猫と私の物語
その3 地球防衛隊
「ウチのみいさん」になってから2ヶ月ほどたったある日、私はちょっとした発見をした。
なんとみいさんの背中に、背骨に沿って黒い一本線が出現しているのだ。
早速、子どもたちに報告する。
「うわぁ〜、ホントだ。みいさん、地球防衛隊に入ったんだな…」
と、長男。
「制服、かっこいいじゃない」
と、長女。
「???」
の、次女。
(なるほど、君は地球の平和を守るのね)
それから、しばらくたったある日、ちょっとした修理をお願いしていた業者のお兄さんがウチにやってきた。
お茶を入れようとキッチンにいた私は、
「ひゃ〜!!」
というお兄さんの声に慌てて駆けつける。
なんと、座っているお兄さんの足元めがけて、みいさんが突進してゆくではないか。
後ろ足ですっくと立ち上がり、両前足を大きく広げ、斜め横っ飛びで。
その体は毛を逆立てて、1.5倍ほどにふくらんでいる。
しかも、口を大きく開け、激しくシャ〜っと叫びながら。
かろうじてお兄さんに飛び掛かる寸前で、みいさんを捕まえる。
そして、平謝り。
おそらく180㎝超えの大きなお兄さんが、子猫のみいさんを前にして、本当に怯えているのだ。
(ちょっと子鬼みたいだったな…)
どうやら、みいさんは業者のお兄さんを外敵と判断したらしい。
そして、地球の平和を守るため、果敢にも戦いに臨んだのだろう。結果、見事に初任務を完遂したのだ。
この話を子どもたちにすると、みいさんの株は急上昇である。
「よくやった!」
「君は強い!」
などと、皆に褒められるみいさんだった。
(お兄さん、ごめん!!)
と、心のなかでひたすら謝る母である。
このあと、背中の一本線は日毎にその幅を広げていき、ひと月もするとグレーのポヨポヨした毛並みは、すっかり黒くなった。
黒猫みいさんの誕生である。
(その果敢な働きにより昇進したみいさんは、制服もグレードアップしたことになっている。)
ちなみに、その後も地球防衛隊の任務はそのまま遂行するらしく、男性の来客には容赦ないシャ〜攻撃を仕掛け続けたのである。
つづく
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