サビのメロディまでかなりクオリティは高いですし、流石天才・奥田民生が手掛けた曲ですね。
デビューアルバムの1曲目だけに「未来は僕等の手の中」「MAXIMUM OVERDRIVE」「ANCHOR」みたいに気合が入った曲で、ライブでは謎にパンク・バージョンでも歌われたりしております。

歌詞とかも淡い感じでメロウですね。


2. Game

そして2曲目のGame、いきなりこの曲でスカになります。
この曲はなかなか不思議な曲ですが、初めて聞いた時から結構好きな曲ですね。
とにかく当時の民生の若々しい歌詞が良いですが、この頃からやはり歌唱力は抜群。ライブではレコ倫に引っかかって歌詞を変えた「クソババ」としっかり歌っています笑


3. Maybe Blue

初期の代表曲ですね。
ベストアルバムの1曲目なので、僕が初めて聞いたユニコーンの曲は何気にこの曲だったかも知れません。
とにかく超ポップなシンセのイントロ、そして優しいAメロ、そして徐々に盛り上がるBメロ、そして爆発するサビ!
「Maybe Blue 冷たい部屋で構わない Maybe Blue 崩れる位傍にいて」
この頃の民生しか書けない、そんな思い出の曲ですね。


4. Concrete Jungle

初期ユニコーンって感じの曲で、後期(と言っても服部以降)のユニコーンを知る人が聞いてもユニコーンの曲と分からないでしょう。TM NETWORKとかそんな感じのニューウェイブ(?)なアーティストを感じさせる曲です。
曲としてのクオリティはかなり高く、コーラスとか凄く旨いですし、改めてベースとかギターの演奏力の高さを実感します。
サビで盛り上がる感じもなかなかゴキゲンですね。


5. Limbo

この曲はドラムの西川くんが歌詞を書いた曲で、「いきなり頬にビンタ」で始まる辺りが、のちに「おかしな2人」などの名詩を残した西川くんらしいですね。
この曲はこのアルバムでもちょっと異色の、Gameにも似た変化球系の曲で、結構僕も好みです。
サビの「パーンパパン、オイ!」がいいですね


6. Sweet Surrender

BOOMのアルバムを買ったのが96年か97年で、多分BOOMは金が無かった2000年辺りに売った記憶があるのですが…その時ぶりに聞きました。
この曲は正直全然覚えてなかったです笑

ただこうして改めて聞いてみるとかなり洋楽チックですね。
改めて民生の引き出しの多さを感じさせる、そんな曲ですね。


7. Alone Together

Limboに同じく、ベースのEBIが作った曲ですね。
EBIが作った感じするなーと思う、透明感のある曲ですね。
凄い衝撃が走った初恋の歌詞のように見せかけて、ストリーキングにあった時の歌詞らしいです笑


8. Sadness

このアルバムはベストにも収録されている「Maybe Blue」と「Pink Prisoner」の2トップが圧倒的に知名度も人気も高いんですが、僕が多分その2曲の次に好きなのがこの曲だったりします。
なんかちょっとBOØWYっぽいイントロとかAメロも好きなんですけど、サビの「瞳を閉じて 眩しかった愛に包まれて」のメロディは秀逸。名曲です。


9. Fallin′ Night

この曲も大分久しぶりに聞きましたね…
解散後に出たベスト「Very Rust Of UNICORN」というアルバムにライブバージョンが収録されていた記憶があるんですが、ほとんど覚えてない笑
ロックバラードですね。


10. Pink Prisoner

そしてラストを飾るのはこのアルバムのベストソング、もっと言うとユニコーン解散前の中でもかなり指折りに入るカッコいい曲です。
とにかく歌詞の世界観及びテーマが、脱力系の中期~後期にも通じる内容で「妻に愛され過ぎる夫」の心情を吐露した、まさにピンクの手錠で繋がれた囚人について歌う歌詞なのが楽しくも切なかったりですね笑

イントロからカッコいいですが、Aメロもよく、Bメロのシンセは非常によく、そしてサビのメロディ「愛され過ぎて」「閉じ込められて」は最高にポップでメロディアスでカッコいい。名曲です。

CDの音源だとアウトロが謎のフェードアウトが入ったりでマジで変態的ですので、ライブ盤の方がいいですね。


まとめ

そんな感じでBOOMはやはりユニコーンらしくないので、あまり記憶からも薄かったりするんですが、ブルーハーツとか「1stが一番良かった」と言われるアーティストとかとは一線を画す辺りが、らしくていいですね。

もう37年前(!)のアルバムですが、普通に今聞いてもクオリティが高いので、これからもキッズに愛されることでしょう。

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