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ある虎党外科医の当直明け

昨日は当直だった。

(業務の合間にEURO2020を観ていたので)ほとんど眠れなかった。

そして今日の日勤帯になって後輩が出勤してきたので、引き継ぎ的なことをしようと声をかけると、こんなことを言いやがったのである。

「昨日は西かなりやられてましたね。どうしたんですかね」

なんやこいつ。喧嘩売ってんのか?

昨日は、阪神の試合は観ていない。当直業務が忙しかったからではなく、広島主催試合はDAZNで放映されない仕様だからである。そもそも天気が悪かったので雨天中止ということにして自己解決していた。

だというのに、嫌なことを思い出させてなにがしたいのか。上司である私の疲れを激増させてどうしようというのか。こいつは手術を覚える前に社会性を身につけるべきではないのか。いや社会性の前に猛虎魂か。

などということが一瞬頭を駆け巡ったが、たんに上司とのコミュニケーションを円滑にするためにsmall talkがしたかっただけという可能性も微レ存だなと思って、

「いやあ西ちょっと疲れてるんちゃうか。休ましたりたいよなあ。でもいま西は落とされへんやろ。でも今日抹消したら、オールスター前に再登録できるかな。代わりは西純也か?でもそれより問題は打線やろ。ここは思い切って2番マルテ3番佐藤でどうや?」

と、観てもいないのに監督気取りでコメントしておいた。社会性の塊である。この虎党仕草、ぜひ彼にも見習ってほしいと思ったのは言うまでもない。なお、休日出勤してきた後輩に酷いことを考えてしまったとは微塵も思わなかった。

そして後輩氏は社会性や猛虎魂はまだまだだが、大人ではあるので、

「マルテは長打力あって出塁率も高いし2番ええかもしれませんね。佐藤は走れるから打順前のほうがいいってことですか?もうちょっと出塁率上がったらありですかね」

と返してくれた。一瞬またその話かよって顔をしたのは見逃さなかったが。後は高橋遥人の復帰までに阪神は首位陥落してるだろうとか、今季は岩田や中田に登板チャンスはあるのか、中谷ソフトバンクでがんばってほしいとか、高山はトレードに出してあげるべきとかいう話をした。

また西純也、及川雅貴、斉藤友貴哉ら若手投手が育ってきてるという話もした。しかし後輩氏の「若手が育ってる話しだしたら、そのシーズンはもう終わりってことですよね」という冷静なコメントに、せやな、というしかなかったのである。

そして仕事の話をして解散になったのであった。

帰宅して今日の試合をちょっとだけ観た。今日もまた点取れへんのかなあと思ってたら、結果的には5-0で快勝。ルーキー伊藤は7回無失点、及川雅貴と斉藤友貴哉が1回ずつ無失点に抑えた。

これまたルーキー中野の5回裏の守備も素晴らしかった。1-0でリードしていたが、雨足からコールドもありうる展開で、ノーアウト13塁のピンチ。ここでショートゴロを中野はキャッチした。643のダブルプレーを取りに行って1失点はやむなしかと思ったら、中野はセカンドベースを踏んで本塁へ送球、3走はタッチアウトとなった。この回を無失点で切り抜けて勝利につなげたのである。

というわけで当直明けの土曜の夜は更けていくのであった。



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