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遠く、鶯のなく

誰もが嘲るばかりに聞こえ

なにもかもが疎ましく

血を分けた家族とのひとときでさえ

癒しにはならない

遠く、遠く、鶯のなく

ほぅほけきょとおどけるように

遠く、遠く、哀れな耳鳴りが叫ぶ

ほしかったのは、つがいであったか

ほぅほけきょと鶯がなく

美しい唄声は誰の為でもなく

ただ、花に語るように

ほぅほけきょと鶯のなく

いつか鷹の一声にも応ずるように

ただ恋しやと
 
寄るべもなく枝木から唄う
 
あぁ、喉が枯れてはしまわないかと
 
道すがらまた聴くのだろう

ほぅほけきょと鶯がなく
 
不思議と、かの鳥の声は

乾いた心に、雨がしとやかに降るようで
 
また私は今日も、阿呆でいられるのだ
 
ほぅほけきょと鶯のなく
 
しがらみの無いような、わずかな数瞬
 
幾たびの実ることのない愛を

数えもしない私は
 
ただ鶯に歌を贈る
 
かの鳥の 春雨の降る 午後の日の
逢瀬を歌うは 比翼の鳥
 
優しい雨がアスファルトを濡らす
 
虹が見えたのなら、また喧騒に立ち消えるように
 
詩はただひとときの癒し
 
あぁ、だから皆歌うのか
 

 


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