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読書note-9

「星の子」
今村夏子
朝日文庫
本編227頁

芥川賞はじめ数々の文学賞を受賞されていた今村夏子さんですが初めて手に取りました。2020年に芦田愛菜さん主演で映画化された作品です。

芦田愛菜さん演じる主人公のちひろは、新興宗教を信じる両親に大切に育てられます。5歳上の姉のまさみは小学生の頃からそんな両親に疑問に感じて家出し、物語りの途中からは登場しなくなります。それに対してちひろは疑問に感じるより、宗教に親しみを覚えていてイベントには当然のように参加します。

そんなちひろも中学生になり南先生に好意を寄せます。しかしとあるきっかけから南先生に車で家まで送ってもらい降りようとしたら先生から止められます。先生は公園にいた二人組を、ちひろの両親と知らず変質者とみなしたからでした。

ちひろは車を降りる際に自分の両親であると言えませんでした。そこに葛藤が感じられます。宗教から引き剥がそうとする叔父家族。それでもやはり両親からは離れられないちひろ。

最後は参加したイベントで、両親に挟まれて夜空を見上げて流れ星を眺めます。とても余韻に残る印象的なシーンでした。

信仰宗教という難しい問題を使って家族ってなんだろうかと考えさせる素晴らしい作品です。

巻末の今村夏子さんてた小川洋子さんとの対談も素敵でした。

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