恵子

詩を  時々   書いています。

恵子

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最近の記事

囁  ティアラ

手には花束 髪にはティアラ すっかり馴染んだ制服に 身を包み あなた達は 街を行く あどけない少女の面差しの 向こう側に 女のしたたかさを 閉じ込め 誇り高き プリンセスたちが 街を行く そっと胸に抱き寄せた花束の 彩り豊かな どの花よりも あなた達は 綺麗 今日のティアラの輝きが 心のなかに 灯り続けますように そして もしも 道に迷っても 足元を照らす 光になりますように 美しいプリンセスたち 卒業 おめでとう (写真はみんなのフォトギャラリーよりお借りしまし

    • 猫景色  翔びます!

      左右に お尻を ひょこひょこと 低い体勢 みなぎる 力 えっ?! なに?! なにを 狙ってる?! 手元に 丸めた メモ用紙 これ? これかぁ… シュッと転がすように投げてみる ダダっと 弾丸スタート か・ら・の スライディング 両前足でキャッチして 咥えてトコトコ やってくる ポトリと 近くに 落としたら キラキラした目で 見あげてくる 今度は高く投げ上げる 放物線の頂点を 狙って ビヨ〜ンと 飛び上がる きっと 君の背中には 見えない翼が 生えている そして見

      • 心象風景  冬の宴

        風が びょうっと 私を呼ぶ カーテンを 開けよう 窓ガラスの向こうに  夜が 佇んでいる 青みがかった 墨黒の衣に 煌煌と照る 半分の月と キラリと瞬く 星たちを 縫い止めて 冴え冴えとした顔で そこに 居る 風が びょうっと 鳴り この冬最後の宴へと 私を 誘う 窓明かりの下で 吹き溜まりの落ち葉は 小さな踊り子たちに 姿を変える わずかに 秋の名残の色を 差した 衣装を 翻し 空中に 勢いよく 舞い上がり くるりとターンして 舞い降りる カラコロと カラコロコ

        • 猫景色  ささやかなお願い

          ねえ、君… いくら寒いからってさ… 寝ている私の 顔の上で こっそり 暖を取ろうとするのは やめてくれる? ……お願いだからさ……

        囁  ティアラ

          (囁)…その花の名前…

          草原の風に吹かれて 揺れている ダンデライオン 田んぼの畦道 少女が摘もうとしている タンポポ どの名前で 呼ぼうとも 花は 美しく その花の名前は 愛おしい そういえば… 「茉莉花(まつりか)って書いて、まりかって読むんだよ。  あたしの名前…」 彼女は教えてくれたっけ… 「ジャスミンのことなんだって…」 そう言った 彼女は 溢れんばかりの 笑顔だった… あなたもまた 花 だね… 元気でいますか?… (写真はみんなのフォトギャラリーよりお借りしました。  

          (囁)…その花の名前…

          (囁)…泣いていいよ…

          ゆらり 眼差しが 揺れて 瞳は 滲む ああ……   泣いていいよ… わたしは そっと 席を立つ こんな日はね あなたの好きな マドレーヌを 焼こう 部屋中に 甘い香りが 広がる頃 あなたが 顔を上げるといいな… そんなふうに 思いながら 理由は 聞かない あなたは  ただ   ここに居て   …泣いたらいいよ… (写真はみんなのフォトギャラリーからお借りしました。  ビシバシ。さん、素敵な作品をありがとうございます。)

          (囁)…泣いていいよ…

          猫景色  冬が来た!

          さあて そろそろ寝ようかな… ピシッと シーツを 敷いておく どこからともなく 現れて シーツに上に ねこ 猫 ネコ はいはい どいてと 促して ふわっと 毛布を かけておく 懲りずに またもや やってきて 毛布の上に ねこ 猫 ネコ まったく もう と言いながら 一匹一匹 どかしたら 掛け布団を セットする 待ってましたと 言いたげに 掛け布団の上に ねこ 猫 ネコ 思い思いの 態勢で  せっせせっせと 毛づくろい 猫の合間を 縫うように  遠慮しいしい モゾ

          猫景色  冬が来た!

          心象風景  時を釣る人

          湖のほとりに座り 釣り糸を垂れる人 あなたの姿が あまりにも静かだから 私は 思わず 夢を見る 対岸の そのまた向こう 緑濃い山々が 徐々に 黄色や朱に彩られ その葉を散らしてゆく 降り注ぐ落ち葉の雨の中 立ち尽くす そんな夢 やがて 空から 白いものが舞い降りて あたり一面を 覆い隠す そんな夢 雪解け水が注ぎ込み 水かさが増す頃 そこここに 小さな芽吹きが輝く そんな夢 湖のほとりに座り 釣り糸を垂れる人 あなたの姿が あまりにも穏やかだから 私は 思わず 夢

          心象風景  時を釣る人

          猫景色  寝てるんだってば

          寝ている猫の いるところ 空気が ふうわり 丸くなる 時の流れは ゆるやかで のんびりいこうと 気づかせる 寝ている猫の いるところ 思わず ツンツン したくなる そこは ぐぐっと 我慢して 上から 横から 覗き込む 結局 我慢できなくて 額のあたりを そっと 撫で 薄目で きろりと 睨まれる もしも 言葉を 話すなら きっと 君は こう言うね   ……あ・の・なぁ!!……   ……寝てるんだってばっ!!!……  思わず すまんと 謝れば くるりと 向きかえ 寝直し

          猫景色  寝てるんだってば

          願い   友へ

          向かい合わせに座って 束の間 無言で 見つめ合う 点と点を そっと繋いで 会わない時間を 埋めるように あの頃さぁ… あたしたち きれいだったよねぇ… 唐突に話し出す あなた そう… あの頃… 私の思う あの頃と だぶん同じだ あなたと 黒いオープンカー そして 赤いワンピース どんな頃だって あたしたちは きれいだよっ!? 私はおどけて そう言い放つ あなたは カラコロと笑う この声… この笑い声が 聞きたかった… そう思いながら あなたの顔を 見つめる 人知

          願い   友へ

          ある夏の日

          空は 青い 雲が 低い その陰影は 濃く 奇妙な 立体感を 伴って 間近に 迫ってくる 何故か 気になって 太陽に 灼かれながら スマホを かざす 何度 写してみても 今 目にしている 光景を うまく 写すことが できない 何度も シャッターを きる 何度も 何度も… なぜ こんなにも撮りたいのか 自分でも わからないままに… 今日の私は どうかしている 風が立ち 黒い雲が 湧き出す バタッと 大きな音がして 雨が 一粒 木の葉を 打つ 一呼吸おいて バタバ

          ある夏の日

          ポートレート

          (お盆ですね…おかえりなさい) 二枚の 写真が ここにあります 一枚目 紅い 椿の花に 囲まれて パチンと 弾けるように 鮮やかに 笑っている あなたが います 何を見て 笑っているのでしょう カメラを 見ているわけでは ないようです この笑顔を 私は 知りません あなたは こんなふうにも 笑うのですね 二枚目 セピア色の中にいる あなた 左肘を 机に委ねて 頬杖をつく あなた 視線を 外して ポーズを取る あなたは ちょっと 女優さんみたいです この表情の

          ポートレート

          猫景色   ごめんね

          寝始めに いつも 謝る ウチの猫 5兄弟 箱に 入れられ 道端に 捨て置かれていたらしい 見つけて 拾った 男の子 慌てて 家に 持ち帰り お母さんと 里親探しの 2週間 最後に 残ったのが 君だった 君を 優しく 撫でながら 彼は 言ったんだ ごめんね、飼ってあげられなくて…って 猫が 大好きな 彼 飼わせてあげたい お母さん けれど 彼は アレルギー 大切に 育てるねって  約束したよね あのね、元気に過ごしているからね 心配しなくて いいからね 今日も

          猫景色   ごめんね

          心象風景  景福宮蓮

          おおらかに 咲き誇る 蓮の里の一角で すんと 静かに 背筋を伸ばし 空を 見上げる 蓮の花 その佇まいは 可憐にして 高貴 白い手の 爪先だけを  ほのかな 桃色に染め そっと 虚空へと 差し出して 葉に 残る水滴は 昨夜の 雨 決して 涙などでは ないのに… 纏う 空気は 憂いを はらむ 恋しい 方が いるのでしょう? ふと そんな言葉を かけたくなる 風が 流れて 花びらが 震える 会いたい……と 吐息のような ささやきが 7月の 風に さらわれ 消えて

          心象風景  景福宮蓮

          猫景色   ハートかな?

          ハートだよ! と、連れてこられた 君 まるで 雨に打たれたように しおたれて 痩せっぽちの ボロボロの 子猫だった 長くはないかもと お医者さんに 言われて どうしたものかと 思案に暮れる 食も細くて よろよろと  歩く姿も 痛々しい それでも 少しずつ  少しずつ  元気になってきて ホッとしたものだ ハートかな? 指先で 形作れば 見えなくはないけれど… むしろ 歪んだ楕円だな… 口は開けども 声は出ず 耳をすませば かすかに はぁ…と 聞こえてきた 時は

          猫景色   ハートかな?

          猫景色  月には吠えぬ

          カーテン越しの 窓辺に座る 黒猫 後ろ姿の なんと 愛おしいこと 物思いに耽っているように見えるのは ただの思い過ごし 向こうが ぼんやりと 明るいのは 隣家の 灯りかと そっと カーテンを 開けてみる 夏の夜空に 尖った 白き 三日月 それを じっと 見つめる 君 一瞬 君と 目が合って 心の中で つぶやく たまには 一緒に 吠えてみる? 3、2、1…と数えて おわあ! と、小さく吠えたのは 私 ふわあ! と、大きなあくびをしたのは 君 う〜ん…… 月に

          猫景色  月には吠えぬ