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ありがとうHattons、永遠に

さる1月8日(現地時間)にイギリスの有名な鉄道模型店である"Hattons Model Railways"が閉店するという衝撃的なニュースが駆け巡った。

即時閉店というわけではなく記事執筆時点で閉店セールを行っており、閉店日は不明としている。筆者も見てみたがさすがに活動分野としている英国型Nゲージの分野については元々マイナー*ということもありおおむね興味をそそられそうなものは払底してしまっていた、残念…

*:イギリスの鉄道模型は圧倒的にOOゲージ(→HOゲージに近い1/76 16.5mmゲージ)が主力となっており、Nゲージは愛好家はそれなりにいるものの製品はかなり少ない

イギリスの鉄道模型店閉店がなぜここまで話題になっているか、確かに1946年開店から77年の歴史を積み重ねてきた店というのも大きいがそれ以上に国内外を問わず発送されるECショップとしての存在感を持っていたというのが大きいだろう。

元々同店はイングランドのリヴァプールに開店したのだが現在の店舗はそこから10km以上離れたWidnesという小さな町の(ついでに言うとWest Coast Main Lineを走る都市間特急車両のメンテナンスを担うAlstom社の整備拠点近く)高速道路のインターチェンジ付近に立地している。店舗を訪れることは可能なのだが、営業しているのは月・水・金・土曜の10時から17時(ただし13~14時は閉店)とかなり限定されており徒歩でのアクセスは現実的にはほぼ想定されておらず、店舗を訪れる人がいるとしたら先述の時間内に自家用車で来るしかなくビジネスのメインは通販であると判断できるだろう。

近年では2020年4月(もうこの日付だけで察する人もいるだろう)に開始したトランクサービスが好評を博し、購入・予約した商品を半年程度まで店舗の倉庫で預かってもらうというようなことも可能になっていた。筆者も特に中古品を集める上で重宝しておりめぼしい客車を見つけてはトランクに格納してある程度溜まったら送ってもらう…ということを繰り返していた。

こうしたコレクションもHattonsあればこそだった

閉店理由について公式には市場の変化(身も蓋もない言い方をすれば愛好家の高齢化)と法令遵守コストの上昇が挙げられているが、その他にも近年では主要なメーカーであるBachmannの新製品が取り扱われなくなったこととHornbyの製品の扱いが減少したこととの関係性を指摘するような声もある。HornbyはOOゲージ専業なので筆者としては実感が殆どなかったが、Bachmannについてはその中でも英国型Nゲージ製品を取り扱うブランドであるGraham Farishの新製品が2019年頃から殆ど出てこなくなったということで当時から現地のフォーラムなどでも話題になっており、これも全く無縁とは言いにくい。

それにしても本当に惜しい損失となってしまった。筆者の英国型コレクションの内半数近くはHattonsによるもので、特に中古品は奇跡的に秋葉原の小売店で買ったようなものを除けばHattonsが唯一のルートと言っていいようなものだったし、Graham Farish製品を新品で買えないというデメリットは正直かなり大きいものだったのだがそれ以外の時には使いやすいサービスや誠実な対応*などに惹かれてぜひ優先的に使いたい店だった。
新品についてはいくつかアテがあるのだが、正直中古品は購入する先がしばらく思いつかないというのが現状。ここまででひとまず欲しい車両はあらかた揃ってきたのがせめてもの救いと思うしか無い。

*:実は2回ほど返品しなければならない出来事があったのだが、その際にも送料先方負担で親切に対応してくれた。誤発送は確かに困った事態ではあったのだが、筆者としては信頼感はむしろ上がった。

ともあれこれまでありがとう、Hattonsおよびスタッフの皆さん。今の筆者の生活を構成する上で紛れもなく重要な役割を果たしてくれた。そして柔軟に、かつ親切に対応してくれた素晴らしいスタッフの皆さんのこれからのご多幸を願ってやまない。

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