「いい子」をやめてみた

早速ですが、
私は昔からいわゆる「いい子」でした。
今回、その「いい子」をやめて、会社も辞めて、あてもなくフリーランスになりました。30代独身女です。
その過程や、起きた変化を淡々と書いていこうと思います。

私は常に、
親や先生、友達、大人になってからは恋人、会社の上司や同僚…などなど。無意識で周りの顔色を伺って、その場で「求められる」ように立ち回って生きてきました。

なぜそうなったのか。
幼少期は親が厳しかったので、その影響もあるし、小さい頃から周りに大人が多い環境で育ちました。
小学校のとき、同級生にバイキン扱いされたことも一因かもしれません。

23歳で初めて社会にでたとき、
あまりにも世間知らず過ぎて、入社1週間で先輩の女性グループに無視されるようになりました。周りは見て見ぬふりで、これがいわゆる社会の洗礼なのか〜とショックを受けました。そこで私は自分の「からっぽ」さに気づきました。

いつも周りの目を気にして、相手によく思われようと、相手の望む答えを考えてロボットみたいに口にしていたんです。
でも、それが通用しなかった。
私は彼女たちに敵意なんてないし、むしろ仲良くしたいのに、
向こうは私が嫌いなんです。

ちいさいメモ帳のようなものを交換しあって、くすくすと笑っている先輩たち。
それが私のことを言っているのかはわからないけど、
わざわざ「私のことですか?」なんて面と向かって確認する勇気もない。

よくある漫画やドラマみたいに、わかりやすいイジメなんてそうそうなくて、誰かに相談するのも躊躇してしまうような、地味なイジメってわりとあるんじゃないかなと思うんですよね。
人によって立場は違うから、善悪ではっきり区別できるようなものでもなくて。
ただ、証拠はないけどなんとなく悪意は感じる。周りもなんとなく気づいてはいるけど、はっきりとしたイジメではないから見て見ぬふりをするしかない。だから、だれにも助けを求められない。

無視されることは悲しかったけど、仕事まるでできなかったのは事実だったので、からっぽな自分を自覚してせめて仕事はできるようになろうと必死で頑張りました。
そうしたら、1年後には無視していた先輩も話しかけてくれるようになったり、仲良くしてくれる人も増え、だんだんと会社に居場所ができてきました。

今思えば無視してきた先輩と仲良くなる必要なんてないと思うんですが、その時の私は「ようやく自分が認められた」と嬉しくなってしまったんです。

このことから、社会に上手に溶け込むこと。周りと上手くやること。周りに迷惑をかけないこと。仕事をしっかりすること。
それが「立派な大人」なんだと思いこみました。

社会の洗礼を受け「会社でうまくやるコツ」を身につけた私はその後、転職した先でも人間関係では苦労することがなくなりました。

初対面ではまず自分から挨拶して自己紹介。
常に笑顔を心がけ、相手を尊重する。
誰とでも態度を変えずに明るく接する。
プライベートな話題には踏み込みすぎない。
周りが嫌がることも率先してやる。
…などなど。

誰とでもそつなくコミュニケーションがとれ、コミュニケーション力を褒められることも増え、年齢を重ねて仕事もできることが増え、その時の私は少し調子に乗っていました。
ちょうど「昔のわたし」みたいな、周りとうまくやれない人を見るとイライラしました。(無視はさすがにしませんが。)

なんでそんな簡単なことができないの?なんて思ったり、
いつの間にかあのとき無視された人たちと同じようなことをしている自分に気が付きました。

会社で周りとうまくやれる人が「正しく」て、
そうではないちょっと人の輪から外れてしまう人は「変わってる」。
無意識にそんなふうに人を区別するようになっていました。
そして自分は「正しい」側にいるから、安心。

ある時、自分の意見を言いまくるクレーマー気質な人と関わる機会があり、心底軽蔑しました。周りも二度と関わりたくない、と口を揃えて言っていて「こうはなりたくない」と思いました。

でも、同時に心のどこかですごいなぁとも思いました。
その人は確かに周りから孤立していたし、人に迷惑もかけていたけど、
私はこんなに自分の意見を言えないな、こんなこと言ったら周りから嫌われちゃう、と思ったからです。

会社ではたしかにそつなくやれました。
それなのに、何故か褒められても、いまいちピンと来ない。

「真面目だよね」「すごいね」
「あそこで怒らないなんて大人だね」「◯◯さんも褒めてたよ〜」

確かに私は頑張っていたと思います。
今思えばそれは、本当の自分を抑え込んで、無理して演じていた自分で、
本当の自分はもっと違う。

本当はめちゃくちゃ面倒くさがりで、仕事なんてせずに家でペットと遊んで寝ていたい。
ホントは愛想笑いなんてしたくないし、上司のマウントは心底うざいと思ってる。
後輩の面倒なんてみたくない。なんでもかんでも人に聞いてくんなって思ってる。
人の見てないとこではスマホいじってサボりまくってるし、
休日は仕事で疲れ切って干からびてるし。

だから、いつも虚しかった。

「いい子」だったら、「立派な大人」だったら、周りから必要とされて愛されて、幸せになれるはず。
それなのに、いつもなぜか虚しい。


30代になった私は、いまだ独身で、会社の給与にも不安を覚え始めます。
都会からUターンしてから5年、いまだに実家にお世話になっていて
かといってお給料は一人暮らししたらほとんど貯金もできないくらい。

漠然とこのままじゃだめだと焦って転職活動を始めました。
けれど、結果は惨敗。
面接で落ちたり、そもそも書類で落とされたり…
バカ正直に答えすぎて、変な反応されたり。
うまく喋れなくて、「で?つまりどういうこと?」と言われたり。(結局コミュ障)
ていうか、面接って自分をよく見せるために嘘言うし、なんの意味があるのこれ…という内心が漏れていたのでしょうか。
ことごとく落ちました。

転職するにはスキルが足りないから落ちるんだ。じゃあ仕事終わったら勉強しなきゃと考え、一日働いて、長時間通勤(往復2時間)で疲れているのにさらに家に帰ってからスキルアップの勉強もして、クタクタでした。
いつかはフリーランスになって家で仕事がしたいけど、
転職活動ですら落ちまくる私がフリーランスで仕事を取れる訳がない。
いまからでも通信スクールに通ったりして、もっとスキルアップした方がいいのかな。

いよいよ、自分がわからなくなりました。
私はどうすればいいんだろう?私は私なりに頑張ってきたのに。
今までの私はなんだったんだろう?

ファイナンシャルプランナーさんに今後の人生設計を相談できる無料相談サービスがあって、2回くらい相談しました。
どうやら私はこのまま行くと、会社を定年になったら、数年で貯金が底をつき、家もなく老後資金もまるでなく、露頭に迷うらしいです。(そこまではっきりとは言いませんが、ぼんやりとそんなニュアンス)
だから今のうちに、月1万でも投資始めましょう!という内容でした。
積立NISAとかたしかにやったほうがいいのかな〜とは思うけど…
今の私には気が重くなるばかりだったので、その後は相談していません。

なにもかもうまくいかず、愚痴を吐き出したくてなんとなくSNSを始め、
親しげに「私も同年代です〜お話しましょ〜♪」ってDMくれたお姉さんにzoomで謎のセミナーに勧誘されたり。
なにしてんだろ自分…って思いました。

好きだった音楽を聞くことや、漫画全巻買ったキングダムを読むのも、趣味だった映画を観るのも、娯楽を楽しむこと全般に罪悪感を覚えるようになり、3ヶ月くらい、なにもできないくらい弱ってしまいました。

だれにも相談できず、この先の人生にまったく希望が持てない。
私がいなくなっても誰も困らないよな…なんて漠然と思ったり。

沈んで沈んで、でも会社に行けば周りには明るく振る舞って、なんでもない顔をして仕事をしました。

会社では責任がある仕事を任されていたので、休むわけには行かなかったんです。
本当は行きたくないし、もうつらい、辞めたい。
なのに、行かないわけには行かない。やるべきことをやらずに休むなんて、
大人がするべきじゃない。
なぜ?それは、常識だから。ネットとかにも書いてあるから。

ネットを見るといろんな意見が出てきます。
一つの意見があれば、必ずその逆の意見があります。

『転職先が見つからないのに会社辞めるなんて無計画すぎる。』
『本当につらいなら後先考えず自分のために今すぐ辞めた方がいいです。』

『転職するスキルがないなら仕事終わったら勉強すればいい。』
『いや、仕事の時間外に勉強するなんて無駄。なんのために人生生きてるの?仕事なんてテキトーでいい』

『30代独身実家暮らしとか終わってる。』
『貯金もできるし無駄に一人暮らしするくらいなら実家にいるほうが賢い。』


「※ た だ し 個 人 差 が あ り ま す 」

どれも正しいし、正しくない。その人にとってはそれが正解でも、すべての人に当てはまるわけじゃない。
それなのに、無理やり自分に当てはめて正しくあろうとする。

いままで「立派な大人」になろうと世間の目を気にして頑張って生きてきたけど、結果的にいまわたしは消えたくなっているわけで。

自暴自棄になった私は、
頑張ってきた結果がこれなら、一度人の目を気にせず好きなように生きてみようかな?と思い始めました。幸い自分も家族も健康で、私はまだ独身なので貯金もまああるし、私が無職で困るパートナーもいません。
お金のこととか気にせず、3ヶ月くらい好き放題遊んで、ライブ行って、ゲームして、旅行して、好きなようにダラダラ暮らしても悪くないよな?と。
いままで10年くらい仕事をずっとしてきたんですから、3ヶ月くらいサボっても罪にはならないでしょう。性格上、そのうち無職も飽きるだろうから、そしたら転職活動でもしよう。地元に仕事がないなら、県外も視野に入れればいいし、なんとでもなる。

消えたくなるくらいなら、一回自分の好きなことしよう。

自分が今いやいややっている苦痛なことを紙に書き出して、
ひとつひとつどうしたら解決できるか考えました。
周りへの影響を気にせず、自分がどうしたいか、自分最優先で考えます。

私の場合は、長時間通勤が一番苦痛でした。時間の無駄だし、夏は暑いし冬は寒い。リモートで完結するならそれが一番理想です。
仕事内容は好きだったけど、リモートでできる仕事内容なのにリモート不可の会社なのでそれも不満でした。

上司にお局扱いされるのも嫌でした。それでもご機嫌を伺って、
気が利く秘書のような役割をする。上司がやらかしたことを私が謝罪に行くこともあったり、メールを打ってもちゃんと読まないし、適当すぎてフォローに疲れた。最近は私を腫れ物扱いして避けられているような気がする。(被害妄想かもしれませんがそう感じるのは事実)

それから転職活動もいやでした。
会社という枠組みがもう嫌になってきていたので、いっそのことフリーランスでやってみようかなーと漠然と思いました。自信なんてなかったけど、長い人生のうち、一回フリーランスになってみても楽しいかも。まず1年くらいやってみて、無理そうならまた会社員に戻ればいい。

たとえ書類で落とされまくっても、
自分が頑張ってきたことは、自分が一番知っている。
世界は広いので、なにかしら自分がこれまでやってきたことが役に立つかも知れない。
そう思ったら、深く沈み切っていた心が、なぜかわくわくしてきました。

よし。会社辞めよう。来週上司に相談しよう。

そう自分の中ではっきりと決めた時、雲が晴れるようなすっきりした気分になり、そこからの私の行動はめちゃくちゃ早かったです。
私にとっては、それが正解でした。


退職することを伝えると、予想はしていましたが
引き継ぎでやっぱり揉めて(きちんと最後まで引き継ぎもやりきりましたが)、上司とは最後まで少しギスギスしてしまいました。
私が気にしていただけかも知れませんが、結局、送別会もなく、私は最終日にひっそりと退職しました。
自分がおかしくて笑っちゃいました。無意識のうちに、私は人に期待していたんだなあと。

私がこれまで頑張ってきたのは、きっと居場所が欲しかったんだと思うんです。だれかに愛されたかった。ひとりは嫌だった。ここにいてもいいよっていう、居場所がほしかった。だから、つらくても苦しくても耐えて頑張ってきました。

会社に一生懸命尽くしてきたし、仕事の時間外には自主的にスキルアップの勉強をしていたし、役にたとうとどんな仕事も断らずにやってきました。残業もしたし、仕事は責任をもって最後まで完了させました。
「この会社でうまくやれてる」と思っていたのに、実際は送別会も開いてもらえない、そんな存在だったんです。

でも、それでいいと思いました。
本当の自分が選んだことだから。
仲がよかった子とは個人的に会っていて、自分と会う人とだけ、繋がれればそれでいい。

世間的に見たら、30過ぎて実家ぐらしで独身で、
あてもなくフリーって、多分けっこうやばいのかな?
それをどう感じるかは人それぞれ違うと思います。
どう感じてもそれは「正しい」し、「正しくない」。

世間体は気にする必要がなくて、
自分がどうしたいか。自分がこれからどうなりたいか。何をしていきたいか。そっちの方が重要です。

「いい子」をやめて、やりたくないことを思い切って全部やめてみたらどうなったかというと、
退職して2ヶ月ですが、フリーランスとして意外と毎日たのしく生活しています。

フリーランスになる自信がなくて、もっと自信がついたら…もっとスキルが上がったら…とずっと遠回りしました。
あと何年やれば自信がつくでしょうか。通信スクールにはいれば、自信がつくでしょうか。多分、私はずっと自信はつかなかっただろうと思います。

ちょうどいろいろなことが重なったため、私の場合は結果的にフリーランスになる選択肢を選びました。自信なんてなかったけど、やらざるを得ない状況でした。

しばらくは遊んで暮らそうと思っていたのですが、長時間通勤がなくなり元気になったので、自分のやりたいことに夢中になっていたら、
驚いたことに愚痴吐きように作ったSNSアカウント(愚痴は消して、毎日の学習記録を載せていた)からやってみたかったお仕事のお話をいただき、最低限暮らしていけるくらいのお給料はいただけています。
たまたま、運がよかったのもありますが自分が本当にやりたいことで、喜んでもらえるってとても嬉しいし、やりたいことなのでもっともっと良くしようと自分から思えます。

大変なことも勿論たくさんあるし、まだ安定とはほど遠いですが、これから自分がどうなっていくか、その変化が楽しみになっています。

不思議なことに、フリーランスになってから昔やりとりがあった友人と久しぶりに連絡をとったり、
会社辞めたことを伝えてない方から「仕事まだ続けてる?今度話さない?」と連絡をいただいたりすることが増えました。
近くの学校でボランティア活動もすることになり、思いもよらない方向に動き始めています。

在宅で仕事をしているので、思い立ったらその辺を散歩したり、
ペットを愛でたり、疲れたらお昼寝したり、
好き放題していますが、贅沢はできないものの、なんとかなっています。

ストレスが減ったのか、初めて社会に出てからずっと悩まされていたニキビがまったくできなくなり、体重も減りました。
仕事は忙しいですが、体調もメンタル面も落ち着いています。
環境が変わることで、こんなに生活が180度変わるのかと驚いています。

これが正解かどうかは私にはまだわからないし、
これから先、困難も壁もきっとあると思います。
でも、大事なのはいまで、いまの私がどう感じるかなんですよね。

あまりにもつらくて消えてしまいたいときは、なにかを変えるチャンスなのかもしれません。

読んでくださり、ありがとうございます。

どうして「いい子」になったのか、そこから抜け出すまでもかなり葛藤があったので、また書こうと思います。

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