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母の味

 娘が帰省してきた。早速妻がいなり寿司を作る。小学校の運動会などで、必ず作っていたやつだ。息子はこれが大好きである。いわゆる母の味なのであろう。
 それを持って、お盆のお詣りに妻の次姉の家に行く。ここに仏壇がある。父親と母親、長兄が中にいる。娘のお土産が烏羽玉だ。次姉のリクエストによるものだ。
 僕はこの烏羽玉ってやつが、どうも甘すぎて得意なほうではない。それよりは出町柳にあるふたばというお店の豆大福の方がずっと美味しい。最近は京都駅でも売っているらしいので、娘が土産に買って来てくれる。京都の定番の八つ橋や阿闍梨餅よりこっちがいい。
 それはともかく、いなり寿司を食べ、次姉の出してくれた料理を食べ、近況報告をして、お邪魔した。
 さて息子の母の味がいなり寿司なら、僕の母の味は何だろう。おそらくはがめ煮、筑前煮、八寸といわれるやつだろう。この3つは細かく言うと、似たようで異なるものだが、母の味がどれになるのかはよくわからない。

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