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ちょっくらシルクロード横断してきます〜中東・アジア旅行記ep 82〜

第九章 再びアレッポ編 
三十路センチメンタルジャーニー
ep82 アラブ商人とディール!


 外から店中をのぞいていると、小汚いアジア人が何してんだぐらいの顔をして白髪デブッチョの主人がこっちをジッと見ている。まあとりあえず主人に聞いてみるだけに聞いてみようかと店中に入ってギャモンを探してるといってみるが主人にはまったく英語が通じない。あーこりゃ無理かーと諦めムードで店内を見回していると・・・あった!

 長い事売れていないようでほこりをかぶっていたが、もう目利きになりつつある自分は即座に1つのギャモンを指差した。そして、もう英語も通じないので普通に日本語で「あれ見せて」と言ってみた。しかし親父は「何をいってるんだ、あれは最高級品だぞお前みたいな小汚いアジア人が買えるわけがない」といった態度で、ワンランク下のクラスのバックギャモンをすすめてきた。

 このご主人、どうやら観光客を相手にしたことがないらしく小汚いカッコでも実はそこそこ金を持っている事を知らないらしい。主人が勧めて来たミドルクラスを手で払い、あれだ!ともう一度最高級品を指差す。あきれた顔の主人はやれやれという感じでどっこいしょとほこりのかぶったギャモンを取り出す。タオルで埃を払いってもらい、まずは手で滑らかさ、そしてデザイン、木材のそりをすべて確認、後はシェルの数をチェックした。うーん紛れのない高級品だ。

 主人にいくらだ聞くとUS77ドル。しかもこのお店はアラビックでしっかりと値段表示もしてあったので、即座にレート換算をした。値段はぴったりでボリも一切ない。どうせ払えんだろという主人の顔つきはUS77ドルと聞いても全くひるまない小汚いアジア人を前に急激に変わっていった。

 商売人の顔つきになった主人はこちらは何も言っていないのにUS70ドルでいいと勝手にディスカウントが始まった。もうほとんど僕の心は買うことで決まっていたのだが、ディスカウントが始まってしまうあたりと、先ほどの埃の被った状態を考えると、おそらく主人は早いことこのバックギャモンを捌いてしまいたいのだろう。となるとまだイケると僕の心の声が騒ぎ始めた。このギャモンの値切りポイントを探す。見つけた!それはギャモンの駒で、付属の駒はオマケみたいなものでプラスチック製であった。また、店内に飾ってあったラクダの骨の駒をこちらも見逃していない。僕はすかさずそれを含めでいいよねとジェスチャーすると、主人はほんとに困り顔で、これだけで6ドルするんだ!そりゃ無理だと僕にジェスチャーをしてみせる。後一押しと判断した自分は、すかさずUS00ドル札をちらつかせ、ラクダの駒込みでUS70ドルでいいよね?と最後の落としにかかる。そして主人は見事に陥落。

 親父の話だと(アラビア語なんで多分こんな感じ)やはりすべて手作業で同じものはないらしい。自分でも何度となくこのバックギャモンを確認したが、ハンドクラフトセンターで見つけた100ドルのものと遜色ない。また、現在お隣のトルコで売っているバックギャモンもほとんどがシリア製のものだそうだ。そりゃ歴史を見てみれば、長い間トルコもシリアも一つのオスマン帝国であったし、当然同じ文化圏だったわけで、こうした寄木細工なんかは人件費の安いシリアで作るのは当然だ。

 こうして僕は物凄く満足なバックギャモンを手に入れることができた。これで日本の我が家でシーシャ(アラブ式水タバコ)にバックギャモン、そしてコーヒ-やチャイで猛烈に贅沢なアラブ時間を過ごせそうだ。

読んでくれた人へ
 今後、定期的にシルクロード横断日記や行きたいけど行けないという悶々とした気持ちで書いた、脳内妄想旅行の計画などをアップする予定です。お暇なときにでも、そちらも読んでやってください。ありがとうございました。スキをしてくれると僕のテンションが上がります。ファローしてくれたらうれション状態です。よろしくお願いします。人生の無駄遣い万歳^_^
HPやってます。いろいろな旅行関連記事を書いているのでよかったら寄ってみてください(^^)


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