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未来にコミットしない国の働き方改革

もうすぐ新年度。新年度といえば働き方改革である。

2019年4月から本格稼働していた働き方改革だが、あからさまに人手不足なトラック運転者や医師については5年の猶予が与えられていた。

物流業界のことはよくわからないが、医療については5年もあったのになにしてたんだ?と言わざるをえない。

NHKまでなにを思ったのかこんな番組を作る始末。

2024年4月以降、勤務医はA水準医療機関で超過勤務が960時間以内、B水準C水準で1860時間に制限される。違反したら労働基準法に基づく罰則がある。
A水準は忙しくない病院、BC水準は忙しい病院くらいの意味である。

超過勤務時間の数え方次第で960時間なんて一瞬で超えてしまうし、急性期病院の後期研修医なら1860時間に到達することも普通にあるだろう。

そこで当直時間中は休憩していることにしましょうというのが、宿日直許可である。本来の宿日直とは電話番程度の軽い業務なので当然である。例外的に労働が発生した場合は超過勤務としてカウントし、残業代を払いましょう、という趣旨になっている。

いわゆる寝当直ならばこれで特に問題はない。お家で寝られないのは苦痛だが、それに対しては当直手当が支払われる。

NHKの番組に出てきた産婦人科医は働きっぱなしだが、超過勤務時間は一切カウントされていないようだ。しかし当直手当を最初からかなり多めに払うことで(産科当直なら一晩10万円超えは普通にある)、なあなあにしていると思われる。

そうであれば産婦人科医は働きに応じた報酬をもらえるし、病院は時間外労働規制に引っかからないので一応OKということになる。(私の想像なので間違ってたらごめんなさい)

これの問題はなにかというと、一つは宿日直許可は実態に即して発行されるのが筋ってことである。宿日直と称して働き詰めだと許可が取り消され、宿日直時間中すべて働いているとみなされ、あっという間に1860時間に達してしまう。

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労働者の解放を新反動主義、左派加速主義に則って論じる。その過程で生命至上主義、生権力、過剰医療を批判することになるだろう。

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