花が　あんまり　咲かないから
冬って　好きじゃないな…

そう　あなたは　つぶやく

ならば　あなたが　花になれ

漆黒の髪を　冬の風に　もてあそばれながら
公園の　池のほとりに　立つ

その佇まいは　凛として　静謐

きっと　冬の花に　ふさわしい


視線の先に　羽を休める　鴨たち

それを見つめるあなたのまなざしは
陽だまりのように　あたたかい

きっと　誰かの心を　暖められるだろう

だから　あなたは　花になれ

夕映えに浮かび上がるシルエット
あなたは　茜色に輝く

刻々と　その色を　変えながら
冬の　冷ややかな　風に　毅然として　立つ

あなたは　そんな　美しい　花になれ

けれど　知っている?
私にとって　あなたは
とうの昔から　花だということを

あなたは　そのことを　きっと　知らないし
ずっと気づかなくていい

何故って？

それは　私だけの　大切な秘密で

宝物だから