見出し画像

心のゆとりを楽しめるようになれば一人前なのかも

昨日はかみさんの誕生日。
この日は和食を作ろうと企んでいた。
いつもパスタやらローストビーフやら南蛮渡来のものばかりだから。

鯛をさばいて刺身でもと思っていたら、前夜にかみさんが鯛アラ鍋を作ってくれたのでナシ。
では鶏ももの山椒焼きをと思ったら、冷蔵庫に手羽元がいっぱい控えていて、きっと近々大量に使う予定なのだろうということで鶏もナシ。

次々候補がNGで消えていく。
鯛刺し作るで、と言っておけばいいのだろうけど、そこはやっぱり当日何が出てくるかのお楽しみにしたいやん?

ザ和食は繊細なだけに手間をかけないとすぐ味に出てしまうから、ふだんはなかなか作らない。
レパートリーなどなく、本やネットを参考に作ってみた。
とくに参考にしたのは、創業222年になる京・御幸町四条上ルの老舗〈近又(きんまた)〉亭主著の料理本。
おかげで昨晩の食卓は京料理が並ぶことになった。

焼きなすのだしづけ

焼きなすとは、焼いて皮剥いてペッと醤油かけてシュルンと食べるものだと思っていたが、京は違う。
皮を剥いてから、だしに3時間も漬け込む。
ひえー! でも、あまりのうまさにまたひえー!

アスパラ、トマト、椎茸、海老の煮びたし

みりんと醤油を加えただしに半日漬け込むだけで、こんなにもさっぱりと甘く仕上がるなんて。
なんでもだしに漬け込みたくなってきた。

京風豚しょうが焼き

京は豚しょうが焼きまで違った。
漬け込むタレがなかなかに甘いのだ。
盛りつけも並べるものだと信じて生きてきたが、まさかの積み上げ式、そしててっぺんには九条ネギ。
米国産の4倍もする薩摩産のブランドポークを選んでおいてよかった。

蒸し牡蠣ポン酢ジュレ

せっかく1時間も前にジュレを冷やし固めても、熱々の蒸し牡蠣に乗せたら一瞬で溶けるよなぁと予想はしていたが、はたして予想どおりでトホホ。
でも牡蠣がたまらなくうまかったから、よしとしよう。

おいなりさん

関西のいなり寿司は「おいなりさん」と呼ばれ、三角形が特徴。
寿司飯には、だしで炊いたにんじんや椎茸が入る。

小さい頃、誕生日には母が必ずおいなりさんをこさえてくれた。
僕にとって、誕生日といえばおいなりさんなのだ。
記憶をたどり初めて作ってみたら、しっとりと甘かった。

和食がいちばん落ち着くのは、やっぱり日本人だからということか。
食後のお腹の、そして気分のなんと軽いこと。

だしに漬け込み、素材を壊さずうまみを楽しむ。
夕食にと思えば、昼から朝から、いや前夜から準備が必要なものも。
その心のゆとりを楽しめるようになれば一人前なのかも。

京に教わる和食、これからもちょこちょこ作っていこう。

(2023/2/19記)

サポートなどいただけるとは思っていませんが、万一したくてたまらなくなった場合は遠慮なさらずぜひどうぞ!