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飲食と人生 ( 取り留めのない放言とレシピ) その8

 美味しいモノを味わう能力
 舌 いわゆる味覚がメインになるのは間違いないでしょう。
 しかし、それだけでは有りません。  歯や喉が関わる食感、触感などテクスチャーも大事で、且つ人それぞれ優先順位が違うのではないでしょうか。(手で食べる東南アジアの文化圏で1週間ほど暮らすと、手で食べる事は官能的であるだけでなく、より素材の味がよく判るような気がすると同時にプラスチックや金属のスプーンや箸、フォークは金属臭、プラスチック臭がして、明らかに料理を不味く感じさせます。帰国してしばらくすると慣れてわからなくなるのですが。
 又、私は日本人なので、吉野杉の箸で食べる和食や夏の青竹の自作箸で食べる流し素麺は格別、優れた食事スタイルだと感じています。)
 見た目(視覚)だけで食べれない人もかなり居ます。       
 親しい友人で鶏肉の皮のブツブツを見ただけで気持ち悪くなる人、餅のモチモチ感が耐えられない人、歯が悪い訳でもないのに噛む事が嫌いで、麺類やプリン、ジュース、お茶漬け等の歯の要らないようなものばかり食べたがる大人。(当然、ヒドイ糖尿病でインスリンを持ち歩き、私の忠告は 非科学
で、新興宗教のように偏っていて、医学的、栄養学的ではないそうです。)
( 子供には比較的多い傾向ですが、大人です。ははは。)
  白砂糖や人工甘味料等の強い甘みや 化学調味料が有れば、旨いと言う人なんて、まだマシかもしれません。 

 私の場合、嗅覚、つまり、匂い、臭い、香りが第一に大切でそれから温度、味が、食においては大事です。(40年来のドリップコーヒー好きで4-5杯/日飲みますが、4-50度になるまではコーヒーの香りだけ楽しみ、それから味わいます。 熱い食べ物は冷たい物同様に 味が、よくわからず、ノドが焼けるように感じたり、冷たい物は 味がよくわからないので強烈な味付けがされているものもあって、さらには、食後、異常な疲れを感じさせます。)
 次に、過去の体験との比較が大事です。香りと味の記憶力でしょうか。
 しかし、そのときにいつも思うのが
友人たちとの味わい方の違いです。特に思うのが、嗅覚なのです。

 直接、漁師さんから手当てしてもらった(血抜き、神経抜き)季節の様々な魚をかなり力を入れて下処理、入念な工程を経て調理した一品を ボキャブラリーがいい匂いとクサい、匂わない等と言われると 其奴を眼の前で正座させて説教したくなります。
 食べる前の香りも 美味い!!!の領域であると思うからです。
 以前は、生れつきの能力差かとも思いましたが、ホームスクールの生徒たちに毎食時に匂いや味を聞いていくとどんどん分析的になり、過去との比較も言えるようになります。又、アレルギーやアトピー、花粉症で悩んで、玄米菜食を始めた方は、半年から1年半位で、匂いがわかるようになった、私が言ってた匂いは本当だった、等と言うようになります。要は (鼻を使う訓練)が大事で、次に、より健康体になることが食を楽しむ前提ではないでしょうか。
 私は普段、市販の牛乳は飲みません。何故なら牛乳が嫌いなのではなく、本来の天然、自然の牛乳が、手に入りにくいからです。
 牛は草食動物で大豆やトウモロコシ、ホルモン剤、抗生物質等は食べません。 
 年間通して無農薬、無化学肥料の牧草を食べ、健康的な放牧牛の乳は、夏は青草の香りがし、冬は熟成乾草を食べて生クリームの良い香りが強くなり濃厚な味がするのが、本来の牛乳です。それを変質させないように 70℃前後で20分程度、低温殺菌したものは、全流通量の1% 存在するでしょうか? 120度や130度で2-3秒、効率よく殺菌処理されたものは、焦げ臭がして、脂、脂肪分が明らかに変質したニオイ、味がします
 自慢する訳では有りませんが、最近、ソレは理論だけだと思っていて、信じないホームスクールの卒業生がブラインドテストを提案してきました。6種類の内、4つの高温殺菌処理のものは、直ぐに分かり、その中で粉乳を足して濃厚にしたもの、成分調整と称して、生クリーム分を取ったものも直ぐに言い当て、残りの有機農法の牧草、放牧牛、低温殺菌、と牛舎で有機飼料(穀物も含む)も当然のこととして 全て言い当てることが比較的安易に出来ました。前者の4種類と2種類の良い牛乳は大別するだけなら、匂いだけでもわかるのでは? と思ったくらいです。 
 繰り返しますが、要は訓練とその記憶です。常に真剣に食べる。本物や一流の味を体験して、記憶しておく事でしょうか。
 匂い、味に関して分析的であることも大切です。
 ビーフ味やチキン味の化学調味料を使って、野菜を煮るとその野菜それぞれの風味や味の個性、冷凍品や有機農法、貴重な自然農法由来の旨味は、ほぼ失われて、画一的になります。
 その点でも、味オンチになりたくないので、使いません。前述の鶏滋養パイタンスープを自作して炊きましょう。

 ただし、スーパーの野菜を手を掛けて料理しても、素材そのモノが 
ヒドくて不味い時、(よくあるのが悲しい)こんなことなら、市販の白出汁で作れば良かった 等と 自虐的になることも多々有ります。
 しかし、自作すると良く判る事も有ります。
 例えば、鯵や鯖の刺し身に出来る鮮度のものを一夜干しにすると、冷凍品の干物は臭くて(軽い腐敗臭)食べれなくなります。(挙げ句に石油や重油の乾燥機を使って干したものが有ります。当然、油臭いです。)
 低濃度の塩水でじっくりと魚の体液を抜き、外で4-5時間干すと、いわゆる魚臭さが無くなり、鯵や鯖の個性としての味や香りが素晴らしく、ご自身の鼻や舌に一定の基準が出来ますよ。
 日本酒、ウイスキー、ワイン、等の酒類は飲む前に鼻で味わったほうが
より正確に味の本質が、つかみ易いように思います。

 学生時代、古き良き昭和の洋酒バーでアルバイトさせてもらったことが有ります。お客様が来るまで毎日のように世界から集められた酒を嗅いでいると 値段や評価の高いウイスキーやブランデーなどの蒸留酒は
アルコール分の香りが柔らかい事に気付き、
 ワイン、日本酒のような醸造酒の
高級品は、素材である農産物の香りが、素晴らしい事に気付きました。
 なかなか出来ない貴重な体験で、大学で学んだことより、今でも役に立っているように思えます。ははは。

 題名どおり、取り留めのない放言になってしまいました。

 次回は、焦点を絞ってチーズの匂いと味について、個人的体験から取り留めなく書いてみようと思います。

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