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永久保有宣言、本当にできますか?

最近は日本株が調子がいいので、ツイッターなどで時々「これは永久保有決定!」のようなツイートが流れてくるときがあります。
確かに、今は日本企業は業績がよく、今までの株主還元がケチだったことも見直しが入り、増配傾向が続いています。
それを受けて、投資家サイドもバフェットにあやかって、「永久保有」を宣言する人も増えてきました。
それが簡単にできるなら、バフェット以外にも永久保有投資法をしている人がいそうなものですが、いないということは、相当難易度が高い、ということは分かると思います。
今回は、永久保有は本当にできるのかどうか、を考えていきたいと思っています。

個人的な経験ですが、コロナショック前に、ヤマハ発動機を所有しておりました。
これからは電気自動車やロボットもどんどん進歩していくだろうから、モーター系の会社がいいだろうという狙いでした。
さらに配当金もそこそこあり、「これなら長期保有するのにも問題ないだろう」と信じていました。
しかし、コロナショックが発生してから、速攻で「無配宣言」・・・
株価の下落もあり、無配になった時点で意味がないので、手放しました。
後から見れば、ここから一気にV字回復が始まり、復配から増配へ、そして業績を伸ばしていくのですが・・・
後悔がないと言えば、嘘になりますが、そこまで大きく後悔はしていません。
なぜなら、すぐに無配を発表するような会社なら、もう投資する意味はないと思うからです。
このように、企業の利益というのは、何か事件一つで簡単に吹っ飛びます。そして無配になっていきます。
最近は「積水ハウス、増配! 永久保有します!」というツイートも流れてきました。
企業が簡単に増配していってくれるなら、永久保有も簡単でしょう。
しかし、実際には企業利益はそれほど安定したものではなく、どうしても凸凹しながら成長していくことになります。
その中で、どうしようもないくらいの長期停滞するときもあると思います。
今のような順風の中では、誰でも「永久保有」を宣言しやすいと思いますが、例えば金利が上昇して、家が売れなくなってきても積水ハウスを永久保有し続けることができるのでしょうか?
(あくまで例なので、これから必ず金利が上昇するとか、積水ハウスはいい企業でないとか、そういうことを言いたいわけではないことは、ご了承ください。これから積水ハウスが順調に利益を伸ばしていく可能性も、当然ありますし、そうならない可能性もあります。それを判断し、保有し続ける間も判断し続けるのが、投資家の仕事だと思います)
もちろん、そのような時が来れば、新築住宅自体が売れなくなってくるので、利益が伸びず、もしかしたら減配するということになるかもしれません。
この前のnote記事でも述べましたが、「投資は買って売るまでがワンサイクル」なのであって、永久に保有し続ける、というのはただの思考放棄ではないでしょうか。

バフェットは思考を重ねたうえで、永久保有を決定し、そういった企業は全株式を買い取ってしまうという荒技もしています。
バフェットの思考力と努力と、資金力があるなら、同じようにできるかもしれませんが、そんなことは一般の投資家に求められるものではありません。

ちなみに、父親も投資をしているのですが、なぜかバイオ銘柄しか買いません(笑)
バイオ株投資は、大部分は失敗するものの、一部成功銘柄が出てきて、それで挽回する感じだと思うのですが・・・
父親はコロナショックの直後くらいに、セルソースという銘柄を買いました。
知っている人は知っていると思いますが、何せこの銘柄が大当たりし、21年半ばくらいには買値の10倍以上にまで上昇しました。
そのとき言ったことが、「この株、一生売らんからな!」でした(笑)
まあ、PER200倍くらいだったので、案の定その後、大暴落が発生し、現在も最高値から7割弱程度下落しています。
これでもまだまだ含み益があるので、投資としては成功しているでしょうが・・・
まだ保有しているかどうかは分かりません(笑)
セルソースがここから上がるかどうかは分かりませんが、世の中の投資家も、心理的に似たようなことになっていませんか?
一回よく考えてみることをおすすめします。
企業利益は永遠にまっすぐ一直線に伸びるわけではありません。
配当は増え続けることが前提ではありません。簡単に減配や無配になります。
ビジネスモデルが陳腐化するかもしれません。
投資家は、一切守られる立場にないことを、思い出してください。
自社株買いなども、同様です。
これも自分の投資した銘柄の例ですが、コッタという銘柄は、1000円以上で自社株買いし、最後は600円台で自社株買いしていますが、300円くらいまで容赦なく下がりました。
自社株買いは、株価が安い時は有効ですが、高すぎる株価で自社株買いしても、全く効果がないです。

そのためには、インデックスで買うなど分散してしまうか、知力を振り絞って買い対象の企業を選び抜くか、「永久に大丈夫でありますように」と祈るくらいしかないと思います。
あとは、やはりどこかで売却するのか。
売却も、ひとつの投資判断です。
確かに、常に増配し続ける企業を買って、持ち続ければ、長期的に低リスクで資産形成を進めていけるでしょう。
ただし、これは後知恵でのリターンであり、それを先に見つけ出すのは非常に困難でしょう。
永久保有という言葉で思考放棄すると、「こんなことは想定してなかった・・・」となりかねない。
売る可能性も覚悟しながら、投資する。
もちろん、優良な企業である限りは、保有しつづける。
それはかなり重要な判断であり、相場の雰囲気で気軽に言えることではない、というのが、僕のまだまだ浅い投資経験からの実感です。

皆さんも、一度この機会に、自らの投資を見直して見るのはどうでしょうか。

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