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惑星Xの陰謀(ショートショート)

 惑星Xでは、隕石怪獣のあまりに不甲斐ないやられ方に、緊急会議を開いていた。
「地球人があんなに大きな生物だとは知らなかった」
「大きさは小さくとも、大量に送り込めば、奴らも対応できずに、地球の破壊活動ができるのではないか」
「そうだ、小さいということは奴らに気付きにくいという利点がある。大量に送り込めば、何割かは生き残って破壊活動をするだろう」
「そうだ、そうだ、賛成」
 惑星Xは懲りずに第2段の隕石怪獣を送り込むことにした。しかも大量に。地球ではこの小さな隕石を確認はできたが、分散していくので、全てを把握できない。惑星Xの思う壺となった。
「でもどうせみつかったら、踏みつぶせばいいんでしょう」
 人類は軽く見ていた。
「それでも何億という隕石怪獣が地球に落下してきたのですよ」
「それはすごいな」
「もしかしたらあの時、すぐ殺したからよかったものの、時間が経てば巨大化してたかもしれませんよ」
「おーその可能性もあったか」
 怪獣の死骸は研究所で分析されていたが、よくはわからなかった。生物だろうということくらいしかわからず、たとえば、口から火か放射能を吐くとか、そういう機能もなさそうだったので、たとえば敵と戦う時も嚙みつくしかなさそうなのである。そんな程度の怪獣を果たして送り込んでくるものかどうか。
「友好の印にペットとして送ってきたのかもしれないね」
 惑星Xの意図が全くわからないのであった。
 果たして隕石怪獣は地球に降り立ち、水に濡れ、怪獣が石から生まれ活動を始めた、と思われる頃。地球防衛軍には何の情報も入ってこなかった。まさか本当にペットにしている人がいたら大変なので、世界的に怪獣を見つけたら、すぐに地球防衛軍へというお知らせをTVやインターネット、ラジオで広めた。
 それから発見者が続々現れたが、全て怪獣たちは死骸になっていた。どうやら野生の犬やら猫やら鼠に食われたようである。
 稀に生きた怪獣を見つけたこともあったが、ほとんどが息も絶え絶えであった。実際何体の怪獣を送りつけてきたのかもわからないので、全滅させたかどうかはわからない。このまま外来種としてひっそり生き延びて、種を増やして、迷惑害獣として何年か後に問題になるかもしれず、あるいは何も起こらないかもしれなかった。
 惑星Xでは反省会が開かれていた。
「あんな凶暴な獣がうようよしているとは思わなかったな。それならあの猫とかいう奴をどこかの星に送り込んで、破壊工作をさせてみたらいいかもしれないぞ」
「その前に我々が猫のために滅亡させられますよ」
 かくして惑星Xの陰謀は失敗に終わったのであった。

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