MoMoKo

2022年から書きものを始めました。 きっかけは2月からつけ始めた日記、(とある)本、…

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2022年から書きものを始めました。 きっかけは2月からつけ始めた日記、(とある)本、ZINE、ショートショート。 最近は日記のような空想のようなぼんやりとしたイメージで詩をかいています。 頭の中がぐにゃりと歪む、よくわからない不思議な雰囲気に浸ってみて。

最近の記事

天窓の感嘆詞を抱えんとする伏目鱗

背骨を火照らせている黴臭い窓辺に 屑みたいに転がって  つやつやと光を浴び 冗談すら言えない目つきをした工場の煙を崇高した 影法師と遊んでいるときに聞こえてくる声は翅みたいで 晴れながら雨ながら 性別のなかった声で反射している さっきの小雨にぬれ  眠ったり笑ったり 鏡にうつしだした指に湯気が溺れている 静けさのある身体とてのひらをわたす 海の砂漠で拾った石ころに 小指の影を照らす涙は消えることを厭わない光だった 道すがらの瑞々しい 抜け道に 確かに迷っている ぎこちなくわ

    • 寒風におぶわれた肌にはかつての月があって

      錆びれた手つきで野っ原についての スローモーションを駆けずり回る 古びた耳や骨の形状 記憶を吊り 雲の鼓を鳴らす場所には 軟らかい唾がだらだらだら 底なしく気持ちを蔑ろに嘶く 黄身から白身をたどり滑る音割れを 記憶しておいた提出用ノートの油染みが 朝方、 茎の膝 浮かんで泳ぎ 部屋中を漂っている文旦を はじめて宛名にする 悔しくなると 一輪花の色合いは 膜のように 目を埃の姿に 光をたくさん浴びた世の様々 なって 三つ編みを結んだのは人形の複雑で

      • 油っぽい雲は歯ぎしりしている

        梅雨にも似た雲を眺めていると、いつしか春の訪れを感じるようになった。扉を開けても真っ暗な心地をそのまま羽織り、息づく。肌に寒さのにおいがしている。 しずまってゆく奥底に道すがら (照らされ) 言葉の膿を|清々と注ぐ (…) 揺らそうとしている 背骨の奥にひそむ光に 覆われている翳を とっくのとう口にしたものだけは熟して 音がくずれそうなまでに 考えているうちは 不在の世話をやく青い顔を浮かべている 寒さがますほどに充たされ むきだしの屋上に抱きかかえられ (…) 静寂がこ

        • しなる静穏

           泥のように溶けて境界しかわからなくなった  状態でやっと手だけは模して境界という壁に  ついている 鮮やかなまでに淡々あわあわしく叫んでいた 積み上がることのように崩れて 吐き出すことのように 清らかに悶え 心なしか 青天の模様が むき出しの舌に沁みた さかさまになってみると 寓意が足元を隔てるように落ちてきて ものしずかな加筆で 暗がる昼下がりを捨てた 飼われたままになっている床下の面影に ヨレヨレの窓の殻っぽになった光を そろえてしまいながら

        天窓の感嘆詞を抱えんとする伏目鱗

          わたしのえせゆび

          陽ざしという  小窓のひし形はがたついて たりないひとつの光がひっこ抜かれ  青紫をした硝子色を こともなげに通る  ころがり寝そべっていると あおむけになった雲はわりと近くに いるようで 都心の芝生に 仰向けの人々 しみこむような窓に居座る光芒と 密かに出くわしている 涅槃がくしゃみをしているので  目をとじると皮膚に覆われて 眼球が暗がりにつつまれる ロッカーにしまっていた 椅子の脚を 慎重に取り出しては 人工木馬の足に なってしまいそ

          わたしのえせゆび

          庭に散らした夜の光

          中華粥の小さな底 かくしに 鏡面の渦 とぐろの一層を想起して 翻る月の光、斑石を汀に寄せる 布団が白く揺れ からまって日常の 立て髪が風を覚えはじめるように 螺子の回されない一幕にパターン帳が よく映えて つかまれそうになって  つかまったふりなのか たんつぇん交わす —・—・—・—・—・—・—・— こんにちは。11月の投稿です。  今月は内にもっておきたい出来事がいくつかあり、記録として言語化の文字の形となってしまうことを避けたくなりました。むしろ

          庭に散らした夜の光

          シャーレに詩を貝釦の ともし

          柵でねむる鳥獣戯画      獣と植物      その姿に影に非で似たる 柵でねむった鳥獣戯画  戯曲演目に採用され 器官の鼻声混じりの歌 甘美なうたた寝を宿す踊り場から うなじの緊張した面持ちで砕いていく これから来ている朝を 始まりを打ち込まんとする朝を 待ちきれずに動き出そうとする朝を ほっといてもやってくる夜を 双方に循環を与える昼を 切断の怯えるほとりで 不十分にも寝息で満たされる 覚醒しつづけて 狂えなかった 真夜中の螺旋階段 に

          シャーレに詩を貝釦の ともし

          白々しく安堵して

          二つの折り線に沿って 指は折れ曲がる  二度寝のようだ 滑らかに、引っかかっていながら たゆたう 洞窟穴の芽 青じろい部屋埃  雲の真上は曇って イディッシュ語の天地に もがきながら マルシェで売られていたのは 宵の衣  親しみにもおとなしげな離反をともない  終わりがけの くしゃみをする 更けった月の街に出てきた 砂地にほてり 決して  赤みがからぬ顔をして よろよろと歩いている しんしんと降る雪 虚空騙しに遭う  猛暑はけたたましく あったころを伝線した部屋着  風

          白々しく安堵して

          航海の息遣い

          シャワーを浴びていると懐かしい匂いがしてきた。窓のある外を入浴している匂いが漂う。 浴室の洗い場に降り立ち、わずかに歩くと薄くなった水色のタイルは水のようにひんやりとする。わけもなく踏まずにいた格子線は足を割るように深く刻まれている。分厚くて水色をした湯船には湯が張られたまま、冷えていた。けっして冷たくはなかった。ガラス戸を開けた瞬間の、ぼやける蒸気立ち込める昨晩の湯加減を見たからだろうか。大衆浴場の水の残り方をしていないような気がする。無作為的な流動とは異なって、どれも昨日

          航海の息遣い

          海岸石

          拵える白濁性は下水に打たれ つぶさな残り跡が手へとガラス壜に微かな咆哮を 浮かばせる 劇場のアーチに一片の懐古 シャッターを照り返す曇りは眩しい 耳を撫でる光 耳の縁をわからず 惑いながら撫でる光 遊覧の間引きをしているとしみこんで ポシェットの影は滋味深く漂う陽射しを浴びる 背中が熱いことを慣れていくたび 胸にこもるねつには過敏とした態度を取る、かの迂回路 ・泉の灯路・ (2023.6.30、7.1) ーーーーー こんにちは。お久しぶりです。 1ヶ月

          巻貝ないし鰐

          淡く生活感におぼれかけて身の丈三分の一にまでほどけたその写真はかざり棚の幕間に象を結ぶ。さびしさは海の砂に散らばる遠景の石ころに陽を延ばすと塩の風にまぶたが隣に黄ばんで腑にこぼした。ミモザの部屋は不在の中から青く光っている。待ちくたびれた呼吸音でブランコ酔いをしちゃったと大げさに、物陰の花冠をたたき起こす。ただ布地をたたいている。ベーコンと卵、焼く風の吹いてくるすき間に慎重なほどに戸惑う。 ・すんでくらして・ (2023.6.1) __________ こんにちは、1ヶ

          巻貝ないし鰐

          菓子箱の生い立ち

          駐輪場でストローの腹ごしらえをして 小さく生きるものの中(なが)く広げた  影をたたえ 戯曲第3番に対峙しようと耳をかしげる 風呂の天井あたりにい つづける膜を たっぷりと含み ながら北上する土地を開催中の緑まつり のみたらし団子の串でつっつく そこにつれてきていた蓮の葉に乗るうつぶせの デコイからはさっき自販機にうつった 河川中のフラストレーションが 落陽のスピード感を保ったまま 萌木のくすぐったいにおいをしている メニュー表の字体が化学的分解蘇生

          菓子箱の生い立ち

          双眼鏡越しに焼きそばパンがありました。

          またたきの雲がくれ  小さなちいさな 風景で 溢れている詩集をひらくと 床に注ぎ差す 模様とともに 文字の形を散歩する 切れ端のずっと カーテン側の方角 光る雲の指飾り かやくめしからのぼる 部屋の湯気 は不対称に 尻尾の毛繕い 冷蔵庫を放ちっぱなしの朝 は 誰とも ホットケーキの層を かくしあっている。 ・ホットケーキの濃くなっているもの・ (2023.4.11、4.12) 〜・〜・〜・〜・ おまけ お久しぶりです。いかがお過ごしですか?

          双眼鏡越しに焼きそばパンがありました。

          空に浮かぶ鳥どり

          風呂上がり二枚貝に挟まれる心地の訪れ。 雲の注ぎ口に光波の出現。 無地上に降り立つのなら、 滲む円の影に入りすぎた本音を吐露する。 爪に電柱の錆色模様が映えて にごりの重層をたたえた。 かきむし草が宙をなで サンドイッチのにおいの漂うつむじ。              ぽりぽり。 干したての湖畔の縁に 洗いたてた びっしょりの瞼。 すわりこんで うすく張りめぐる氷層を照らすように しらべたての話を口ずさむ。 ・いきもの湖畔・ (2023.3.22)

          空に浮かぶ鳥どり

          ドーナツ光る格子

          泡が層になって足跡につく。 屋上に持っていくのに揺れ動く波が たたずむ静寂を上げた。 なぎ以来の小片をかぼそくみつめる。 サッシのよごれが指先をなでた。 しだいにとおのく (ほこりの拡大に必要なあのとてつもなく 大きな声に踵が はち切れると。) 余白がたずねる。 ・すなぼこり・ (2023.3.18) 〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜 2023.3.30 写真から浮かんだ言葉をつなぐ。 全く異なる風景がとあるイメージに集合するとバラバラの輪郭が立ち上が

          ドーナツ光る格子

          部屋のない窓辺

          貝殻の凹凸で向こうは模糊づくり。 針金の跳ね具合を試みる。 濾すスピードはゆったりと離れる。 佇む茶葉、 そこで隣が密集した寝床。 舞いしぐる水滴が舌に転がる光景を 写して記録する採集帳。 “どこにあったっけ?” 棚の上に積んだ本のすきまに挿んでいた。 集めていたところを千切って かじりかけの本の栞にしていた。 細く彩る帯が丸くまとい 前髪の影が浮かぶ。 陽と灯の漂う風に麻布があたる。 ・丸いガラスの片っぽはaoto派・ (2023.3.14)

          部屋のない窓辺