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気まずい食卓

大吾がマンションに帰ってきた日、悪いことをしたら、その後会うのは少々気恥ずかしい、一回喧嘩別れしたカップルが再開して話す時みたいな気まずい雰囲気の中、久しぶりに3人で夕食を囲んだ。

とりあえず、場の雰囲気を和ませるために、留置場の生活について話を聞いた。留置場では、ドラマのように「兄ちゃん何やったん」的な感じで、自分の犯罪や、犯罪歴などを話したらしい。ほんまもんの悪人ももいて怖かったと言っていた。

その中の1人の若い子と特に仲良くなったらしく、その子の彼女の話や、こちらの家族の話などを話したと言う。本当は、仲良くなんてなってほしくない、なんの犯罪を犯したのかもわからない人と友達になるのは少々怖かった。

その子は後に刑務所に入ってしばらく出て来れなかった。出てきてから少しの間も交流していたようで、私も何回か会った事があった。見た目もカッコよくて普通の人で、刑務所の中で理容師の免許をとって、理容師として働いていると言っていた。その後は、真面目に働いて結婚したという話を聞いた。

留置場の話の後は、こちらの2週間の生活を話した。仕事の引き継ぎだったり、大変だったこと、2週間とはいえ離れていた娘の成長について話をした。

そして、仕事を今後辞めてどうするかという話をした。犯罪歴ができてしまった以上、そういう事件に巻き込まれることもない人生を歩まないといけない。
その根源となったお店は閉店して、新しいお店を作って出直すといった話をした。

終始、大人しくモラハラ感のない大吾だったけれど、喉元過ぎれば熱さも忘れるとはよく言ったもので、しばらくすると元の大吾に戻った。

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