詩 サインバトン
いつから雨は、憂鬱の記号になった
ジーンズに染み込んだ錘を引きづって
ビニールごしにモザイクの街をみた
傘の上に咲く線香花火を感じて
水面を蹴り上げた
現実が崩落する事故現場で
今日も生温い地獄を選んでしまった
流れついた惨めな場所で
もう駄目だと叫んでも、目を閉じても
浮かんでくる顔の中に
あなたを必要とする人を見つけるだろう
昨日の自分が渡すバトンは
あなたの声を繋いでくれた
いつの間に夜は、不安の象徴になった
独り言を溜め込んだ布団に被さって
画面ごしに賑やかな世界を見た
文字の中で叩き合う人達の声を感じて
親指で蹴り上げた
夢や希望が跋扈するゴミ置き場で
今日も誰かのいいねを選んでしまった
たどり着いた愚かな場所で
もう飽きたと呟いても、目を逸らしても
沈んで行く気持ちの中に
あなたへの痛みに気づいてしまうだろう
明日に続いていくバトンは
あなたの未知を示してくれた
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