#254 アルバム論③|MAKING THE ROAD / Hi-STANDARD(1999)
今回はHi-STANDARDの3rdアルバムにして、全世界で100万枚以上売れたスーパーアルバム「MAKING THE ROAD(メイキング・ザ・ロード:通称メイキン)」を紹介します。
これまでの人生で最も聞いたアルバムは、以前に紹介した2作か、今回紹介するMAKING THE ROADで選べないのですが、最も発売日までワクワクしたアルバムは、リアルタイムで買ったこのアルバムしかないですね。
おそらく今回も激長レビューになると思いますが・・・どうぞ笑
MAKING THE ROADの発売を待ち侘びて
メイキン発売の1年前の1998年、中学3年生の頃、ハイスタに完全に魅力されていた僕は、日々色々なところでハイスタの姿を探していました。
で、当時僕らの世代の60%(地元は半数よりは多かった)が楽器に興味を持ち、「GiGS」「バンドやろうぜ(通称バンやろ)」「ロッキンF」とかを買っており、友達の家でハイスタの記事を見てはテンション上げてました(記事をもらったりしてました)
他に、下記のセットリストもいつかのバンやろで紹介されており、この収録曲順のMDも持ってましたね。
で、これらのセットリストをみて、リリース前の新曲に興味が行くわけです。
「STAY GOLD」「GLORY」「JUST ROCK」「LIFT ME(当時の表記)」「CATCH(当時の表記)」などを演奏してるのを見て、「どんな曲なんだろう?」と期待に胸膨らませていました。
で、ハイスタの新譜3rdアルバムが発売されると知ったのは、確か当時はCD屋の店頭でリリース情報が掲示されており、その掲示を見て「ウォォォォーッ!」とテンションをあげた記憶があります。
初めてタイトルを見た時、そんなにカッコいいと思わなかったんですが笑
それでも徐々に発売日、収録曲、ジャケットなどの情報を知り、解像度が上がり、一日千秋の思いで6月30日(実際はフラゲのため6月29日)を待ち侘びていました。
収録曲を全曲覚えて、机に書いたりしてましたね笑
MAKING THE ROAD 発売日
1999年6月29日火曜日、僕は学校をサボって昼過ぎに最寄りのCD屋に行きました。「学校をサボって聞く」というのに憧れてたんだと思います笑
で、CD屋に行って、店頭で予約していたのでステッカーを確か2種類くらい貰い、チャリを爆速で走らせて家に戻りました。
もう、寝るまでずっと聞こうと思って食材を買い込み、
大事に聞こうという思いで1周目で全曲を通してMDに録音し、2周目以降はMDで聞こうと思いスタンバイは完了。
そしてまず、1周目・・・
TURNING BACKからSEXY GIRL FRIENDまで、とにかく魅了されましたねえ。
もう本当に、その日は1日中ずっと聞いてました。
MAKING THE ROAD 歌詞カード
こちらもだいぶ年季が入っています。
そして、こちらも輸入版も使命感に駆られて買ったんですが、どこかに行ってしまいました・・・
そして、割と最近知ったんですけど、氣志團のこのセンスにはやられました笑
MAKING THE ROADと全2作の比較
徹底的な違いは、前2作がメジャーからの流通だったのに対し、今作はインディーズとしてPIZZA OF DEATH RECORDSからリリースされたことでしょう。
この手のシーンでこうして独自でレコード会社、レーベルを立ち上げて、インディペンデントの形式でアーティストがCDをリリースする文化を広めたのは間違いなくハイスタであり、その先駆けとなったのがこのMAKING THE ROADでした。まさにタイトルの通り、後塵へ道を切り拓いた、そんな作品です。
この会社経営が大変が故に、ハイスタは崩壊してしまうのですが・・・商業的には大成功を収めます。
オリコンは初登場3位で、ラルクが2枚同時にリリースした「ark」と「ray」が1位2位で、その次がMAKING THE ROADでしたね。
以前にも触れましたが、僕の印象としてはGROWING UPは青春時代の少年で一人称が「僕」、ANGRY FISTは環境が変わった青年期で一人称は「私」、そしてMAKING THE ROADは社会の荒波に揉まれて、一周して「俺」になった印象があります。感覚ですが。
とにかくこんなに発売を楽しみにしたCDはなかったですし、高まった期待を十分に超えてくれた、そんなアルバムでした。
MAKING THE ROAD 全曲解説
1. TURNING BACK
とにかく、このいきなり始まるツネのドラムに衝撃を受けました。
めちゃくちゃかっこいいインスト!一瞬で心を奪われました。
やはりライブで全部終わって、最後にこの曲を演奏するのがカッコ良すぎましたね。
最初か最後の節目で聞きたい、最高のオープニング(クロージング)ナンバーですね。
ただ、これはAIR JAM2011で聞きたかったですね!
曲名的に!
2. STANDING STILL
この曲はキング・オブ・2曲目ですね。
TURNING BACKとセットでも、そうじゃなくても序盤で映える曲です。
STAND STILLとは「立ち止まる」とかそういう意味があるみたいで、前作ANGRY FISTのSTOP THE TIMEにも近い曲ですが、後者が「時間を止めて(**したい)」という意味に対し、前者(この曲)は「(**が理由で)時間が止まってしまった」という悲観的な意味合いに取られますね。
そんな中で最後、歌詞を置換して「俺はまだここに立っているのに」という歌詞は非常に秀逸。惚れました。
そんな感じのこの曲は、結構ライブで聴いてますが、やはり冒頭で上がる曲ですね。ギターのリフも印象的で演奏していて楽しく、過去にコピーバンドでも何回も演奏しましたね。
TURNING BACKからこの曲を聴いて、このアルバムの成功を確信した記憶もあります。
3. TEENAGERS ARE ALL ASSHOLE
そしてこの曲もSTANDING STILLと繋げて聞きたい曲ですが、本当にリラックスして聴ける曲というか・・・割と何も考えずに聴ける曲です笑
冒頭のteenagers are all assholeはケンが歌っているのも有名ですね。
「10代はみんなアスホール(尻の穴)」という、今で言うとけつあな確定という感じですね笑
とにかくライブでは楽しく、メンバーも気に入っているのか演奏頻度は高く、何も考えずに盛り上がれる曲です。
PVもとにかくアホですね。肩の力が抜けたいい感じの曲です。
4. JUST ROCK
タイトルがすごい。ジャストロック!ただ、ロックしろ!です。
この曲もNo More Fuckin' Band Boom Tourの時には既に演奏されており、そのシンプルなタイトルに非常に惹かれておりましたが、まさかこんな感じの曲とは思ってませんでした。
この頃はケンがスラッシュメタル的な曲に恐らくハマっていたのか、続く12曲目のMAKING THE ROAD BLUESにも通じる曲ですが、このJUST ROCKの方がハードで、のちのBBQ CHICKENSにも繋がる曲ですね。
(BBQ CHICKENSのライブでこの曲を演奏していた説もあります)
この曲はNoFXとのヨーロッパツアーのライブ映像があったんですが、それが見つからなかったのでこちらオリジナルの曲をお送りします。
その動画はめっちゃカッコいいので是非聴いて欲しいですね。
5. DEAR MY FRIEND
これはハイスタにとって非常に重要な曲ですね。
特に再結成以降、この曲に込めたメッセージ性がすごく高まった印象があります(難波の亡くなった友人に送った鎮魂歌と聴いたこともあります)
前作ANGRY FISTで言うところの「MY HEART〜」のような位置付けの曲と思っており、恐らくセットリストでは鉄板な曲で、多くのコピーバンドで愛された曲ではないでしょうか。僕も何度もコピーしましたね。
この曲はイントロのギターリフとベースが美しく、そこからはテンポは激しくなく、しっかり聴かせる系の曲です。
個人的にはこの歌詞が好きですね。
6. STAY GOLD
もう語り尽くされたハイスタの代表曲であり、パンクロック界のアンセムですね。
前回のBEST10でも紹介してますので詳細は省きますが、やはりこの曲も本当に前から楽しみにしていました。
やはりSTAY GOLD(輝き続けろ)というタイトルがカッコいいですもんね。
これまでのライブで演奏しなかったことは無い、唯一の曲だと思ってます。
ただ、この曲は本当に何度聴いても上がるので、食傷気味にはそんなならないですね。
個人のライブでも何度も演奏しました。
やっぱこの曲は最高に盛り上がるので、1曲目か終盤に持ってきたいですね。
7. NO HEROES
STAY GOLDというモンスターソングと、GLORYという愛された曲の間に挟まれた悲運な曲です。
そしてライブで演奏しているのも聴いたことがない・・・ちょっと橋休み的な曲なのでしょうか。僕もそんなに正直この曲の印象はないですね・・・
ただ、この曲で一個だけ覚えてるエピソードがありまして、高校時代学年で一番うまかったギターがいたんですが、そのギターが僕が持っていたMAKING THE ROADのバンドスコアを見て、一番最初にこの曲を弾いたのは今考えても謎でした笑
8. GLORY
この曲はこのアルバムの中でも、STAY GOLDと双璧を成し、愛された曲ではないでしょうか?
僕も初めて聴いた時はかなり名曲とインプットしました。
(音楽ライターのイノマーも、インディーズマガジンでアルバムを通してこの曲が一番好きと語ってましたね。R.I.P)
とにかく最初から最後までポジティブで、ライブでメチャクチャ盛り上がる曲です。
そしてやっぱ一番盛り上がるのは「ラーラララーラーラーラーラーラーララーラーラーラララー」のところですね。ここに異論はないと思います。
MAKING THE ROAD TOUR FINALのこの曲がすごく良かったので、よく見ていましたね。自分でも何度も演奏しましたし、高校時代を彷彿させる名曲です。
9. PLEASE PLEASE PLEASE
この曲も以前のBEST10で紹介しました。
初見でこのアルバムを通して聴いて、一番気に入ったのはこれでしたね。
とにかくメロディも、歌詞も全てが美しく、衝撃を受けたものでしたし、この曲を好きな人は周りでも結構多かったです。
やっぱここのフレーズが最高に好きですね。
未だにソラで歌えるくらい、何度もこの曲は歌いました。
ライブでやっぱり聞きたいですね!
未だに聴いたことない曲は、この曲くらいな気がします。
10. GREEN ACRES
これはちょっと箸休めな曲ですね。
SELFISH GIRLとかMY SWEET DOGに通じる、肩の力が抜けた曲です。
原曲はアメリカのドラマ「農園天国」の主題歌のようで、原曲の歌詞のManhattanがShinjukuに、NewYorkがTokyoに、TimesSquareがBIG EGGに置き換わってます。
ライブではケンがヅラを被ってワンピースを着て女装して歌ってましたね。
で、ライブが終わったらまた脱ぐという笑
印象的なリフといい、愛されている曲ですね。
11. CHANGES
この曲はブラック・サバスのカヴァーで、原曲はピアノが映えるバラードでしたが、今作ではギターが映えるロックサウンドへ昇華しております。
僕はこの曲に対する印象はほぼ無かったんですが、高校生活で一緒にハイスタのバンドを組んでいたギターのマサヤくんは「CHANGESのギターは好き」と言っていたので、ギタリスト好みの曲なのかも知れませんね。
12. MAKING THE ROAD BLUES
そしてこれです。
アルバムの表題曲、メイキング・ザ・ロード・ブルース。
GROWING UPでいう「GROWING UP」、ANGRY FISTでいう「FIGHTING FISTS, ANGRY SOUL」など、アルバムのコアとなる曲がもちろん表題曲になりますが、この曲はめっちゃ攻めてます!大好きです!
JUST ROCKに通じるケンのスラッシュ・メタル的な要素がふんだんに入っているんですが、この曲はやはり歌詞が素晴らしい。
まさに先駆者として、フロンティアとして後塵達に道を作り続けたバンド。
そんな苦難の日々を歌詞の主人公に投影しています。
思わず全文載っけてしまいましたが・・・笑
とにかくクソかっこいい曲です。
自分はライブで1回もやることはできませんでしたが、いつかやりたい曲ですね。
13. TINKERBELL HATES GOATEES
これはマジで謎です笑
「ティンカーベルはゴーティーズが嫌い」と言うまずタイトルが発売から25年弱経った今でもわからん笑
そして曲調もカリプソと言う未知のジャンルで、多分僕が唯一知っているカリプソの曲がこれだったりします笑
この曲か7曲目のNO HEROESが、おそらくMAKING THE ROADで最も陰が薄い曲として双璧を成す曲だと思ってますが、結構この曲ライブで演奏されてるんですよね。
エッジの効いた今日が並んでいるので、その中での「箸休め」的な曲ですね。
14. LIFT ME UP, DON'T BRING ME DOWN
これは過去に「LIFT ME」と呼ばれていて、War Is Overのスプリッドのc/wで収録された時は「LIFT ME UP(上げてくれ)、BRING ME DOWN(下げてくれ)」でした。
で、MAKING THE ROADに収録された際にはDON'Tが着いて、「上げてくれ、下げないでくれ」になったという歴史がある曲ですね。
MAKING THE ROAD TOUR FINALでSCAFULLのホーン隊をゲストに呼んで演奏したのが熱かったですね。
自身のライブでも、トランペットとSAXを読んでコピーしたことがありましたが、まぁ下手くそでしたね笑
15. PENTAX
そして15曲目のPENTAX、これは完全にジョーク・ソングですね。
「この曲、商標的にOKなの?」とか当時から不思議に思ったものでしたが、まぁ特に問題なかったのでしょう笑
30秒、とにかく税金払いたくないって言ってる歌です笑
16. NOTHING
そして16曲目、ハイスタでは珍しくダウナー系の歌詞ですが、お前以外何もいらないという熱いラブソングですね。
この曲は割とコア層に受ける曲で、定期的にこの曲好きは存在し、ライブで過去にも何回か演奏しました。
冒頭のアルペジオが染みますね。
バンドで合わせる時は、2回目のサビが終わってからの間奏が意外と楽しかったりしますね。曲調はマイナーですが、ライブで演奏する際はなかなか楽しい曲です。
17. MOSH UNDER THE RAINBOW
そしてこのアルバムでもっとも、いやハイスタで最もピースな曲はぶっちぎりでこの曲でしょう。
冒頭のブライアンが語っているプロローグが終わり、難波の「カモーン」でイントロが始まったら・・・サークルモッシュの嵐!
もうそこらじゅうでサークルモッシュが巻き起こります!
ここまでサークルモッシュを誘発する曲は日本に存在しないでしょう(特に野外だと凄まじい光景になります)
ライブでは最後に演奏し、みんなでBig Circleを描く。
99年以降のハイスタのライブの様式美です。
ライブでは割と毎回聞いてる気がしますが、やっぱり一番染みたのはAIR JAM2012でしたね。まさに絆を感じましたねえ。
名曲です。
18. STARRY NIGHT
そして虹が上がり、夜が来て、空には星空が・・・
この曲STARRY NIGHTはタイトルを見た時点で絶対名曲であると確信し、聴く前から非常に楽しみにしていました。
僕はハイスタの曲は基本的に全曲ベースボーカルできる(た)んですけど、この曲は流石にキーが高すぎて歌えなかった。ケンのコーラスなんてもっと高いですからね。ハイスタは基本的にキーが高いんです。
なので練習したことはありますが、ライブではやったことがないですね。
この曲がやっぱりかっこいいのは2番、ケンがバリバリにミュートをかまして、「AHHHHHH」とコーラスを入れるところで、階調して更に高くなり、ツネと一緒にハモるところですね。あそこは鳥肌が立ちました。
とにかく美しい曲ですね。
19. BRAND NEW SUNSET
そしてこのバラエティ豊かなアルバムを締めくくるのは、これまでのハイスタではあまりなかったロックバラードですね。
コーラスが美しく、バンドとしての高見を感じさせる名曲です。
これまでのライブでほぼ毎回聞いてますが、本編(第一部)最後とかで聴くことが多く、ケンのアルペジオが始まったら「あぁ・・もうライブ終わるんだな・・」と思ってしまう曲ですね。
自分のライブでも終盤で演奏しましたが、この曲は結構ベースが動いて弾きごたえがあったりします。これを引きながら歌うのは結構難しいので、難易度中〜上かも知れませんね。
20. SEXY GIRLFRIEND(Secret Track)
この曲は・・よく分からんですね笑
そしてなぜかPV(?)があるという笑
歌詞もクソみたいな歌詞です笑
とにかくこの時期ケンがウクレレにハマっていて作ったんだろーなって、それだけの曲ですね。
波の音が自然で、夏の終わりを感じさせる曲です。SUMMER OF LOVEの続編的な立ち位置かも知れませんね。
MAKING THE ROADを振り返る
発売から24年が経ちますが、今聞いても最初から最後まで盛り上がれる名盤です。
そしてなんと言っても、6月30日が近づくと、いつもあの高校時代、自転車で早く家に帰って聞こうとワクワクしていたあの頃の記憶を思い出します。
音楽は人生に寄り添い、人生の記憶を呼び起こしてくれるんですね。
死ぬ時には棺桶に入れて欲しいアルバムですね。
(GROWING UPとANGRY FISTもですが・・・)
* * *
以上、そんな感じでハイスタ3部作を紹介しましたが、以降は全くのノープラン!
とはいえまだまだ無限に名盤は紹介できるので、また何か紹介させていただきます、とか書いていたら9,000文字OVER!書きすぎた!
そんな感じで最後まで付き合ってくれた方はいないかもですが・・・笑
最高のアルバム、MAKING THE ROADの紹介でした。
THIS ONE IS FOR YOU!
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